どうも、おささです。

先週の木曜、女優の田中好子さんが乳がんのため亡くなった。
田中さんは70年代、人気グループ・キャンディーズのメンバーとして
当時絶大な人気を誇っていた。

正直な話をさせてもらうと、確かにこの訃報には僕も驚いたけれど、
それはあくまで知識として知っている「有名人の死」でしかない。
確かに「年下の男の子」「春一番」「微笑みがえし」など、
彼女たちの歌った名曲は数多く知っているのだが、
彼女の人気アイドルとしての全盛期であった1970年代後半には
まだ僕は小学校に上がる前の幼児であったため、
「同時代を生きたスター」という思い入れがいまいち持てないのだ。

同じく、これは先々週の出来事だったが、
アニメーション監督の出崎統さんが亡くなったときも、
実はほぼ同じような感覚を持ったのである。
確かに彼は「ベルサイユのばら」「エースをねらえ」「ガンバの冒険」
「あしたのジョー2」など数々の作品を手掛け、
当時としては革新的なアニメーションの表現技術を発明してきた。
だが、ウィキペディアで改めて彼の足跡を調べてみると、
彼がテレビアニメの演出家として活躍していたのは70年代が中心であり、
僕も彼の手がけた作品を再放送で何本も見ているし、
彼がアニメ業界に与えた影響が計り知れないことも知っているけれど、
やはり「同時代を生きた有名人」という認識は持てなかったのである。

「有名人の死」に対し、その重さ、感じ方は人それぞれ違うし、
自分にとっては時代が終わるほどの訃報でも、
他人にとって、もっと言えば自分より若い世代にとって
その重さが感じられないことはある意味仕方がない。
これは残念ながら事実である。

ただ、だからといってその死を悼む気持ちがないわけではない。
一時代を築くほどの才能は、直接的・間接的にかかわらず
確実に自分の触れる知識や文化に影響を与えているわけで、
当然自分の物の考え方も影響を受けていることは確かである。
したがって、その存在がこの世界から失われたことに対し、
「あなたの功績は私の血肉となりました。ありがとうございます」と
感謝の意味も込めて冥福を祈ることは当然である。

謹んで、田中好子さん、出崎統監督のご冥福をお祈りいたします。