どうも、はちごろうです。

明日は「ハリー・ポッター」の完結編とジブリの「コクリコ坂から」、
そしてポケモンが2作同時公開ということで、
どこのシネコンも大半のスクリーンがこの4本で埋まってる模様。
どれか先週、もしくは来週に公開をずらせばよかったのに・・・
さて、映画の話。

「マイティ・ソー」

米マーベル社の人気アメコミの実写映画化。
はるか昔、神の国アスガルドを治める北欧神話の神オーディンは
氷の巨人の襲撃からミッドガルド(地球)を守った。
そんなオーディンも年をとり、王位を長男のソーに譲ることに。
だが即位式の日に宮殿を氷の巨人に襲撃され、
彼らの力を封印した“箱”が奪われそうになる事件が起きる。
どうにか侵入者は退治されたが、怒りの収まらないソーは
仲間を引き連れて氷の巨人の住む世界に攻め込み、
長く休戦状態だった両者を再び戦乱の危機に陥らせてしまう。
これに怒ったオーディンはソーから神としての力を奪い、
アスガルドから追放してしまう。
地球(ミッドガルド)に追放されたソーは天文学者のジェーンに助けられ、
彼女たちと行動を共にするうちに自分の傲慢さに気づいていく。
一方、自分の出生の秘密を知ったソーの弟ロキは、
ソーから王位の座を奪うために策略をめぐらせていた。



「1作目」だけど「4作目」


米マーベル社の人気アメコミの実写版ということで
再来年には続編の公開も決定しているようなんですが、
実はこの作品、いちアメコミ作品の「1作目」ではなく、
別のアメコミ作品に続く「4作目」という側面を持つ。
それは来年公開予定の「アヴェンジャーズ」という作品。
これはアイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカ、
そしてソーの4人のヒーローがチームを組んで悪と戦う作品で、
実はこれまでに作られた「アイアンマン」の2部作と
「インクレディブル・ハルク」の続編的作品として
この「マイティ・ソー」という作品は位置づけられている。
ちなみに順番は「アイアンマン」→「インクレディブル・ハルク」
→「アイアンマン2」→「マイティ・ソー」、
そして10月公開予定の「キャプテン・アメリカ」に続く。



実は異質な「体育会系ヒーロー」


では、「マイティ・ソー」単体としてはどうかというと、
実はこのソーというキャラクターはマーベルコミックの中では
かなりイレギュラーなキャラである。
マーベルコミックのキャラクターといえば
例えばスパイダーマンなんかが有名だけれども、
彼はそもそもピーター・パーカーというさえない高校生で、
それが遺伝子操作されたクモに噛まれたことで超人的な力を身につける。
他にもアイアンマンの主人公トニー・スタークは
誘拐された洞窟でパワードスーツを自作する会社社長兼エンジニアであり、
インクレディブル・ハルクはガンマ線を多量に浴びたことで
興奮すると巨大化する体質になる研究者だったり。
このように、マーベルコミックの大半の主人公は
「元々非力な文系男子が超人的なパワーを手に入れる」という設定が多い。
おそらくアメコミの主な読者層がそういう体力に自信が無い、
学校でもあまりスターになれない文系男子だからなんだろうけど。

「強くなければ生きていけない。しかし、やさしくなければ生きていく資格がない」
なんていう言葉があるけれども、つまりそういった「やさしいけれども弱い」、
ヒーローになりたいけれども力が無い文系男子的なメンタリティの主人公が
パワーを備えたことで苦悩しつつもヒーローになっていく、
そんな展開の作品がマーベルコミックには多いわけです。
(まぁ、アメコミのヒーローものは大半がこうなんだろうけれども)
ところがこの作品の主人公ソーはそれらの登場人物とはほぼ正反対で、
偉大な神の息子で、超人的な力を持ってて、しかもカリスマ性もあるが、
その力を過信していて傲慢なところが玉にきずというキャラ。
つまりこの作品は「強いけれどもやさしくない」、
ヒーロー的資質はあるけれども少しデリカシーに欠ける、
いってみれば体育会系男子的なメンタリティの主人公が、
一度その力を失ったことから他者に対するやさしさとか、
パワーをコントロールする力を身につけていくストーリーなわけです。
で、そういった全く逆のアプローチでヒーローになっていく話そのものが
作り手たちも、そしてファンにも不慣れだったようで、
どこか主人公の成長過程の描写が雑というか、
描ききれていない感じがしました。

あと、アクション映画としてもやはり雑というか、
見せ場が主に2ヵ所しかないうえにそのスケールも、
「アイアンマン」や「インクレディブル・ハルク」に比べると弱い。
まぁ、舞台が荒野といってもいい寂れた町で、
クライマックスで戦う相手が神の国の護衛ロボ1体だけだしね。



この映画の「陰」にして「真」の主役とは


おそらく単体として観ればあまり充実した作品とはいえないけど、
でも「アヴェンジャーズ」への伏線としては必要なことは確か。
しかもこの作品はその「アヴェンジャーズ」に対する素朴な疑問、
「そんなヒーローチーム作って何を倒すの?」という疑問に
エンドロールの後で一つのヒントが提供されます。
そういった意味でもファンは見ておくべきだと思います。
まぁ、初めから興味が無ければ別にいいんですが。