どうも、はちごろうです。


いまから15年前ぐらいだったか、
「NANDA!?」という深夜番組があった。
これは「サッカー」や「バレーボール」といったスポーツの競技、
もしくは「捕手」や「キーパー」、「カーブボール」といった
スポーツ内でのポジションやプレイなどをテーマに、
その道のプロに極意を聞くという、かなり実践的なスポーツトーク番組でした。


ある時、「盗塁」をテーマにした回があった。
出演は翌年に大リーグ挑戦が噂されていた西武(当時)の松井稼頭央と
世界の盗塁王こと元阪急ブレーブスの福本豊。
二人は相手ピッチャーの癖の盗み方やスタートの切り方など、
野球好きには思わず真似したくなるような話をしていたのだが、
その回のエンディング、司会のウッチャンナンチャンの南原さんが、
松井選手に「今年はどのくらい盗塁を成功させたいですか?」と訊いた。
すると松井選手は恥ずかしそうに、でも明らかに自信ありげに
「50(盗塁)は行きたいですね」と答えた。
驚く南原さんとアシスタントの栗山英樹(現日ハム監督)さん。
だがその雰囲気の中、福本さんが一言つぶやいた。

「・・・少ないねぇ」

さらに驚く3人に対して福本さんはこう続けた。

「いま、試合数どのくらいあるの?140?
 じゃあ、その半分は?70。70はいけるやろぉ!
 この前ね、仲間と話してたんやけど、
 松井君ぐらいの選手なら1日1回ぐらい出塁できるやろ。
 ならいっぺん全部走って(盗塁して)みたらどうや?と。
 半分セーフで半分アウトで、70やろ?
 簡単やと思いますけどねぇ・・・」


こうした、理論上は可能だが限られた能力の人物にしか出来ない理屈。
これを「天才の理屈」という。


別に日には「スピードボール」というテーマの回があった。
この回のゲストは元ヤンキースの伊良部投手と、元メッツの吉井投手。
伊良部選手はパブリックイメージとは違い、
実に繊細かつクレバーな選手で、
吉井選手曰く「とても教え上手な人」だという。
伊良部投手は速い球を投げる際には、
グローブを胸のところに引き付けて投げると良いと言った後、
その理由をこう説明した。

「アームレスリングの要領と一緒ですよ。
 腕相撲って組んでる手だけ力入れるより、
 空いている手を何かつかんでいた方が力が出るでしょ?
 それと一緒ですよ」


こうした、理論上正しい上に万人に応用可能な理屈。
これを「秀才の理屈」という。


さて、今日の衆院予算委員会で安倍総理が

「イラク戦争でイラクが攻撃されたのは
 イラクが大量破壊兵器を持っていないことを証明できなかったから」

ということを発言。おそらくテレビでは報道されていないだろうが、
ネット上やラジオなどではこの発言がかなり問題視されている。
この発言。例えるなら、いまこの文章を読んでいるあなたが
まさにいま、すかしっ屁をしていないことを筆者の私に証明するのが
不可能に近いくらい困難なことと同じで、
だからこそ犯罪の立証責任というのは告発者側にあるわけです。
つまり今回の安倍首相の理屈がまかり通れば、
誤認逮捕はおとがめなしで冤罪被害者=悪、ということになるわけです。


こうした、一見正論を言っているようで
結局自分にとって都合のいいことでしかない姑息な理屈。
これを「バカの理屈」という。