早期退職の落とし穴 - アメリカあるある | 窓越しの備忘録

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アメリカに定年退職は存在しない。

しかし退職の目安は2つある。

 

第一はSocial Security(SS)、国の年金。

現在の受給年齢は67歳からが満額支給だ。

 

しかし望めば早期受給が62歳から

減額支給で可能となる。

(62歳で30%の減額)

 

因みに、これを70歳まで延長すると、

延長年月で増額されるが、

70歳での24%が最高で、

それ以降は24%のままだ。

なので通常は70歳で受給開始。

 

第二の退職目安は、

国の老人医療保険(Medicare)で、

これは65歳から支給となる。

 

支給資格はアメリカで最低10年、

SS/Medicareカバーの雇い主で働いて、

雇い主と個人負担金の支払いが必須。

更に、市民権か永住権を保持してないと駄目。

 

医療費やその保険の高いアメリカでは、

老人医療保険は老後生活の命綱だ。

 

 

経済的な観点から見て退職をする上で、

永久年金のSSの額は老後の大事なSafety Netだ。

 

しかし平均支給額は約$1800/月で、

これだけでは生活が覚束ないのが現状。

 

そこで個人の老後貯蓄が大事な要素だ。

勤務先によるけれど、

401/403という企業補助年金貯蓄があれば、

それを利用して老後資金を貯めて、

年金の補填とし使用するひともいる。

 

これは投資信託なので、

一定利率の定期よりも株式市場の影響が高く、

リスクが高いので安定した資金源といい難い。

(中には固定利率の選択あるがまれだ)

 

特にそのリスクが露呈したのが、

2008年のリーマンショック。

既に退職していた人たちは、

突然の老後資金消失や大減額で、

働きに出ないといけない人が多く出た。

 

その後ある程度持ち直してくれたけど、

それには年月もかかったから、

退職済みの人達は生活設計が大幅に狂ったまま。

その時期は早期退職が激減していた。

 

 

兎に角、アメリカの早期退職ができる人達は、

ある程度の収入保障がある人が多い。

 

一番多いのが州や政府で働いて、

公務員年金支給がある人達。

現在その受給者は全米の退職者の4%くらいで、

その支給額は千差万別だ。

 

それ以外で組合スポンサーの年金もある。

実はアメリカの組合はかなり前から減少傾向で、

多くの組合は雇用者の権利保護目的が多く、

昔の様な雇用主と対等な組合は少ない。

そんな中でTradeといわれるアメリカ特有の組合がある。

たとえば特殊技能職業の組合とかの

特殊組合が存在している。

これらの特殊組合はかなり強行な立場のため、

独自の年金を雇用主から支給補助させている。

 

特殊組合に関してはかなり複雑で

日本では考えられないシステムだ。

その実態もかなり面白いのでいつか記録しておきたい。

 

実はもんちゃんが所属する組合がその一つなんだけど、

本当に特殊すぎてぶっ飛んでいて、

呆れるけどアメリカだからと笑える感じだ。

 

閑話休題

 

 

兎に角、経済的な視点から見て早期退職は、

アメリカでもハードルが高いと言える。

 

 

そんな中私の周囲に早期退職者が多いのは、

州年金がもらえるからだ。

 

しかも教師は州年金受給を57歳からできる。

そのため今でも早期退職は多い。

 

勿論、早期退職しても

問題もない人達も多くいる。

しかしそこはアメリカあるあるで、

見切り発車でする人も多くいる。

 

本当に驚くほどの人達が、

感情論というかただ働くのが嫌だからと、

借金があろうが健康保険問題があろうが、

あっさりと早期退職をするのだ。

 

この見切り発車組は、

早期退職の見えない落とし穴を理解せず、

目先のことしか見ようとしないで、

足元がおろそかになり過ぎている。

今の自分が楽になりたい欲望と、

自分は大丈夫という自信で生きている。

 

早期退職の見えない落とし穴とは何か。

 

それは一度年金をもらい出したら、

その額が増えることはほぼ無いことだ。

つまり一旦年金暮らしを始めたら、

物価上昇で生活が苦しくなったり、

カードローンが払えないとかとなったら、

自分が働くか貯金を切り崩すしかない。

但し、貯金があればだけど。

 

この経済地獄という落とし穴にはまると、

年齢が上がるとともに、

そこから這い上がれる可能性はないに等しい。


多分、宝くじを当てるより大変かも。

 

そういう人達は特に、

Pandemic後の物価急上昇で、

生活がままならなくなっている。

 

 

友人のPもその一人だ。

 

先日集まった時に、

彼女が切々と私たちに、

自分の窮状を訴えていた。

特にリタイアしたのに旅行もできないって。

 

そこかよと突っ込みたくもなったが、

それを聞かされる私達は、

正直複雑だった。

 

彼女の早期退職は最初から無謀だった。

借金もあり家のローンも70%残っていたのに、

63歳で早期退職をした。

しかも学年半ばの12月末でだ。

 

仕事への不満を聞かされていた私達は、

何とかなだめすかして、

仕事のいい面に話をもっていったけど、

頑固な彼女は聞く耳をもたなかった。

 

それでも初めのころは何とか助言を受け入れて、

借金を返すまでは働くと言ったりしたけど、

最後の方は感情論に終始していたので、

彼女の人生だから皆放っておくしかなかった。

 

それなりの計画を聞かされていたけど、

案の定生活は立ち行かなくなった。

 

これはPandemicの影響もあるから、

若干同情の余地もあるかもしれない。

 

