【超国宝(後期)】ここ見とけ!「SELECT11〜15」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2025年12月現在の国宝の総数1,149件。そのうち、美術工芸品916件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

奈良博で開催中の「超国宝展


」も、後期展示に切り替わりましたね😌

さっそく行ってきました💨


この展覧会、国宝だらけで全部紹介すると来年になってしまいますので💦レポートは私の独自視点で5件に絞って紹介しま〜す。




【11】華厳五十五所絵巻【5/20~6/15】

↑最初の文殊菩薩との場面
東大寺所有の国宝。

華厳五十五所絵巻は、1巻で37場面ある絵巻です。
↑左が文殊菩薩、右の黒髪で膝まづいて合掌してる男の子が、"善財童子(ぜんざいどうじ)"です。

善財童子は、裕福な家庭に生まれた男の子。とっても素直な子なんですよ(^o^)
その善財童子が、文殊菩薩から、
「悟りを得るために、53人の人達の所に行って、話を聞いてきなさい」
と言われ、さっそく旅に出る…というお話しです。
最初と最後に文殊菩薩の所にいくので、53+2="55所"絵巻なのです。
この53人を、"善知識"←(簡単に言うと仏教やってる人、善財童子におしえてくれる先生)と言うのですが、彼らがなかなかの曲者(くせもの)……🤐
神様仏様はもとより、大金持ちや遊女♥️まで…

それを20mほど、巻頭から35場面展示していたので、ほぼすべてを展示していることになります。

チョットとぼけた感じの、善財童子の大冒険!これ見とけ!




【12】金銅宝塔および内容品【5/20~6/15】

西大寺HPより
西大寺所有の国宝。

普段は西大寺の聚宝館で期間限定で公開されているのですが、内部に収められているものは公開されていません。
ところが、今回は内部納入品ともに、すべて展示されています!
この国宝の、正確な国宝指定名称は、
一、金銅宝塔 1基 文永七年六月一日、本願主西大寺沙門叡尊、鋳物師友吉入道西珍等在銘
  一、金銅宝珠形舎利塔 1基(下層内安置)
  一、金銅筒形容器 1合
  一、赤地二重襷花文錦小袋 1袋
  一、水晶五輪塔 赤地錦小袋共 1基
  一、水晶五輪塔 織物縫合小裹共 1基
内部納入品5点を含めて、ひとつの国宝なのです。

画像が無いのが残念ですが、内部納入品の中でも、中心に水晶玉を擁した"火焔宝珠形"の舎利塔が美しい。
また大小の、これまた水晶でできた"五輪塔"は、それを収める錦の袋や打敷(うちしき)が、セットで展示されています。

展示されることが珍しい、全点セット、これ見とけ!




【13】釈迦如来立像【5/20~6/15】

Wikipediaより
清凉寺所有の国宝。

清凉寺でも月1回のご開帳で、見るには見れますが、本堂の奥、厨子の中なので、見にくいんです。
それが、今回の展覧会では、ケース無しで近づいて見ることができます。

こちらの動画のトップで紹介されてます。


最初の仏像生身の仏様三国伝来の像など様々な逸話を持つ仏像です。少しだけ、逸話を紹介しましょう。

《①最初の仏像
今でこそ「仏像」という偶像は信仰の対象とされています。ところが、その昔、仏様の姿形を象って、それを崇める……ということは、行われていませんでした。

ある日、お釈迦様とともに仏道をに励んでいた"優填(うだなや)王"が、お釈迦様がお出かけになられた際、
「お釈迦様がいないと寂しいよ〜
そうだ、お釈迦様そっくりの像を作ろう!これで寂しくないね👌」
で、作られたのがこのお像なのです。


②《生身の仏様
時を経て、天竺では王による仏教弾圧が起こります。難を逃れるため、摩羅琰(くまらえん)というお坊さんが、亀茲(きじ/中国の西域)の国に、このお像を運ぶことにしました。
摩羅琰とお像の道中の様子です。
摩羅琰はお像を背負い、亀茲へ向かいます。なんと、摩羅琰は、常人の2倍の速さで亀茲に到着しました。
「不思議なこともあるもんだ?🤔」

そう思った摩羅琰でしたが、それもそのはず、昼は摩羅琰がお像を背負っていましたが、

なんと!夜、摩羅琰が寝ている間は、お像が摩羅琰を背負って歩いていたのでした!
↑どうです?寝ぼけ顔の摩羅琰、幸せそうでしょ?

さらに時を経て、"奝然(ちょうねん)"というお坊さんが日本から中国へ渡り、このお像を見つけます。
「なんと素晴らしいお像(A)なんだ!
これと同じお像(B)を彫って日本へ持って帰ろう」
かくして、奝然はコピー(B)を日本に持ち帰ることにしました。
ところが、出発の前夜……
お像(A)が動き出し、お像(B)と入れ替わったのです😯!そう、このお像は生きていたのです!


