どうも、はちごろうです。

 

 

 

ご無沙汰しております。

別に映画を観てなかったわけではないのですが、

逆にむしろ作品を観すぎて感想を書くモチベーションが上がらず、

下書きをアップする気分にもならなかったのが理由で。

ま、個人のブログなんでその程度の気楽さでいいのでしょうが。

というわけで、今年最初に観た映画の話。

 

 

 

 


「ワンダーウーマン1984」

 

 

 



2017年公開の大ヒットアメコミ映画の続編。
神によって作られた女性だけの種族アマゾン族の女性が
1984年のワシントンで世界を揺るがす悪との戦いに挑む。
監督パティ・ジェンキンス、主演ガル・ガドットのコンビが再結集。

あらすじ

全能の神ゼウスによって作られた女性だけの種族アマゾン族の娘ダイアナ。
人間達に発見されないよう神の力で隠された南海の孤島で成長するが、
ある日、島に米軍のスパイ、スティーブの乗った飛行機が不時着。
それをきっかけにダイアナはナチスドイツと戦いに巻き込まれていった。
そして第2次大戦後、彼女は人間社会のなかで生活していた。

1984年のワシントンD.C.。
ダイアナは考古学者としてスミソニアン博物館に籍を置く一方、
事件があると変装をして悪党どもを排除していた。
ある日、ショッピングモールの宝石店に4人組の泥棒が侵入、
店が極秘で取引していた美術品を強奪しようとする。
変装したダイアナの活躍により事件は解決するも、
その数日後、事件で押収された品物が鑑定のため博物館に持ち込まれる。
鑑定を担当したのはバーバラという新任の女性研究者だった。
ダイアナも事件の目的を知ろうとバーバラの元に行くと、
品物の中に「シトリン」と呼ばれる謎の石があり、
その石にはラテン語で「願えば望みが叶う」と書かれていた。
さらにその数日後、博物館に多額の寄付をしたいと
石油投資会社ブラックゴールド社の社長マックス・ロードがやってくる。
彼はここ最近、テレビCMに自ら出演して人々に投資を募っていたが、
採掘のために買った土地はことごとく失敗し、借金まみれだった。



DCの悪いクセが悪い方向に全部出た感じ?



1作目の「ワンダーウーマン」は久しぶりに面白いDCヒーロー映画で、
それだけに本作も期待したんだけど、結論から言えば出来がかなりいまいちで。

今回彼女の敵になるのは石油投資会社のカリスマ社長マックス。
自ら自社CMに出演して投資を募るなど有能ぶりを全面にアピールしてんだけど、
実際には貧しい移民の出身で、それでもどうにか大学に進学して、
独自に投資会社を設立したまでは良かったんだけど、
会社の現状は女性秘書ひとりの他は社員は自分だけという、
実質的にはペーパーカンパニー同然で。
そのくせ大きなオフィスを借りて自分を成功者に見せようとしてる。
しかも髪型は見るからに人工的な金髪のウィッグ。
明らかにやっと任期が切れるどこかの大統領を投影してるのは明白で。

誰もが理想の成功者になることを夢見ることを強いられるアメリカで、
当然成功をつかめるのは一握りの人間なんだけれど、
その事実を認められない人々というのが一定数いて、
その理想と現実のギャップを埋めるために嘘にすがり、
その嘘を「嘘だ」と批判する人を逆に非難する。
この心の弱さと向き合うことが本作のテーマなんですけどね。

で、それを象徴してるのが序盤でやたら映るワシントン記念塔。
ペン先のように尖ってる白い塔ですね。ホワイトハウスの近くにあるやつですが。

 

 

 

 

 


あれは初代米国大統領ジョージ・ワシントンを称えるために建てられたもの。
ワシントンというと有名なのが「桜の木」のエピソード。
子供の頃、桜の木を切ったことを父親に正直に謝ったら
逆に父親からその正直さを褒められたというやつですけど。
ところが近年はこの逸話、真偽の程が怪しいとされてまして。
どうやらワシントンを称えるためにどこの教会の牧師が書いた創作だと。
ま、真偽がどちらでも、ワシントン記念塔というものに込められた
「正直さは美徳」というメッセージは変わらないので、
制作者側がそれを意識して映してることは明らかなんだろうなと。

たださりげなさが全くない、野暮なやり方だったなぁ・・・と。


ただ、言いたいことはわかるんだけど、本作はそれ以外の部分が諸々残念で。
まず本作はそもそも「ヒーロー映画」なわけですよ。
そうなるとワンダーウーマンの恰好で登場するダイアナのファーストカットや、
彼女が作中で諸々成長するシーンというのはとても大事なんだけど
そういうヒーロー映画では大事な「見せ場」がなんかこう、
淡泊というか、興味がないのか、今回とても下手に見えるんですね。

それと本作は手にした者の願望を叶える石「シトリン」の力で
マックスだけでなくダイアナの同僚バーバラ、
そしてダイアナ自身もその秘めた願望を達成するんですね。
結果、前作で亡くなったスティーブの魂を
別の男性に乗り移らせることで、彼を生き返らせるんですけど、
この3人が願望を叶えていく過程がやたら冗長なんですよ。無駄に長い。
前半1時間以上その過程に費やされてるもんだから、正直途中で飽きちゃって。
しかも中盤はダイアナとスティーブのいちゃこらに
結構な尺が使われるもんだから、さらにどうでもよくなっちゃって。

で、後半。
ダイアナが石の力でスティーブを、バーバラがダイアナのような強さと美しさを、
そしてマックス自身は「シトリン」の能力そのものを得たことで
世界は大混乱に陥っていくんですけど、
解決には石に望んだ願いを取り下げると宣言すればオッケーだっていうんですよ。
いや、そんな簡単に望んだり取り消したり出来るものなの?と。
それで石そのものになって人々の願望を叶えていったマックスは、
最終的に国家機密の装置を使って世界中の人々の願望を吸い揚げ、
その見返りに自分をさらに偉大にしようとするんだけど、
問題は彼の元にやってくる願いがみんな自己中心的で
ろくな願いしかないんですね。
それに、例えば紛争地域に住む人間が同時に自らの勝利を願えば
当然どちらかの願いは叶えられない矛盾も起きるし、
またマックスが起こした騒動を鎮めろという願いだって来るはず。
実際、マックスの息子が彼にそそのかされて「父親を偉大に」と願うんだけど、
本来「偉大な人物」ってそれこそ自らを律することが出来る人物なわけで、
息子が願った時点で改心するはずなんじゃない?と。


なんかこう、今回は諸々詰めが甘い話だったなぁと。
「弱い自分を認めろ」とか「足るを知ることを学べ」とか、
言ってることは正論なんだけどいちいち偉そうだし。
もしかしたら監督のパティ・ジェンキンスさんって、
人間の善意を基本的に信用してないのではないか?って気がしました。
「どうせみんな願い事をするときは自分のことしか考えないんでしょ?」みたいな。
ま、DCのヒーローは基本人智を越えた超人なので
上から目線なのは仕方がないんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[2021年1月1日 丸の内ドルビーシネマ]

 

 

 

 

 

※とりあえず関連作を