筆の里工房「定家様が伝えた文化(中期)」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

広島県は安芸郡熊野町にあります、筆の里工房


へ行ってきました(^_^)/

中期で展示されている国宝は、

・国宝 古今和歌集 嘉禄二年本 【中期10/1〜14】

の1件です。

では、レポートします(^_^)/



・国宝 古今和歌集 嘉禄二年本
冷泉家時雨亭文庫所有の国宝。鎌倉時代 嘉禄2年(1226年)の作。

藤原定家65歳の時の直筆の書です。
定家は、古今和歌集を17回も書写していますが、そのうちの1つ。

縦20✕横15cmほどの縦長の冊子本です。厚さ3cm程度。
茶紙で、最初のぺージが開かれた状態で展示されていました。

まずは、この巻全体のフォーマットから見ていきましょう。
↑まずは巻名「古今和歌集巻第一」、
次に分類(カテゴリー)「春歌上」、
そして「詞書」歌が詠まれたシチュエーションまたはお題、
作者名」、
」となっていて、これが繰り返します。

では、展示されている歌、1首ずつ見ていきます。

↑①ふるとしに春たちける日よめる
在原元方
としのうちに 春はきにけり ひととせを こそとやいはむ ことしとやいはむ
在原元方(ありわらのもとかた)は、平安時代最強プレイボーイ在原業平のお孫さんです(^_^;)

↑②はるたちける日よめる
紀貫之
袖ひちて むすびし水の こぼれるを
 春立つけふの 風やとくらむ
紀貫之(きのつらゆき)は古今和歌集の選者。土佐日記の作者としても有名ですね。

↑③題しらず
よみ人しらず
春霞 たてるやいづこ みよしのの
 よしのの山に 雪はふりつつ

↑④二条のきさきのはるのはじめの御うた
二条のきさき(藤原高子)
雪の内に 春はきにけり うぐひすの
 こぼれる涙 今やとくらむ
二条の后(きさき)とは、藤原高子(ふじわらのたかいこ)のこと。在原業平とも浅からぬ関係があります❤

↑⑤題しらず
よみ人しらす
梅がえに きゐるうぐひす はるかけて なけともいまだ 雪はふりつつ

↑⑥雪の木にふりかかれるをよめる
素性法師
春たては 花とや見らむ 白雪の
 かかれる枝に うぐひすぞなく
素性法師(そせいほうし )、百人一首にも登場する、"坊主めくり"の"坊主"の1人。

↑⑦題しらず
よみ人しらず
心さし ふかくそめてし 折りければ
 きえあへぬ雪の 花と見ゆらむ
(ある人のいはく、さきのおほきおほいまうちきみ)
「さきのおほきおほいまうちきみ」とは、「前太政大臣」のこと。役職名で言われたって、誰のことだか分からないよ……欧米だとMr.◯◯とかMrs.◯◯って呼ぶので、個人が特定されるんですか、日本人は◯◯課長とか◯◯部長って今でも呼びますよね。
「詠み人知らず」だけど、誰かが「前太政大臣」のことだと言ってたよ……ってことです。

展示で見られる歌は、こことです。



実際に「定家様」見てみてどうですか?
普通に連綿で書かれるより、断然読みやすいですよね(^o^)


展示は、10/14(祝)までです(^_^)/~~