どうも、はちごろうです。
昨年から私が参加させて頂いているオフ会も
オンラインでやるようになりまして。
もちろん私が事務方をやっている映画駄話会も
似たような感じで開催しております。
ただ、この二つのオフ会、何人かメンバーが重複しているので、
最近幹事同士でスケジュール調整を行うまでに。
なんかこう、このご時世にもかかわらず、
個人的には人と接する機会が増えております。
では、映画の話。
「続・ボラット 栄光ナル国家だった
カザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画」
2006年にサプライズヒットを飛ばしたモキュメンタリーコメディの続編。
全米中で騒動を巻き起こしたカザフスタンのジャーナリストが、
政府の密命を受けて渡米、再び騒動を巻き起こす。
主演は前作に引き続きサシャ・バロン・コーエン。
あらすじ
カザフスタンの有名ジャーナリスト、ボラット・サグディエフ。
彼は14年前、国の文化政策の一環で米国に渡り人々を取材。
行く先々で大騒動を巻き起こし、母国を世界中の笑いものにしてしまった。
その結果、まともに取引をする国がいなくなり国内経済は壊滅的状態に。
激怒した大統領は彼の職を取り上げ、収容所で死ぬまで強制労働の処分を下す。
14年後、再び大統領から呼び出しを受けたボラットは再び渡米を命じられる。
彼が収容所送りになっていた間にアメリカではトランプ大統領が誕生し、
世界中の独裁者たちと親交を深めているという。
彼ら「独裁者クラブ」に入れないことに焦った大統領はトランプに接触を試みるも、
14年前にボラットがトランプタワーの前で用を足したことを考慮し断念。
そこで国の文化大臣で有名ポルノスター「お猿のジョニー」を、
「女好き」で知られるペンス副大統領に貢ごうと計画。
その特使としてボラットに白羽の矢が立ったというのだ。
ボラットは渡米後、早速ペンス副大統領に近づくために行動を開始するが、
前回の渡米時で彼は有名人になってしまったため、隠密行動が出来なくなっていた。
そこで「アメリカ人」に変装して後から輸送されるジョニーを引き取ろうとするが、
積み荷の中に入っていたのはボラットの娘トゥーターだった。
彼女は毎日TVアニメ「メラニア」に夢中で、
いつかメラニアのように大統領の妻になりたいと願っていた。
そこでトゥーターは積み荷に隠れてアメリカに密航。
しかも途中で腹が減った彼女は大臣を食べてしまっていた。
本国にファックスで事情を報告したボラットに大統領は死刑を言い渡すが、
たまたまファックスを送りに利用した店のテレビで、
児童買春の容疑で服役中の実業家エプスタイン主催のパーティーに
トランプが出席している映像を目撃したボラットは、
代わりにトゥーターを貢ぐことを大統領に提案し、首が繋がる。
こうしてボラットは、ペンス副大統領に娘を貢ぐため作戦を再開するのだった。
ボラット、2020年の米国を行く
2006年にサプライズヒットを記録した擬似ドキュメンタリー。
カザフスタンのジャーナリストに扮した俳優が全米中を旅しながら、
行く先々でアメリカ人の本音を聞き出して社会現象にもなった一本で。
「外国人になら何を言っても構わないだろう」
「外国人に言ったところで理解できないだろう」という、
人々が多かれ少なかれ持っている「よそ者」に対する迂闊さというか、
舐めた態度があぶり出されていく作品だったんだけど、
それは別に米国人だけでなく、世界各国で共通する感覚なんだろうなと。
だから前作を見たときは、ボラットに騙される米国人を笑いつつも
「明日は我が身かもな」と襟を正した次第で。
同時に、自分たちが共有していると思ってる知識や常識が相手と全然違う、
もしくは知識は共有できていても解釈が全然違う場合もある、
ということもまた考えさせられた作品でありました。
さて、今回は作中にもあるんですが14年前に大騒動を巻き起こしたので、
前作のようなゲリラ的などっきりで人々の本音をあぶり出す、
みたいなことは出来ないわけですよ。面が割れてるので。
だから前作のようなボラット自身が有名人相手にどっきりを仕掛ける、
という手法がとれないので本作はフェイクドキュメンタリーというよりも、
ドキュメンタリータッチのドラマといった感じなんですね。
ただ、例えば作中で変装したボラットや娘のトゥーターが
市井の人々と会話してるシーンがどこまでガチなのかってのが結構曖昧で。
つまりホントにガチの市井の人々だったらボラット達の奇行に対して、
隣で撮影してる人に質問したくなるはずなんですよ。
「こいつら、一体何だよ?」みたいな。
しかもボラットが山奥で暮らす保守派の男たちの家で
何日か厄介になるシーンが出てくるんですけど、
彼らの様子を撮影するための定点カメラが家中に置かれてて。
これも彼らに許可を取って撮影してるのか?ってのも気になったし。
だから今回は前作以上に「どう撮ったの?」ってのが気になる一本でした。
で、前述したように今回はボラットが表立って動けない、
人々にドッキリを仕掛けることが出来ないので、
その役目をトゥーターという娘を登場させることでクリアしてる。
演じてるのがマリア・バカローヴァという女優さん。
なんでもブルガリア出身で、ハリウッド映画初出演というね。
宣材写真がすっげぇカッコいいんですけど、
そんな世間的にはほぼ無名の女優さんだからこそ、
人々が面白いようにどっきりに引っかかるわけですよ。
しかも彼女が演じるトゥーターはカザフスタンの常識(もちろん嘘)で
屋外で檻の中に入れられて暮らしてるんですね。
しかも設定上彼女は15歳ってことになってるんだけど、
作中で彼女はいわゆる「行き遅れ」と言われて、
そのことを疑問にも思ってないわけです。
だからこう、最初はものすごい汚れた服で髪の毛もボサボサって恰好なんだけど、
アメリカに着いてからは、ペンスの「貢ぎ物」としてふさわしい恰好ということで
徐々に服装やメイクがアメリカナイズされていくんですね。
同時に彼女が自分が信じていた女性の扱われ方が大きな間違いだと知ってからは、
一気に自立した女性になっていくわけですよ。この変貌ぶりには驚きました。
いま、多くの映画賞で助演女優賞の有力候補になってますが納得の変貌ぶりでした。
といったようなわけで、本作は前作以上にドラマ性というか、
ドキュメンタリーっぽさが弱くなった反面、
ボラットやトゥーターの人間的成長や親子愛にスポットを当てた内容でした。
この方針転換については賛否あるかと思いますが、これはこれで面白いというか、
ボラットという物語に新たな可能性を提示したという点で
さらに進化したなと感じました。
また作中にきちんと2020年という時代を封じ込めてるし、
そのタイムリーさというか、危機意識の高さも感じられて、
サシャ・バロン・コーエンってつくづくすげぇな!と思った一本でした。
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※とりあえず主演のサシャ・バロン・コーエンの出演作品を