こんばんは。
今日は「異常」ということについて考えてみます。
「異常」とは一体何でしょうか。
辞書を引くと次のように書かれています。
普通と違っていること。正常でないこと。また、そのさま。(goo辞書より)
でも、どこまでが普通で、正常なのでしょうか?
難しいですね。
■心理的異常
異常心理学では、「心理的異常」を次の4つの基準によって定義しています。
(1)適応的基準
所属する社会に適応しているか否か、という基準。
他者による社会的判断と本人による主観的判断に分けられる。
(2)価値的基準
規範を遵守しているか、逸脱しているか、という基準。
道徳観や社会通念に基づく生活的判断と、
法律や理論モデルに基づく理論的判断に分けられる。
(3)統計的基準
統計的に見たときに、平均に近いか、偏りが強いのか、という基準。
(4)病理的基準
医学的に健康か疾病状態にあるか、という基準。
(参考:『改訂新番 よくわかる臨床心理学』下山晴彦/ミネルヴァ書房)
■明確な境界線はない
上の4つの基準は、「普通」と「異常」を明確に切り分けるために
作られたものではないと私は考えています。
各基準に当てはめたときに
「あの人って異常じゃない?」「私って異常なのかも…」
と思う必要はないのです。
そもそも、なぜ「異常」を定義するのかというと、
臨床家が、そのクライエントに支援が必要かどうかを判断するためです。
(統計的基準は研究に用いられることが多いですが。)
つまり、「心理的異常である」と判断する場合、
その人が「異常」の基準を満たしているかどうか以前に、
その人が支援を必要としている、苦しんでいるということが
大前提となるのです。
■病気は人が定義したもの
精神病と呼ばれるものは、病因ではなく症状で分類・定義されています。
例えば、インフルエンザに罹った場合、
病因はインフルエンザウイルスへの感染ですよね。
だから、治療はウイルスの撃退です。非常に明快。
しかし、うつ病の場合、病因は様々です。
抑うつを初めとした様々症状に対して、お薬が処方されます。
そういった意味で、「うつ病は心の風邪」という表現に
私は非常に共感できます。
風邪にも治療薬はありません。症状を抑えるだけです。
ただし、風邪の場合は病因がはっきりしていますけどね。
精神病は、実体を見ることができません。
同じような症状に対し、病名が与えられています。
しかし、その人その人によって、苦しみは異なるはずです。
「うつ」と言われることで、不要な劣等感を感じたり、
人生の終わりのような気持ちになったりする人がいます。
その人たちに「そうじゃないよ」と伝えたいです。
便宜上つけられた名前です。うつの体験記なんて読まなくて良いです。
「自分自身の苦しみ」に集中し、それを乗り越えることの方が大切です。
もちろん、正体不明の苦しみに名前がついたことで、
気持ちが楽になることもあります。
同じ苦しみを抱える人がいることに安心することもあります。
それは良いことです。病気が定義されていることのメリットです。
でも、必要以上に枠にとらわれないで。
人を分類するための基準ではないはずです。
***
このお話に関連して、またスペクトラムの概念についても触れたいです。
今日もお疲れ様でした。おやすみなさい。