どうも、はちごろうです。



今日は国際女性デーだそうで。
これに合わせて世界銀行から各国のジェンダーギャップ指数が発表されて
相も変わらず日本は先進国中最低水準でとどまるどころか、

逆にさらに順位を下げているという情けない結果になっているようで。



さて、3月5日に表彰式が行われた第16回声優アワード。

前年活躍した声優を顕彰するものですが、
今回「主演女優賞」を受賞したのは緒方恵美さん。
昨年無事完結した「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の碇シンジ役や、
年末には「劇場版 呪術廻戦0」の乙骨憂太役での活躍が授賞理由ですが、
その授賞式のスピーチでのコメントが話題になっている。


まず、緒方さんはこの賞の存在意義を

「その時々の人気作品の主役をやっている“若手”が取ると勝手に思っていて」

と、自分が選考対象になるとは思っていなかったことを述べた。

さらに、

 「自分は、ずっと声優をやった年月、7割くらいを少年役の声優として過ごし、
  自分が女優と思ったことが、あまりない」

 「男優とか女優とかじゃなく、顔出しの業界(俳優)の皆様よりも、
  ジェンダーフリーを発信できるのは、むしろ声優じゃないかと思う。
  次回からは、男とか女とか、どうでもいいので2人ずつとか、
  そんな感じになったなら、よりいろいろなことになるんじゃないか」

と、今後の賞のカテゴライズに対して提言を行ったわけです。

その後、緒方さんは文化放送のラジオ番組
「A$G TRIVAL RADIO エジソン!」にも出演。
そこでも

 「女子声優が少年役をやるってのはともかくとして、
  男子声優でもさぁ、どこの誰とは言わないけどさぁ、

  「その女の子の役、僕受けたいです」みたいなこと言ってるやつも数人いるじゃない?

  みんながパッと浮かぶだけでも3人ぐらいいるみたいなさぁ。

  別にそれがダメって言うわけでも、ないじゃんねぇ」

という発言をしてました。
 

 

 

(※その時の音源は今週の土曜日まで聴けます)

 


これ、それほど突飛な話ではない。
一昨年2020年の8月。世界三大映画祭の一つ、ベルリン映画祭が
2021年度から演技部門の賞を性別で分けることを止め、
「最優秀主演俳優賞」「最優秀助演俳優賞」に改めると発表してるんですね。
で、実際に昨年から映画祭はその方針に従って賞を決めてる。
この流れは間違いなく不可逆的なもので、
今後は世界中のこの手のイベントで議論・検討されていくと思う。

また、以前からLGBTQコミュニティ側から指摘されてきたことなんだけど、
近年LGBTQの役を演じる俳優は当事者に、という流れが出来つつある。
いまにしてみれば、いや当時からよく言われてたことだけど、
例えばシスジェンダーでヘテロセクシャルの俳優が
LGBTQの役を演じると賞を授賞しやすいって傾向があって。
それこそトム・ハンクスは「フィラデルフィア」で、
ショーン・ペンは「ミルク」で、
ジャレット・レトは「ダラス・バイヤーズ・クラブ」で、
女優陣もシャーリーズ・セロンが「モンスター」で、

ヒラリー・スワンクは「ボーイズ・ドント・クライ」で
LGBTQの役を演じてオスカーを受賞してる。
さらにノミネートに至っては枚挙にいとまがないほどで。


また、女優のフェリシティ・ハフマンは2005年に「トランスアメリカ」という作品で

MtF、いわゆるトランスジェンダーの元男性を演じたことで当時批判をされたし、
「リリーのすべて」でMtFを演じてオスカーを受賞したエディ・レッドメインは
「あの役は(シスジェンダーの)自分が演じるべきではなかった」と
最近インタビューに答えているんですね。

考えてみれば「演技力」というものにジェンダーの概念は関係ないわけだから、
「その年一番いい演技をした人」を決めるのに
もう男女の区別は必要ないのではないでしょうか?


今回、日本の声優業界のトップランナーの一人として
緒方さんがこうした提言をしたことはとても意義のあることだし、
今後のアニメ業界、エンタメ業界全体にも議論がなされていくといいなと思います。

ただ、実際に日本でこの手の改変がなされたとしても、
男女一人ずつ俳優が選ばれて「同点受賞」ってやりそうですけどね。