どうも、はちごろうです。

世の中いろいろあって困りますねぇ。
やれ総選挙だ、スランプだ、訃報だ・・・と
日記のネタには困らないはずなんだけど、
反応している暇がないのがつらいところです。
さて、映画の話。

「ヤバい経済学」

全世界で400万部を売り上げた経済書が原作。
「スーパーザイズ・ミー」のモーガン・スパーロックなどが参加した
オムニバスドキュメンタリー映画。
人間の経済活動におけるインセンティブについて
様々な例を上げて考察していく。

例えばあなたが不動産屋を仲介して家を売ろうとする。
そこに売却希望額より少し足りない額を提示した客が現れた場合、
不動産屋は「今こそ売り時です」とあなたに売却を迫ってくる。
なぜなら、不動産屋にとっては値上がりによる販売手数料の微増を待つより、
一軒でも多く家を売却した方が効率的に稼げるからである。
だが仮に家を売るのが当の不動産屋だった場合、
希望額を提示してくれる客が現れるまで売らずに待っているだろう。
これが経済学における「インセンティブ(誘因)」の一例である。
「インセンティブ」とは平たく言うと「やりがい、成功報酬」のこと。
この作品では4つの例を使って「インセンティブ」について説明していく。
それは「人の人生は名前によって決まるのか?」
「90年代にNYで犯罪が減った理由とは?」
「高校生に金銭を提示して成績を上げることが出来るか?」
そして「日本の大相撲に八百長は存在するか?」

経済学というのは簡単にいえば「原因と結果の関係を探る学問」。
例えば「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて言葉があるけれど、
経済学はこの「風」と「桶屋」の関係を研究・考察して、
どんな因果関係があるのか?そもそも因果関係があるのかを
付きとめていく学問だということがよくわかる作品でした。
「経済学」の映画ということでとっつきにくいと思う人もいるだろうが、
これが各エピソード、実によく出来たドキュメンタリーになっている。
各エピソードがだいたい2、30分前後の適度な長さだし、
テンポよく語っているので観ていて飽きない。
その上で一見暴論のように見える各エピソードが
豊富な知識で実に説得力を持って説明されていくので
「なるほどねぇ・・・」って思わずうなってしまった。

特に感心させられたのはやはり大相撲の八百長疑惑に迫った
アレックス・ギブニー監督の「純粋さの崩壊」というエピソード。
日本人ではない、言ってみれば「当事者」ではない外国人の視点で
大相撲の八百長問題を躊躇なく、容赦なく追及していく。
そしてそこから一歩踏み込んで日本の犯罪検挙率の異常な「高さ」、
果てには日本社会全体に蔓延する「隠ぺい体質」に迫っていく様は、
本当に良く出来ていると思いました。
このエピソードを観るだけでも映画館に行く価値があると思います。



ちなみに、なぜ「風が吹くと桶屋が儲かる」のか?それは、こう。

風が吹く → 砂ぼこりが舞う

→ 砂が目に入り目の病気になる人が増える

→ 目が悪くなるから外出を控えるようになる

→ 「家で出来る娯楽を」ということで、三味線を習う人が増える

→ 三味線を作るために町内から猫がいなくなる

→ 猫がいなくなればネズミが暴れ放題

→ ネズミが屋根裏を走れば部屋がガタガタと揺れる

→ 部屋が揺れれば棚から桶が落ちてくる

→ 落ちた桶が壊れる → 桶屋が儲かる






追記

昨日(6月11日)この日記をアップしましたが、
閲覧してくれた人からの指摘で、
この「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざ、
きちんとした出典があることがわかりました。
それによると、ネズミが暴れ放題までは合ってるんですが、
「ネズミが暴れて桶をかじる」ため、桶屋が儲かるようです。
お詫びして、訂正いたします。