どうも、はちごろうです。



最近、バラエティ番組で日本の良さを紹介する企画が増えた。
「日本には世界に誇れるこんな技術や製品がある」とか。
しかもそれをわざわざ外国人に見せつけたりしてるものも。
あれ、すっごいみっともないと感じるんだけど。
確かにことさらに自国について卑下したり、謙遜する必要はないが、
あんなに必死に自慢することもないような気がするのだが。
それに世界に誇れるものを生み出したのは自分じゃないしさ。
他人の功績の尻馬に乗るくらいなら自分で頑張った方がいい。
さて、映画の話。




「泣く男」











「ブラザーフッド」などの作品で日本でも有名な韓国人俳優、
チャン・ドンゴン主演のアクション映画。
監督は「アジョシ」のイ・ジョンボム。



あらすじ


アメリカの中国系犯罪組織に所属する韓国人の殺し屋ゴンは、
とあるバーでロシアンマフィアと韓国人ビジネスマンとの取引現場を潰す。
その場にいた全員を始末したところ、部屋の扉の向こうに物音が聞こえ、
瞬間的に銃弾を数発撃ちこんだ。だが扉の向こうにいたのは
店で見かけた年端もいかない少女ユミだった。彼女はゴンの目の前で息絶えた。
それ以来、罪悪感に苛まれたゴンは自暴自棄となり荒んだ生活をしていたが、
組織のボスはユミの母親モギョンを始末するようゴンに命じるのだった。
モギョンは韓国の投資会社ベンチュラ社の取締役で、
ゴンが始末した韓国人ビジネスマンの妻だった。
社長のジョン・リーは表向きは優良企業の重役だったが、
裏では中国系犯罪組織の資金洗浄など犯罪に手を染めていた。
彼女の夫はジョン・リーと関係のある中国系組織の口座情報を
ロシアンマフィアに売りつけるために渡米したのだが、
渡米前にデータのコピーを3人の人物にメールしていたことが判明。
そのうちの一人がモギョンだというのだ。
ゴンはこれを最後の仕事を宣言し韓国に戻った。
彼を出迎えたのはジョン・リーの片腕のビョン室長だった。
早速仕事を開始し、着実に彼女の身辺調査を固めていくゴンだったが、
モギョンは娘を失った喪失感から衝動的に自殺未遂を起こす。
だがゴンは彼女をついに殺せず、モギョンを守ることを決意。
ジョン・リーの私兵、自らの組織、そして警察まで敵に回して
決死の戦いに身を投じるのだった。




チャン!ドン!ゴーーーン!!!



元々私は、ハリウッドの大作映画を大きなスクリーンで観ることに
映画館で映画を観ることの醍醐味を感じているので、
日本ではあまり拡大公開されないアジア映画を
週末に観る作品の選択肢に入れることがあまりなくて。
たまに映画好きの知人とか、ラジオの映画評なんかで
「この映画、面白いよ」と勧められない限りは
なかなかアジア映画って観に行くことがないんですよ。
でも本作の監督イ・ジョンボムの前作「アジョシ」は
お馴染みウィークエンド・シャッフルでも大絶賛されて、
主演スターにちなんで「ウォン!ビンビン!」とか言われてたので、
本作はちょっと気になってはいたんですよ。
で、実際に予告編とか見てるとかなりカッコいい。
というわけで観に行ってきたわけですが、
前作以上にアクションがキレッキレでカッコよかったですねぇ。
特に中盤のマンションでの銃撃戦をはじめとして、
クライマックスのビルの中での近接格闘など
登場人物を横からだけではなく上から下から撮影したり、
遠近感を有効に使った撮り方をしていたりする一方、
やはり主演のチャン・ドンゴンの見栄えもいいんですよ。
あんまり韓流ものって観ないのでよく知らなかったんですが、
いまさらながらにチャン・ドンゴンはカッコいいですわ。




母に護られなかった男、娘を護れなかった女



さて、今回の「泣く男」のテーマというか、
物語の裏に込められているのは「子供を護れなかった母」というイメージ。
主人公の殺し屋ゴンは幼いころに母とアメリカに移住したが
生活苦から母親は自分を残して自殺を図る。
そこから彼は犯罪組織の一員として生きていくことになった。
しかし、ゴンは仕事中に罪もない女の子ユミの命を奪ってしまい
罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまう。
何十人、何百人の命を始末してきたにもかかわらず
たった一人の女の子を殺してしまったことで心が折れてしまう。
ここは彼なりの殺し屋としての矜持なんでしょうね。
結局、自分の不手際から彼女の母モギョンをまさに自分の母と同じ
「子供を護れなかった母」にしてしまうわけです。
そしてそのことに夜な夜な心を潰していく彼女の姿に
初めてゴンは自分の母の心中について考えるわけです。
本作はそんなモギョンへの償いをすることで
自分を捨てた母親への赦しを行おうとする男の話なんだと感じました。




アクションは素晴らしいんだけど・・・



とはいえ、本作はアクション映画としては素晴らしいんだけど、
残念ながら脚本がところどころ雑なんですね。
例えば冒頭、主人公のゴンが酒場の奥でマフィアたちを始末するわけですが、
その酒場がどこにあるのか、というか主人公がどこにいるのかがわからない。
その後、彼が組織のボスのところに連れて行かれるんだけど、
そこでやっとゴンがアメリカの犯罪組織にいることがわかるんですね。
しかも彼がどのくらいの実力の持ち主かが描かれないので、
ユミを殺してしまったことが彼にとってどのくらい想定外のことなのか
いまいち伝わってこないわけなんですよ。
もっといえば、そんな闇社会との取引現場に
ユミがうろちょろ出来てしまうことも不自然ですし。
それと、これは私の個人的な資質の問題かもしれないんですが、
韓国映画なので当然登場人物の大半がアジア人。
だから観ていて敵と味方の区別がよくわからなくなってくるんですよ。
「こいつは、組織の人間?会社の私兵?それとも警官?」みたいな。
だから途中でちょっと話がこんがらがってきたってのもあります。
それに中盤である登場人物が裏切るという展開があるんですが、
主人公がなぜそれがわかったのかもピンときませんし。


とはいえ、アクションはすごいし、チャン・ドンゴンもカッコいい。
だから、観たいものを決め打ちして観に行けばかなり楽しめるかなと。


PS
ちなみに私これ、有楽町の丸の内TOEI2という地下の映画館で観たんですが、
上映中、数分ごとにどこからともなく「ゴーッ」って音がするんですよ。
どうやら真下を地下鉄日比谷線が走ってるらしくて、これが影響してるらしい。
思わず「シネパトスかよ!」と苦笑してしまいました。



[2014年10月19日 丸の内TOEI2]





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