国宝 朝鮮鐘(常宮神社) | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

福井県にあります、常宮神社 


へ行ってきました(^_^)/


国宝の朝鮮鐘が一年半の修復を終え、戻ってきた 


との情報を得ましたので、訪問しました(^_^)

常宮神社は、JR敦賀駅と敦賀原発とのちょうど中間あたりです。

穏やかな湾を見晴らせる、非常に明媚な場所ですが、交通の便はすこぶる悪い……

公共交通機関は、JR敦賀駅から出ているバス一択です。最寄りのバス停は"常宮"。

1日の中で、行って戻ってこれるルートは、

敦賀駅⇒常宮 12:50⇒13:12
常宮⇒敦賀駅 13:57⇒14:19 

この一本しかありません。

でも、心配はありません(^_^)
朝鮮鐘を見るだけなので、45分の滞在時間で充分でしょう。
バス停から常宮神社へは、徒歩5〜6分。
↑鳥居をくぐって、真っ直ぐ行くと……
↑朝鮮鐘の収蔵庫が見えてきます。右手の社務所に声を掛けて、収蔵庫を開けてもらいます。
どなたもいらっしゃらなければ、インターホンで呼び出してください。
収蔵庫もリフォームされたようで、キレイになってます。
では、レポートします。


・国宝 朝鮮鐘
Wikipedia より
常宮神社所有の国宝。朝鮮は新羅時代 833年の作。

日本で作られた梵鐘ではなく、朝鮮で作られたものです。
豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、敦賀の領主であった大谷吉継が、持ち帰ったものと伝わります。

朝鮮鐘は非常に珍しく、国宝に指定されているものは、この1件しかありません。

高さ1m✕直径60cmほどの、スリムな梵鐘です。
サイズとしては一回り大きいですが、良く似たタイプの観世音寺の国宝 梵鐘と比較してみましょう。
↑ザ・日本の梵鐘。鐘をつく"撞座(つきざ)"を交差するように、"袈裟文"という帯状の文様がありますが、
↑朝鮮鐘には、"袈裟文"が無いので、ツルンとしてます。

最大の違いは、鐘を吊り下げるリング状の"龍頭(りゅうず)"と呼ばれる部分。
↑日本のものは、両端で龍が噛みつくようなデザインが多いのですが、
↑わかりにくいですが、朝鮮鐘は一方が龍の頭、もう一方を龍の胴体を象っています。上の写真だと左が龍の頭、右が龍の胴体になっています。
龍の首のところに、フックを引っ掛けて吊るすんです。
画像じゃわかりにくいけど、実物を見ると、首の部分がかなり摩耗して薄くなってしまっているのがわかりました。
この龍は、口の中に宝珠を咥えています。鋳造でありながら、細工が凝っているところですので、よく見ておきましょう(^_^)
そして、右側の龍の胴体部分は、何と円筒形になっています。旗を刺すための、"旗刺し"だそうです……鐘に旗を刺す?(?_?)
そして、その筒は、鐘の中まで突き抜けているんです。そのため、通常の鐘より高い音が鳴るそうです。
↑鐘の上部と、"乳"と呼ばれる乳首みたいな装飾の周りには、波が細かく鋳出されているのも珍しいです。
↑拡大してみました。"波の模様"、わかるかな?
↑そして、鼓を叩く天女。表裏2体います。

収蔵庫内では、中央の台の上に乗せてあって、360°ぐるりと見ることができます。

サビが除去されて、鐘全体に墨で落書きされているのが、よく見えます。"享保"など江戸時代の日付けも見えます。当時の人達の記念の落書きだそうです。
また、鐘を撞くところ"撞座(つきざ)"が、蓮華文を象っているのですが、摩耗が少なくキレイに残っています。
これは、ここ常宮神社が神社であって、お寺ではないので、鐘を撞く機会が少なかったからだそうです。

収蔵庫に入ると、カセットテープでガイダンスを流してくれます。テープの中では、"鐘の音"も聞けますよ。

明るい室内で、360°全周見られて、お寺の人の話しも直接うかがえて、面白いです(^_^)。

今回の修復にあたり、鐘をコーティングするか?希望を聞かれたそうです。
コーティングすると長持ちするそうですが、風合いを残すためコーティングはしなかったのだとか。
私もその判断で良かったと思いました。
その後、お参りしながら、バスの到着時刻まで時間調整しました。
↑海辺にある、舞殿。
ベンチがあって、休憩できます。