どうも、はちごろうです。

関東地方も梅雨入り。例年よりかなり早いようですね。
でもどうなんでしょ?もっと五月晴れを楽しみたかった感じもしますが。
さて、映画の話。

「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」

ジョニー・デップを一躍人気スターにした大ヒットシリーズ最新作。
おなじみ海賊ジャック・スパロウが不老不死をもたらす泉を目指し冒険を繰り広げる。
世界の海で海賊が戦いと冒険を繰り広げていた時代、
スペインで夜釣りをしていた漁師が瀕死の船乗りを助けた。
その男は200年前に不老不死をもたらす「生命の泉」を探した探検家、
ポンセ・デ・レオンによる航海日誌を持っていた。
一方、ロンドンでは海賊ジャック・スパロウが英国王に捕えられる。
国王は、「生命の泉」への地図を持っていると言われるジャックに、
英国の探検隊を泉に連れて行くことを命令する。
しかも探検隊の隊長は、国王に取り入りいまや海軍将校となった
ジャックの宿敵パルポッサであった。しかも彼は片足を失っていた。
隙をみてその場から逃れたジャックは、「生命の泉」探索のため
自分になり済まして乗組員を探している者がいるという噂を聞きつけ、
町の酒場「船長の娘」に乗り込む。
彼になり済ましていたのはジャックのかつての恋人で
スペインの女海賊アンジェリカだった。
そこにイギリス軍の兵士がジャックを捕まえにやってくる。
運よく酒場を逃げ出したジャックだったが、
何者かに襲われ意識を失ってしまう。
ジャックが気がつくとそこは海賊船の中。
しかもその船の持ち主は史上最恐の海賊「黒ひげ」であった。

全世界で大ヒットを記録した人気シリーズ最新作。
・・・なんだけど、正直、このシリーズのどこがいいのかさっぱりわからない。
確かに、1作目の「呪われた海賊たち」ってのは
「ディズニーランドの人気アトラクションの実写映画化」という
その元ネタの出所の胡散臭さからすればまあまあの出来だった。
ところがなまじこの1作目が予想外にヒットしてしまったことで、
プロデューサーはとんでもない続編企画を立ち上げる。
つまり、そもそも1本の独立した作品として成立していた1作目を
無理やり3部作の「第1部」にしてしまったのである。
この方針の成功が、ここ最近の映画界の悪しき風潮である
「続編を作るための作品作り」の横行に繋がるわけですが、
このなんとも場当たり的な続編製作の方針により、
その後の2本の続編は、前作を全て観ていないと理解できない、
しかも登場人物の設定をかなり正確に把握していないと
物語そのものも理解できないような出来になっていたのである。

さて、良くも悪くも前作「ワールド・エンド」で3部作の幕が下り、
本作は新たな冒険の始まりを予感させる1作目として
比較的一見さんにもわかりやすい作りになっているのかと思いきや、
これがちっとも間口が広がっていない。
新3部作の1作目のようで、実はやはり壮大なシリーズの4作目であり、
登場人物の設定がほとんど説明されずに物語が進んでいくのである。
それって、娯楽映画としてどうなんだろ?って思う。
だいたい「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズって
そんなにその設定が一般的な知識として浸透しているとは思えないし、
もし製作者側が「この作品の設定、みんな知ってるだろ?」と思ってるのならば
はっきり言って思いあがりもはなはだしい。

製作者側の心構えに対する批判はこのくらいにして、
では肝心の物語がどうだったかというと、これもまたひどかった。
だいたい冒険活劇といえば主人公が目標に迫っていく姿を
観客が一緒になって楽しむというスタイルが一般的なわけです。
ところが今回は、冒険の主目的である「生命の泉」の探索に対して
肝心の主人公があまり乗り気ではないことがかなり早い段階でわかる。
それどころか主人公は根本的に「不老不死」というものに憧れがないのである。
だから本作で主要な登場人物たちが必死に泉を探そうとしているのに、
主人公のジャックがちっとも積極的に物語を引っ張ってくれないから
観客は一緒になって冒険を楽しめないのである。
というか、そもそもこの作品自体が「生命の泉」というものに対して、
ほとんどといっていいほど関心が無いんですよ。
この泉の水を手に入れた者にはどれだけの恩恵が受けられるか、
どれほど大事なものなのかという説明もほとんどないですしね。

まぁ、考えてみれば主人公のジャックが本当に欲しいのは
財宝といった物質的なものではなく、「自由」なのかもしれない。
自分のすみかである海賊船と、いつでもどこでも好きなところに行ける「自由」。
そういった意味では大海賊になる野心もなければ、
財宝を見つけて大金持ちになる野望もない。
全部なりゆき。やりたいときにやりたいことをやる。
その結果何かまずい事態になれば場当たり的に対応する。

つまり結局、この作品の制作動機はジャック同様、
「全部なりゆき」なのかもしれないですね。
結果的に儲かっちゃったから、また新しいの作るみたいなね。
そういった意味では尾田栄一郎の「ワンピース」の方が
何倍も面白いですよ。同じ海賊ものでもね。