然し、借金は増えても減らない。

なのに安定したパートの仕事を探しもせず、

勤めていた学校区の知り合いの教師のサブで、

お小遣いを稼ぐくらいしかしないのだ。

 

そのため遂に自分のアカウンタントから、

厳しい現実を突き付けられた。

 

仕事をいつ辞められるか聞いたら、

一生働いてないとだめだと言われたそうだ。

 

それに家が持ち家だと言っても、

売って借金の返済に使えば良い訳ではない。

新たに住居を見つける事が問題となる。

何故なら賃貸も異常高騰で、

彼女が払える家賃の物件は無いに等しい。


それに家を売っても手元に残るお金は

いくら家の価値が上がっていると行っても、

ローンがまだかなり残っているから、

今後の生活を支えるには少なすぎる。

だから売るのは今得策といえない。

 

それならまだ十分体力もあるうちに、

パートでもいいから働けるだけ働いて、

借金返済と貯金をしようと考えるはずだ。

 

しかし割の悪い仕事はしたくないし、

低賃金の仕事はしないという。

大学院もでてTherapistの資格もあるから、

普通の仕事なんかできないそうだ。 

 

まさにアメリカあるあるだ!

 

お金ないなら働くしかない。

でも、自分に合う仕事がない。

だから働けない。

(ここが肝心!働かないでなく、働けない)

 

究極の結論でよく彼女がいうのが、

 

私がこんなことになったのは、

社会の仕組みや政府のせい。

 

どういう理論なんだろうか。

 

どんどん年齢がいけば働くのが更に大変だから、

今頑張るしかないのにね。

 

それに学校区の仕事だって

教員免許のない彼女は、

サブくらいしかできない。

しかしここでも仕事を選んでいる。

親しい教師のサブしかしないのだ。

だから月に働いても3-4日位。

さらに夏は学校が休みで仕事しない。

 

こんな仕事の仕方だったら、

永遠に借金も減ることはないし、

貯金なんて更に無理な状況。

 

このまま動けなくなったらどうするのか。

 

結局、意固地になり過ぎている彼女には、

誰が何を言っても聞くはずがないので、

ファイナンシャルサポート系の情報をシェアして終わる。

 

運がいいことに、

彼女には息子がいる。

NYで働いているんだけど、

彼が彼女を見捨てることはないだろう。

だから彼が彼女のSafety Netになってくれるから、

路頭に迷うことがないのが救い。

 

息子さんには悪いけどね。

 

 

兎に角、彼女を筆頭に、

早期退職したはいいけど、

生活が成り立たない人達が増えている。

 

成り立たないなら働けばいいのだ。

なのに働かないで文句しか言わない。

 

彼らの言い分は軒並み、


働かないのではなく、

自分に合う仕事がないから働けない。

 

何か素晴らしいアメリカン理屈です。

更に、彼らの言う政府やシステムが悪い、

という責任丸投げ理論も聞き飽きた。

 

 

自己責任の観念がアメリカ人になさすぎる。

 

 

更に最近多いアメリカあるあるは、

義務の伴わない権利の主張が多いこと。

そしてそれが堂々とまかり通ること。

 

勿論、アメリカあるあるで

お気楽ないいところもあるけど、

選挙の年ということで最近は、

何となくネガティブなところが目立っている。

 

 

 

早期退職はいいことばかりではない。

ちゃんと経済的な準備してないと、

這い上がれない落とし穴に

自分から飛び込む様なものだ。

 

今の私は正直に言って、

人のふり見て我が身をの気持ち。

彼女達を反面教師として、

身を引き締めていかないとと思う。

 

 

しかし残念なことに自分だけが、

注意してもだめなのがこの国あるある。

 

 

そう、アメリカあるあるなのが、

法律やシステムがいきなり変わってしまうこと。

 

州法とか住民投票で変わってしまうし、

連邦法なんかも議会の状況で一気に変わる。

色んなサービスも政権交代で、

いきなり変更したりなくなるのは日常茶飯事。

最近は最高裁とかもしたい放題している。

 

 

兎に角、この国は何が起きてもおかしくない。

生きずらいとか以前で、

いいも悪いも変化し続ける国だ。

だからついてけない国外脱出組が増えている。

 

その一人のポルトガルのJenから、

こっちに来ないかとお誘い来ましたよ。

 

かなり快適なリタイア生活を送ってるみたい。

私が彼女を訪れるのは、

来年くらいになりそうだけど。

秋には日本で会えるかもしれないので、

今からとっても楽しみだ。

 

彼女の逆転ホームランな新しい生活が、

本当に嬉しくってしょうがない。

何せ救急車で学校から運ばれて、

その後医療休職して早期退職。

波乱万丈な彼女の去年を思うと、

万歳って言いたいくらい嬉しい。

 

 

 

 

何もできないで人の窮状を傍観するしかないのは、

正直辛いことも多い。

気持ちがモヤモヤして仕方ない。

 

Pattyに関しては、

色々たらればがあり過ぎて、

落ち込んでしまうばかり。

 

しかし、彼女は自分の人生は、

自分で決めると言い切って生きてきたのだ。

だから傍観し続けるしかない。


勿論、友人としての付き合いはしていく。

ただ彼女の状況を配慮しての付き合いだけど、

友達としての立場は続けるつもりだ。

 


自分に関してのたらればはない。

早期退職前に散々悩んだし、

リサーチをしたし。

年金についてもいろんなシュミレーションしたし。

 

いずれにしてもアメリカあるあるの無責任が、

基本当てはまらない人なので、

これからも自分の責任はまっとうし続ける。

 

だから、Taxだって払います。

 

頑張るしかない!