どうも、はちごろうです。

 

 

先週末は2日続けてオンラインの集まりがありまして。

しかも両方とも大盛り上がりだった結果、

久しぶりに2日続けて0時過ぎまで起きてたんですね。

で、今日こそは早く寝ようと思ってたら

今日は夜10時半からオスカーノミネーションで、

また11時過ぎまで起きてることになりそうです。

では、映画の話。

 

 


「ザ・プロム」

 

 

 



メリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマンなど、
豪華スターが共演する学園ミュージカル。
ゲイであることを理由に高校卒業のプロムへの参加を禁止された女子高生を救うため、
ブロードウェイのスター達が一肌脱ぐ姿が描かれる。

あらすじ

インディアナ州の小さな街エッジウォーターにある
ジェームズ・マディソン高校でPTA総会が開かれ、
この年の卒業プロムの中止が全会一致で可決される。
理由は卒業を予定している女子生徒エマが
交際中の女子生徒とプロムに参加したいと訴えたためだった。
校長のジムは性的指向を理由にプロムへの参加を許可しないことは
法律違反に当たるとしてエマを支持し、地元メディアも大きく話題にしていたが、
彼女をプロムに参加させたくないPTA会長のグリーン以下、
保護者たちはプロム自体を中止する決定をする。
一方、ブロードウェイでは新作ミュージカル「エレノア」が初日を迎えるが、
大手新聞社の批評は酷評だらけで、その日のうちに打ち切りが決定する。
主演を務めた女優ディーディーとバリーは会場前のバーでやけ酒をあおり、
カウンターでバイト中だった知り合いの役者トレントや
売れない女優のアンジーも加わり、互いの境遇を慰め合う。
何かお手軽に出来る慈善行為で名誉挽回を図ろうと考えた4人は、
SNSを検索してエマの事件を知る。
そこでディーディー達は彼女の窮地を救うことで
何とか自分たちの好感度をアップさせようと画策。
エッジウォーターまで出向いて勝手に抗議活動を始めるのだが・・・

 

 

 

LGBT問題に対する若者達の希望と諦念



元々は2016年に初演されたミュージカルだったらしいのですが、
内容的にもいかにもいま作られたような、
というか年々タイムリーになってきてるような作品で。

あらすじを聞いた段階では、田舎町で肩身の狭い思いをしてる少女を
スターが助けてめでたしめでたし、みたいな感じかなと思ったのですが、
実際の作品はそんな簡単にはいかない作品で。
しかもね、あらすじにも書いたんですが
エマの窮地を救うために立ち上がる4人のスター達は
別に彼女の境遇に同情したわけではなく、
全くの売名行為として行動を起こすんですね。
実際に、この手の社会問題に対して有名人が出てくると、
「どうせ売名なんでしょ?」っていう意見が必ず飛んでくるんですけど、
まさにそういう、有名人の社会活動に対して
人々がうっすら感じてる欺瞞みたいなものを描き出してて。
もちろん本人達はそのことを隠しているつもりなんだけど、
言葉の端々から本音が透けて見えてしまうんですよ。
これがあっぱれなくらい憎たらしくて。

で、この状況に対してPTA会長のグリーンは一旦はプロム開催を承諾。
エマの出席を許可するんだけど、実はただただ中止したよりも
さらに悪質な展開になっていくんですね。
しかもグリーン達はあくまで「エマのためにやった」と
むしろ感謝してほしいくらいのアピールをするというね。
「本物の悪党は善意を笠に着る」というは本当なんだなと、
エマに味方するスター達、エマを排除するPTA側、
双方の大人達の醜さがすごい際立つように作られていくんですよ。

正直ね、こういう大人達の醜悪さを見せつけられる前半で
途中で観るのを止めようかと思っちゃったくらいなんだけど、
最悪なプロムの夜が終わった後半から
4人が本腰を入れてエマのために奔走し出すんですね。
ここから徐々にマイノリティ差別の根底にある無知や、
アメリカ社会で差別の道具として利用される聖書の矛盾を
特にエマの同級生達に訴えかけていく。
そしてエマ自身も自分の受けたひどい経験を教訓に、
どうすればいいのか、どうしたいのかを考えて行動を起こすというね。
ただ、そもそもプロムの主役は卒業生、つまり学生側なわけですよ。
だからエマの出席に関して最終的に判断すべきは生徒たちであって、
PTA、つまり大人の判断を押しつけられる筋合いはないと思うんですよね。
でも、本作でエマの同級生達の意見はほとんど出てこない。
同級生がカムアウトしたこと、そしてプロムが中止になったことについて
彼ら彼女らはどう感じたのかという視点があっても良かった気がします。


一方で、エマを助けようとするスター達もそれぞれ事情があって。
特にバリーはエマと同じエッジウォーター出身で、
しかも彼もまた両親にカムアウトしたことで町を出た過去があってね。
そんな彼に対してディーディーはせっかくだから連絡するように促すんだけど、
バリー自身は未練は残しつつ親への連絡を拒否するんですね。
ところが、あろうことか彼女はバリーに内緒で彼の母親に連絡してしまうんですよ。
結局この行為はバリーにとっては大団円とはいかないまでも
親との関係修復に一歩進んだ結果に繋がるんですけど、
一歩間違えればさらに問題がこじれる可能性だってあったわけですよ。
だから実はすごく危険な行為でもあったわけです。
で、実は4人のスターのうち、一番年長のディーディーが
最後まで自身の認識の浅さを改められないというか、
問題の深刻さを理解出来ずに話が終わっていくというね。


結局、この作品が何となく伝えようとしてるのは、
LGBTをはじめとした人権の問題に対しては、上の世代の意識を変えるよりも、
まだ真っ新の状態の若い世代を教育した方が早いのでは?という
ある種の諦念だったような気がしました。
そして上の世代には意識を無理して変える必要は無いから
とりあえず邪魔はしないでくれ、という感じで。
一応エンディングはエマが自身で考えたプロムを開き、
趣旨に賛同した若者達で盛り上がりましたって感じになるんですが、
表面的にはハッピーに終わるんだけど、どこか若干の寂しさを感じた作品でした。



[2021年2月7日 Netflix]

 

 

 

 

※だいたいプロムが舞台の作品って黒歴史が多くないですか?