《③三国伝来の像
お像は、無事、奝然とともに日本に辿り着きました。インド→中国→日本と、3カ国を渡り歩いたため「三国伝来」の像と、呼ばれることとなりました。
当時の感覚では、三国=全世界なんです!

さあ、それでは見どころ紹介です。
まずは体前面を見てください。
けっこう沢山の傷があります。
特に手のひら…胸…足元…
江戸時代には何十回も出開帳(でがいちょう)を繰り返して、いつも大人気!皆がお賽銭🪙を投げるので、キズだらけなんですね〜
次は、頭、
"螺髪(らほつ)"と呼ばれる仏様の髪の毛は、フツーお団子みたいのをいっぱい付けてますよね。
このお像では、縄をトグロに巻いたようになってます。

次に、耳👂️の穴を見てください!水晶✨️が嵌め込まれていますよ。
目👁️は、黒水晶🔮です。

あとね、このお像の中には、絹で作られた内蔵が入っているんですよ。
昭和の調査で発見された後、復元模造品が2セット作られ、オリジナルはお像の中に戻されています。※清凉寺の本堂と霊宝館で展示されています。
さすが、生身のお像!

これ見とけ!




【14】餓鬼草紙【5/20~6/15】

以前、東京国立博物館の国宝室で撮影
東京国立博物館所有の国宝。

ウレシイことに、全巻展示されています😄

餓鬼草紙の見どころは、何と言っても出産シーンと、トイレ💩でしょう。
↑出産シーンでは、貴族の邸宅で赤ちゃんが産み落とされたその瞬間が描かれています。
中央の顔を真っ赤にした女性が、今、まさに赤ちゃんを産み落としました。
↑当時の出産て、しゃがんでするんですよ😯
↑そして、餓鬼の魔の手が赤ちゃんに迫る……オソロシヤ😱
平安時代、子供が無事に育つことがいかに難しかったかを表しているかのようです。
↑こちらは平安時代のトイレ🚾
↑お婆さんがウンコ💩してるのを、前から餓鬼が覗き込んでいます。
当時のトイレ🚾は、道端でするんですよ。
そして、ウンコ💩が足に付かないように、みんな"高下駄(たかげた)"を履いています。
↑こちらは母子。お母さんも子供も、"高下駄"履いてるでしょ。
子供が素っ裸なのは、服が汚れないようにとの配慮です。
子供はトイレに行くときは、服を脱がされるんですね〜
↑勢い良く💩してますね〜
高下駄が大人サイズなので、子供には大きすぎます。そんなとこまで、ちゃんと描いています、また、子供が持ってる棒にも着目。これ、木のヘラなんですが、これでお尻を拭くんです。
↑お母さんもモリモリ💩
↑地面には、ちり紙や木のヘラが落ちてます。裕福な人はちり紙を使うし、そうでない人は木のヘラを使っていました。💩に気を取られますが、平安時代のトイレ事情を知る、一級資料でもあるんですよ。だから国宝!
ここに描かれている餓鬼たちは、"食糞餓鬼"だと考えられています。
↑その餓鬼たちに一番人気なのが、この女の子。
💩の表現が、現代のマンガにも共通しています。
現世で悪いことしてたら、こんな餓鬼になっちゃうよ〜

ウ💩ン💩コ💩見とけ!




【15】菩薩半跏像 (伝如意輪観音)【5/20~6/15】
中宮寺所有の国宝。

展覧会の大トリの座を、宝菩提院願徳寺の菩薩半跏像から譲り受けたのが、こちら中宮寺の菩薩半跏像です。
中宮寺では、いつでも見ることができますが、正面からしか見ることができません。しかし、今回の展覧会では360°ぐるりと、どこからでも回り込んで見ることができます。しかも、ガラスケース無しです!
等身大のお像で、全身が黒光りしているため、鋳造された仏像かと思いきや、木造で黒漆塗り。
中宮寺HPより
↑口を縛った、茶壺の様な台座に座っています。これ、中宮寺ではこの角度で見られませんよ😊
また、光背の支柱が法隆寺の百済観音同様、竹を模している点も注目です。
↑左足は、蓮華の台座に乗せていますよ。
↑そして、このお像の特徴でもある、肩に掛かるカールした髪の毛も見どころ。肉体の一部である"髪の毛"を、かくもグラフィカルに無機物の様に表現する飛鳥時代の仏師のセンスよ。
中宮寺HPより
↑なにかと、"アルカイックスマイル"が取り沙汰されますが、せっかくなので、ぐるぐると回りながら、新しい発見💡をしてみてください。


いや〜長くなりましたけど、よりすぐりの5件です。

いかがでしたでしょうか?


国宝には、その1つ1つにたっぷりと魅力があります
流されるままに見ていると、見過ごす点も多いので、じっくりと観覧してくださいね。(^_^)/~