どうも、はちごろうです。


テニスの全米オープンが盛り上がってるようですね。
なんでも日本人選手が決勝戦にまで進んだとか。
普段からスポーツに全く興味がないのに
こんな時だけはしゃいでも仕方ないので決勝戦とやらも観ませんが、
頑張っていただきたいですね。私も日々の生活を頑張ります。
さて、映画の話。




「TOKYO TRIBE」











井上三太原作の同名コミックを「地獄でなぜ悪い」の園子温監督が映画化。
史上初のバトルラップミュージカル映画が誕生。



あらすじ


架空の町TOKYOには各地区を牛耳るストリートギャングたちがいる。
池袋(ブクロ)WU-RONZ、シンヂュクHANDS、
歌舞伎町GIRAGIRAGirls、シヴヤSARU、
練マザファッカー、高円寺ジャック、そしてムサシノSARU。
そこは警察も近づけないまさに無法地帯だった。
彼らは互いのテリトリーを守りつつ、それぞれで商売をしていたが、
ある夜、ムサシノSARUの頭で穏健派の海(カイ)に
一方的に敵対心を持つブクロWU-RONZの頭・メラが、
ムサシノの本拠地であるファミレス「ペニーズ」に仲間の男を潜り込ませ、
一人のメンバーを自分のテリトリーにある売春宿SAGAにおびき寄せる。
仲間を取り返すためSAGAに向かった海たちだったが、
格闘の最中、メラが海に斬りつけた日本刀を受けて先輩格のテラが死亡。
これをきっかけに抗争が勃発。メラはTOKYOを牛耳るヤクザで、
政界にもにらみを利かせる男・仏波を味方につけ、
彼が新たに結成させたTRIBE、WARUを出動。
ムサシノはおろか他のTRIBEまで殲滅する計画を立てる。
一方、仏波は大陸の大都市ウォンコンを牛耳る大司教から、
自分の元を脱走した娘エリカがTOKYOに潜伏しており、
すぐに見つけ出すよう命令されるのだった。




「まだ見ぬ世界」を見せる巨匠、園子温



監督は世界の鬼才・園子温。
「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「地獄でなぜ悪い」など、
世界でも注目される過激な作品を送り出し続ける映画監督。
しかも過去には吉高由里子、満島ひかり、染谷将太、二階堂ふみなど、
新人俳優を発掘し演技力を開花させる実力の持ち主でもある。
彼は日本映画界に見切りをつけ、まず世界で受けることに重きを置いている。
だから彼が描く作品に出てくる日本は、日本人からすれば荒唐無稽だったり、
また海外には知られたくないタブーが詰まっている。
でも実はそれこそが「世界が見たい日本」だったりするわけです。
日本人が自慢したい、たとえば世界遺産に登録されたような土地や
歴史的建造物なんかはさほど海外には魅力になってなくて、
それこそタランティーノが「キル・ビル」で描いたような
「女子高生が日本刀を振り回してヤクザを倒していく」みたいな
エログロナンセンスが観たいわけですよ。
日本の観客だって外国映画の中の誇張された「外国」を期待するでしょ。
フランス人にはシャンゼリゼ通りのオープンエアのカフェで
ベレー帽かぶってクロワッサンとか食べててほしいし、
インド人にはターバン巻いてヨガしながらカレー食べててほしい。
実はクール・ジャパン戦略とやらを成功させるためには
そうした「勘違いジャパン」をどれだけ提供できるか、
また日本人がどれだけそれを許容できるか、ってのもあるんですけどね。

閑話休題。
園監督が海外で急速に知名度を上げている秘訣は
その外国人が知らない、もしくは外国人が期待している
「まだ見ぬ外国の姿」をうまいこと作り上げているからだと思います。




ジャンクフードのフルコースのような世界



さて、今回園監督がそうした「まだ見ぬ外国」として選んだのが
井上三太原作の架空のストリートギャング漫画。
完全にファンタジーの世界で、これに目くじら立てる方が野暮な作品。
20年ほど前に公開された岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」に出てきた
「YEN TOWN」という架空の街をさらに猥雑にしたような世界で、
派手こそ美徳なギャングたちが無法の限りを尽くしている。
さらに彼らの上にいるヤクザ仏波とその屋敷の派手さ、
そして彼の家族や使用人たちの異常性がもう過剰すぎるくらい過剰で。
その上、作中で語られる会話の大部分がラップで披露されるという、
世界初の「バトル・ラップ・ミュージカル」となっている。
その過剰なまでの異常な世界と熱量は素直に笑うしかない。
ただ、あまりにも勢いだけで押し切っているので、
あとになって冷静に話を思い出してもなんだかわかんない。
ただただ、どうかしてるセットの中で登場人物たちが戦い、
めちゃくちゃな方法で次々と殺されていく。
確かにカッコいいことはカッコいいんだけど、
意地悪な言い方をすれば刺激だけで中身は全くない。
しかも抗争のきっかけとなったメラの海への敵対心の根本が
「やつの方がチ○コが大きい」という、ホントにしょーもない理由。
これには呆れるというかなんというか。


とはいえ、独創的な世界観のなかで繰り広げられるアクション、
そしてラップの数々はやっぱりカッコいいんですよ。
メラを演じた鈴木亮平のTバック一丁で二丁拳銃を連射する姿とか、
ヒロインを演じた清野菜名のパンチラ上等のカンフーアクション、
海を演じたYOUNG DAISをはじめとして
実在の日本人ラッパーたちが繰り出すラップの数々、
そして仏波を演じた竹内力の過剰なほどの「竹内力」力や、
その息子ンコイを演じた窪塚洋介の「窪塚洋介」的な台詞回しなど、
もう、全編過剰な味付けでお腹いっぱいですよ。
例えるならば「駄菓子の満漢全席」みたいな作品ですね。
あくまで娯楽映画です。深く考えずに観てください。



[2014年9月7日 新宿バルト9 9番スクリーン]





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