どうも、はちごろうです。

 

 

 

明日は三の酉。いわゆる今年3度目の酉の市なんですが、

このご時世、しかも今日は時短営業要請まで出たので

さらに客足は遠のきそうですね。

うちの近所にも大鳥神社があるんですけど、

今年は熊手以外の、食べ物の屋台が禁止されてるので

とにかく静かなんですよねぇ。

例年は夜になると家族連れが神社に向かって行く光景を

何回も見かけるんですけどね。残念な話で。

では、映画の話。

 

 

 

「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」
 

 

 

 

 


「コララインと魔法のボタン」「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」など、
数々の傑作を送り出すストップモーションアニメ制作会社、
ライカ・アニメーションの新作アニメ。
冒険家を志し、未知なる生物を探索し続ける英国紳士が、
アメリカの山奥に住むビッグフットと共に
ヒマラヤでイエティを探す旅に出る物語。
声の出演はヒュー・ジャックマン、ザック・ガリフィアナキス。

あらすじ

冒険家を志す英国紳士ライオネル・フロスト卿は、
湖に潜む巨大生物の撮影を試みるが失敗。
危うく巨大生物に殺されかけた部下のリントは
全く反省しないライオネルに怒り、彼の元を去ってしまった。
その直後、ライオネルの元に一通の手紙が来ていたことに彼は気付く。
文面には、アメリカのワシントン州オールドケンプ川の奥に
伝説の生物ビッグフットがいるという情報が書かれていた。
ライオネルはその足で冒険好きの貴族仲間が集まる会員制クラブに出向き、
主宰者のピゴット・ダンズビー卿にその事実を伝える。
そしてビッグフットことが人類の進化における
「ミッシング・リンク(欠けた環)」なのだと主張。
もしビッグフットを連れて帰ってくれば
自分をクラブの会員にするよう賭けを申し出る。
それに対し「人類は神が作ったもの」と考えるダンズビー卿は激怒。
アメリカに出発したライオネルを始末するため、
殺し屋ウィラード・ステンクを差し向ける。
届いた手紙を頼りにオールドケンプ川の山奥に着いたライオネルは
そこで体長2mは軽く超える二足歩行の毛むくじゃらの生き物と対面する。
しかもその生き物こそ手紙の差出人であるビッグフット本人だった。
山奥で一人寂しく暮らしていたビッグフットは
里に下りては新聞や書物で読み書きを独自に覚え、
そこでライオネルの存在を知ったのだった。
ビッグフットは、ヒマラヤの山奥に自分と同じ種族がいると主張。
自分を彼らに会わせて欲しいとライオネルに願い出る。
おそらくイエティのことだろうと考えたライオネルは、
かつての冒険家仲間アルダスの未亡人アデリーヌの元に。
生前アルダスはイエティを探索しており、
遺品であるイエティの集落の場所を記した地図を
彼女が持っているのではないかと考えたのだった。

 

 

 

技術はあくまで話を伝える手段であって・・・



ストップモーションアニメのトップランナー、ライカの新作。
粘土細工のキャラクターを少しずつ少しずつ動かしての作品作り。
今回もエンディングでメイキングが少し出てくるんですけど、
たった数秒間のシーンを撮影するのに気の遠くなる作業が必要で。
それだけでも一見の価値があるなと毎回感じます。
昨今は技術の進歩でキャラクターの表情も数十、数百通りに作れるようになり、
さらに細やかな動きが可能になったんだとか。
そんな世界最高峰の技術を駆使して作られた作品なんだけど、
今回は珍しく北米での興行が大コケというね。
それは何でだろう?と思ってたんですが、確かにそれも頷ける内容で。

序盤の展開に、ライオネルがビッグフットを探す理由に
「人類の進化の過程の中で失われた環」
いわゆるサルからヒトへ進化したという証拠を探すというのがあって、
これがいわゆる保守派の心証を悪くしたのかな?と思っていたんですけど、
もっと根本的な問題、つまり脚本の作りが雑なんですよ。

例えばライオネルが未知の生物を追い求める理由。
それはダンズビー卿が主宰する会員制クラブに入るためなんですけど、
なぜ彼はこのクラブにそんなに執心してるのかが描かれてないんですね。
会員になることにどれだけのステータスがあるのかも説明されていない。
また、そんなさほど魅力的でないクラブに執心するライオネルの、
その行きすぎた功名心にはどんな理由があるのかも説明はなし。
ただただ他人の気持ちを推し量れない不快な男なんですよ。

そんな彼が手紙を頼りにビッグフットを探しに行くんですが、
そこは山奥の、典型的な西部の開拓地のさらに奥で。
そこでライオネルはビッグフットに無事遭遇。
彼とともに山を下りてイギリスに帰るわけなんですけど、
その途中の村の酒場で二人は殺し屋のウィラードと遭遇。
そのまま店中で大乱闘をやらかすんですけど、
隠れ住んでたはずのビッグフットのMr.リンクが姿を現したのに、
酒場の連中は誰も驚かないんですよ。これもヘンな話で。

で、乱闘から逃げ出した二人はビッグフットの仲間を探すため、
ヒマラヤのイエティが棲むという生息地の書かれた地図を求めて、
冒険家仲間の未亡人で、かつての恋人でもあるアデリーナの屋敷に行くんだけど、
ここでもライオネルは目的のためには手段を選ばず、
サイコパスか!?ってくらいの行動を繰り返すんですね。
もうね、単純にこいつの話に付き合いたくなくなるんですよ。

そしてライオネルとリンク、そして一緒に着いてきたアデリーヌは
ついにヒマラヤの奥地でイエティの集落を発見。
そこではメスの長老が支配するそれなりの組織があったんだけど、
結局そこで彼らは口封じのために閉じ込められてしまうんですね。
そんな状態になってもまだライオネルはクラブへの入会に腐心してるんだけど、
そこでアデリーヌに説教されてやっと改心するんですね。
ここが一番腑に落ちないんですよ。
経験上、人から言われた知識や教訓ってあまり身につかないんですね。
自力で気がつかないと学びや改心に繋がらないんですよ。
こういう場合、リンクやアデリーヌに心底嫌われて
自分の元から去られる展開が一番応える。
「自分のせいで誰かを傷つけた」という自覚、これが必要。
でもライオネルはそれを他人から与えられて自覚するので
「嘘くさいなぁ」って思っちゃって。


これね、最近の海外のアニメに限らずあることなんですけど、
映像制作能力が高くなり過ぎた作品ほど
それに比肩する脚本が作れなくなるというのがあって。
特に革新的な映像を作ろうとする作品ほどそれに陥りやすい。
ライカ・アニメーションってまさにそんな袋小路に陥ってる印象があって、
まさにそれが露見しちゃった感じなのかな?と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[2020年11月15日 グランドシネマサンシャイン 10番スクリーン]

 

 

 

 

 

※とりあえず他のライカ作品を