東寺 霊宝館「2022年秋期特別公開(後期)」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

京都の東寺 


に、行ってきました(^_^)/


東寺 霊宝館で開催中の「2022年秋期特別公開 


」の後期への訪問です。


が、後期に巻替えがあったため、訪問しました。

国宝 東宝記の巻第三が、未見であったためですが、思いもよらぬ収穫もあったので、併せて報告します(^_^)/

今回、展示されている国宝は、以下のとおり。

・国宝 東宝記より
巻第三(西院)
巻第二(灌頂院)
巻第六(講説等条々)
巻第七(定額僧)

3件6点です。



・国宝 兜跋毘沙門天立像は、前期のレポートをご覧いただくとして、その他の国宝をレポートします。





・国宝 東宝記


南北朝〜室町時代(14〜15世紀)の作。


まずは復習から……

"東宝記"は、東寺の寺誌です。

それを仏教における3つの"宝"「仏」「法」「僧」にカテゴリー分けしています。

 「仏宝」の上中下、

 「法宝」の上中下、

 「僧宝」の上下、の8巻です。

東寺で国宝指定されている"東宝記"は、12巻と1冊あるのですが、それは「草稿本」(下書き)を含んでいるから。

具体的には、東寺 東宝記

 巻第一 → 仏宝上

 巻第二 → 仏宝中

 巻第三 → 仏宝下

 巻第四 → 法宝上

 巻第五 → 法宝中

 巻第六 → 法宝下

 巻第七 → 僧宝上

 巻第八 → 僧宝下

 巻第九 → 巻一の草本

 巻第十 → 巻一・二の草本

 巻第十一→ 巻三の草本

 巻第十二→ 巻六の草本

 巻第十三→ 巻七の草本

と、なっています。



巻第三(西院)

巻子本(巻物形式)で巻中2mほどを、展示していました。

紙背文書(裏紙にも文書が記されている)になっています。


西院(今の御影堂/大師堂等のあるエリア)の諸堂に関する記述部分の展示です。

元福元年(1233年)弘法大師像が造られ、延応2年(1240年)には御影供(みえいく)が始まったこと。

守覚法親王(しゅかくほっしんのう)が、文治年間(1185〜90年)に、西院の修理を行ったこと。

などが、記載されていました。


字はけっこう汚くて(^_^;)、修正線もたくさん引かれていました。


お堂に関する記述なので「仏法」の巻です。




巻第二(灌頂院)

巻子本で、巻中2mほどを展示していました。


鎌倉時代の、灌頂院の再建や焼失に関する記述部分の展示でした。


こちらも、お堂に関する記述ですから「仏法」の巻ですね。




巻第六(講説等条々)

巻子本で、巻中2mほどを展示していました。

「二季伝法会」「勧学会談義」等の記事です。

"法会"に関する記述ですね。

二季伝法会では、後宇多天皇宸筆の弘法大師像(談義本尊)を掛けるのが決まりだったようです。

ちなみに、談義本尊は前期で展示されていました。


法会に関する記述ですから「法宝」です。



巻第七(定額僧)
"巻第七"は、前期と同じ箇所が見開きで展示されていました。
同じなので、前期のレポートをご参照ください。

お坊さんの人数に関する記述で「法宝」です。




・国宝 後宇多天皇宸翰東寺興隆条々事書御添状(ごうだてんのうしんかんとうじこうりゅうじょうじょうことがきおんそえじょう)

鎌倉時代 徳治3年(1308年)の作。

全巻展示、全長2mを超えます。
これねぇ、知らなかったんですが、2枚の文書を巻子本に仕立ててるんですよ。1枚目は2019年に東博で開催された「東寺-空海と仏像曼陀羅」 


で見てました。

んがっ!
2枚目は初めて見ました\(^o^)/
詳しく説明しますね。

まずは、"後宇多天皇宸翰"の"宸翰(しんかん)"とは、天皇の直筆文書のことを云います。
1 枚目の文書は後宇多天皇が、東寺の灌頂院で伝法灌頂を受けたときの誓いを、行書で6か条にまとめています。
「敬白 東寺興隆条々事
一、○○○ 一、○○○ 一、○○○……」として、
東寺に修学僧を50人おき、真言密教盛んにする。そのために僧坊を建てる事。
御影堂で"不断陀羅尼"を修すること。
東寺の運営や諸堂の修繕資金のため、荘園を寄進すること。etc……が6条書かれています。

そして2枚目は、当時の鎌倉八代将軍 久明親王に保証を求めた"添え状"です。
だから名称の最後に「御添状」と、あるんですねぇ~
「僕(後宇多天皇)は、この6箇条を必ず守るので、久明親王保証してね。」と、書いたわけです。
こちらは草書で書かれ、文末には後宇多天皇の花押が記されています。
後宇多天皇の本気度が、伝わって来ますね(^o^)

ちなみに、この添え状、本物は久明親王に送ってしまってるので、コピー(控えとして複写した)です(^_^;)

国宝 後宇多天皇宸翰東寺興隆条々事書御添状、2枚組だったんだ〜
一回見だだけだと、わからないもんですね〜

この画像では、上が"添え状"で、下が"東寺興隆条々事"です。逆転してる……

今回は、文字多めで地味めなレポートでした(^_^;)
2022年秋期特別公開 」は、11/25(金)までです。