どうも、はちごろうです。


朝晩すっかり冷え込んで、もはや冬の様相を呈してきましたが、
日中は意外に暖かかったりするので面倒ですね。
先週からの風邪がまだ長引いている身としては
家の中での気温の変化ですでに負けているんですが。
というか、秋が来たという実感のないまま冬になっていくんでしょうね。
さて、映画の話。




「6才のボクが、大人になるまで。」











「ビフォア」3部作や「スクール・オブ・ロック」などの
リチャード・リンクレイター監督の最新作は、
一人の少年が成長するまでの12年にわたって描いたドラマ。



あらすじ


6歳の少年メイソンは、母親のオリヴィアのキャリアアップのため
姉のサマンサとともにテキサスからヒューストンに引っ越しをする。
離婚した父親はアラスカで暮らしていたが、時折自分たちに会いに来ていた。
数年後、オリヴィアは大学で講師をしていたビルと結婚。
義理の兄姉が出来るが、ビルは次第にアルコールに依存し、
ついにオリヴィアはメイソンとサマンサを連れて家を出る決断をする。
その後も、家族にはさまざまな出来事が降りかかっていくが、
そんな中でもメイソンは大人へと成長していくのだった。




少年の12年の軌跡が生み出した「奇跡」



監督はリチャード・リンクレイター。
代表作は今年3作目の「ビフォア・ミッドナイト」が発表された
いわゆる「ビフォア」シリーズというやつ。
パリで知り合った一組の男女が一度は別れ、再び再会して・・・という関係を、
9年周期で、都合18年にわたって描いた恋愛映画ですね。
この9年後にまた新作が出来るかどうかはわかりませんが、
登場人物がたどる人生を観察するように描くことが好きな人、って感じ。
そんな彼が今回挑戦したのはズバリ「少年の成長物語」。
それもそんじょそこらの成長譚ではない。
一人の子役の成長に合わせて物語を同時進行で作り続け、
子役が大学進学の年齢になるまでを定点観測するように撮影する。
その期間、実に12年。こんな企画は普通無理なんだそうで、
普通は労働契約上、7年までしか契約で縛れないらしい。
つまりそれを超えて撮影が続けられたということは
それだけ出演する俳優やスタッフの監督に対する信頼と、
出演者たちが私生活で大きなトラブルなく過ごせたことなど、
数々の奇跡的な要素が積み重なって出来たものだといえます。




完璧な時代考証・・・って当たり前かw



さて、通常登場人物の長い長い人生を描こうとする際、
当然のことながら「時代考証」というものが重要になってくる。
例えば1980年代の日本の物語を描こうとしているのに、
登場人物が携帯電話を持っていたらおかしいし、
第二次大戦中の物語を描こうとしているのに、
日本兵が丸刈りになってないのも事実に反するわけです。
で、こういうのを事細かにやろうとすると大変だし、
実際やってみるとどう頑張ってもボロが出る。
いまではなくなった機械や道具なんかもなかなか調達できないし、
文献を当たって洋服を作っても必ず間違いを指摘される。
となれば、登場人物の人生をリアルに描こうとする場合、
一番確実なのは実際にその期間を生きてもらうことに尽きる。
その点、この作品は本当に俳優もスタッフも12年生き、
子供は成長し、大人たちは老けていく。
同時に彼らが日常生活で使う道具、特に機械の進歩が非常にリアル。
例えば映画の冒頭でメイソンが使っていたパソコンは
当時人気のあったiMac。モニターがシースルーのアレです。
ところが映画の終盤になると学校にあるパソコンのモニターは液晶になってる。
他にもオリヴィアが2度目に結婚したビルがアルコール依存から疑心暗鬼になり、
子供たちが彼女に告げ口しないかと携帯をチェックするんだけど、
当時はまだ折り畳み式のいわゆるガラケーなんですね。
ところが終盤になるとメイソンはスマホを使って父親と動画でやりとりしていたり。
劇中で流れる音楽も、テレビに映る映像も撮影している当時のもの。
見事な時代考証、というか間違いようがないんですけどね。




大切な瞬間、あっという間の人生



そんな一人の少年の成長を追った本作。上映時間は165分。
2時間45分というのは最近の映画の中ではかなりの長尺。
実は本作を観る前は結構二の足を踏んでたんですね。
ここ最近、長い映画ってなかなか足が向かないもんで。
20代の頃なら3時間あっても苦にならなかったんですが、
最近は2時間超えるともう嫌になってくるというかw。
ところが実際に観始めると本当にあっという間に過ぎていく。
それこそ作中の主人公メイソンが体験した12年という月日が
あっという間に過ぎ去って行ったように。
それは、人間の人生というものがどこを欠けても成立しないように、
全ての瞬間瞬間、その時生きた時間の積み重ねの結果だから。
本作はことさらに過剰な演出というものをしていないんですが、
それでもだれることなく、時間を気にせず観ていられたのは、
誰の人生もかけがえのない瞬間によって作られていることを
改めて思い知らされるからかもしれません。


本作はその画期的な制作方法と、作品の質の良さによって
来年のアカデミー賞の有力候補と目されています。
まぁ、そういうのは抜きにしても
ぜひ観に行ってみてはいかがでしょうか。
おススメです。是非是非!



[2014年11月16日 TOHOシネマズ シャンテ 1番スクリーン]




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