どうも、はちごろうです。


春先から自室のレコーダーの調子が悪いという話は何度かしましたが、
今度は別の部屋のレコーダーにも不具合が出た模様。
主な不具合は録画中に停電、つまり電源が消失することなんだけど、
もしかしたらレコーダーの問題ではないのかもしれないです。
調べてみたらどうやら「瞬断」という現象があるらしいのです。
停電のように長期的に電源が消失するのではなく、
それこそ0.0何秒の世界で電源が消失してしまう現象。
とはいえ、それが家やフロア全体ではなく、
個々の機械単独で発生するということは
・・・やっぱり機械のせいなのでしょうか。
さて、映画の話。




「her/世界でひとつの彼女」











本年度アカデミー賞最優秀オリジナル脚本賞受賞。
「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズ監督の新作。
近未来のロサンゼルスで、人工知能型OSに恋をした男の姿を描く。
主演は「マスター」のホアキン・フェニックス。



あらすじ


そう遠くない未来のロサンゼルス。
人々は音声認識型のコンピュータを常に携帯し、
生活の大部分をその端末を通して処理していた。
セオドアは他人の手紙を代筆する代書屋をしていたが、
私生活では幼なじみの妻キャサリンと離婚調停中だった。
そんなある日、彼は新しい端末用のOSが発売されることを知る。
それはユーザーの話を聞き、理解するだけでなく、
個性も意識も持つ、世界初の人工知能型OSという触れ込みだった。
セオドアはそのOSを購入し試してみることに。
初期設定をして起動すると、コンピュータからセクシーな女性の声が。
その“女性”はサマンサと名乗り、高度な情報処理能力だけでなく、
ユーザーとのやりとりから学習する能力を駆使して常に進化する、
人間以上に生き生きとした意志を持ったOSだった。
セオドアはサマンサと常に行動を共にするうち、
次第に離婚による心の痛みが癒えていくことに気づく。
そしていつしか彼はサマンサに恋をするようになっていくのだが・・・。




そう遠くない「人工知能のある日常」



近年、飛躍的に技術が向上している人工知能。
過去、さまざまなSF作品で言語を理解するコンピュータが出てきました。
同日公開の映画「トランセンデンス」も科学者の脳をコンピュータに取り込み、
やがて彼が暴走して人類を危機に陥れる、という話らしいのですが
(やっぱり日曜日は「次元」じゃなくてこっちを観ておけばよかったかも)、
もはやコンピュータが人間の知的能力を上回るのは時間の問題でしょう。
実際問題、チェスも囲碁も将棋も、人間の実力を完全に凌駕する勢いで、
そのうち「ターミネーター」に出てくるスカイネットみたいに
「地球の平和を守るためには人類は邪魔だ」とか言い出しかねない。
まぁ、そこまで行くにはさらに数十年は必要でしょうが、
本作に登場する「人工知能に恋をする男」というのだって、
例えば恋愛シミュレーションゲームの「ラブプラス」のユーザーはもう
本作の主人公セオドアとほとんど違わないように感じます。




ネットの進化で深まる社会の孤独



本作は人の心を理解する人工知能との恋を描いているんですが、
描かれている未来社会は一見すると実に穏やかで平和そうなんだけど、
よく見るととてつもない孤独感に覆われた世界なんですね。
冒頭、主人公のセオドアは愛の言葉を口にしている。
長年付き添ってきたパートナーをねぎらうように。
だが彼はパソコンの画面に向かって話していて、
手書き風のフォントで次々に文書化されていく。
しかもその手紙は実は他人から依頼されたものなわけです。
そしてカメラがゆっくり彼の元から離れると、
そこはおしゃれなインテリアのオフィスなんだけど、
社員はパソコンの画面に向かって他人への手紙を代書している。
この時代は、もはや私信ですら自分でペンを使って書くどころか、
自分で作成することなく、他人に金を払って書いてもらっている。
終業時間になり、オフィスを離れて帰宅するセオドアは
しきりに携帯端末に話しかけては、音楽を選んだりメールを読んだりしている。
そしてそういう光景が当たり前のものとして定着している。
生身の人間との付き合いよりも人工知能とのやりとりに癒しを感じ、
目の前に人がいるのにその人の存在は完全に無視されて、
その誰もが誰か別の人とネットを介して繋がっている日常。
我々のいまの生活とどこに違いがあるんでしょうかね。




「欧米人が憧れる最先端都市」の変化のきざし



さて、本作は近未来のロサンゼルスが舞台となってるんですが、
作品の一部は上海で撮影されているんですね。
おそらく近年ハリウッドで著しい中国資本の影響によるものでしょうが、
例えば「007 スカイフォール」や「LOOPER/ルーパー」など、
そうした金銭的な事情を抜きにしても、
「欧米人が憧れたいアジアの近未来都市」は
確実に東京から上海に移っているように感じますね。


・・・・・え~、薄々感づいてる人もいるかと思いますが、
筆者である私に恋愛に関する経験があまりにも乏しいので、
本作のセオドアとサマンサのやりとりが
リアルな恋人同士のそれかどうかがいまいちわかりません。
だから、「恋愛もの」として解釈することが出来なかったので
現代社会に表出した新たな「孤独」を描いた作品と捉えてみました。
もしかしたらこの作品、10年後とかに観直したら面白いかもしれないですね。
観かえした時、この作品がまだ「未来」の話なのか。
そういう楽しみ方も出来る作品だと思います。



[2014年6月29日 新宿ピカデリー 3番スクリーン]





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