どうも、おささです。

さっき夜の散歩の途中で桜並木を歩いたら
もう三分咲きぐらいになっていました。
春は着々とやってきていますね。
さて、映画の話。

「イリュージョニスト」

フランスのアニメーション作家シルヴァン・ショメの新作アニメ。
脚本は仏映画界の巨匠ジャック・タチ監督の遺稿。
映画館の幕間で芸を披露する初老の手品師タチシェフ。
だが時代の流れとともに徐々に活動の場を失っていく毎日。
ある日、仕事でイギリスの寂れた漁師町にやってきた彼は、
そこの宿屋で働く少女アリスに本物の「魔法使い」と勘違いされる。
次の仕事先に行くため町を離れるタチシェフの後を追い、
一緒についてきてしまった彼女の姿に、
タチシェフは生き別れた娘の姿を重ねるのだった。

実は昨日紹介した「塔の上のラプンツェル」と
同じ日にハシゴして観たんだけど、
「ラプンツェル」が大人も子供も楽しめる作品だった半面、
この作品は完全に大人の鑑賞を念頭に置いて作られている。
特に娘を持つ男親はかなりツボにハマる作品である。
タチシェフとアリスの間には血の繋がりはないけれど、
彼は自分のことを「魔法使い」だと信じる少女の想いに
精いっぱい応えようと奮闘していく。
彼の努力により、みすぼらしかった少女の姿は
次第にレディのように洗練されていく。
その過程はまさに父親が娘を育てる過程と一緒で、
やはり父親というのは、というか男というのは
娘にとってはまさに「魔法使い」なのである。
だがタチシェフは、というか父親という生き物は知っている。
「愛が必ず報われるとは限らない」ということを。
手塩にかけて育てた娘がいずれ自分の元から去っていく。
そして同時に自分自身も時代の流れに取り残されていく。
男の人生の切なさが独特の絵柄で表現されていて、
その深さが徐々に沁みてきて実に心地よかった。

日本は世界に冠たるアニメ大国といわれて久しいけど、
実は日本のアニメファンの多くは日本の、
しかもTVアニメしか観ていない。
下手したらディズニー映画すら観ていない。
それほど海外のアニメを知らないのである。
いまの日本で「アニメーション」の多様性を理解してるのは
実はアニメファンよりも映画ファンの方が多いと思う。
まぁ、そこは好みの問題ではあるんだけど、
世界にはもっと個性的な作品もあるってことは
やっぱり知っておいた方がいいと思うんだけどね。
実際、良い作品もあるんだから。もったいないよなぁ。