妙喜庵へ国宝の茶室 待庵(たいあん)を見に行った | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2025年5月現在の国宝の総数1,144件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

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夏期休暇最後の日は、京都 山崎にあります、妙喜庵へ訪れました(^-^)/
JR山崎駅の駅前に妙喜庵はあります。
徒歩5秒くらいです。
入り口横には小さな茶畑が作られてますね。(黒いビニールで覆ってあるところ)
さて、妙喜庵には国宝の茶室3庵のうちの一つ、国宝 待庵(たいあん)があります。
今回の目的はそちらの拝観です。
由緒書き。
妙喜庵は拝観謝絶のお寺でして、待庵の見学には、事前に往復ハガキでの申し込みが必要となります。
(申し込み方法はこちらに記載されています)
お寺の入り口は、こちら。
でも、本来の正門はこちらではなくて、少し右手にある、
こちらの門になります。
客人は、ここから入り庭を通って待庵へ向かいます。

ここから先は、撮影禁止でした。


今回、私を含めて4名が参加しました(^o^)
まずは、重要文化財の書院に通され、お寺の方から説明を受けました。
待庵は、千利休の残した唯一の茶室で、茶室としては最も古いものだそうです。

ちなみに国宝の茶室は3庵で、作成順に並べると待庵→如庵→密庵の順になるようです(^.^)

拝観時間はちょうど1時間ほど。
重文書院での説明の後は、庭に降りていよいよ待庵の見学です。

まずは、外観から見ていきましょう。
待庵は、昨年の台風21号により、壁にひびが入ったようですが、全面をキレイに塗り直してありました(^o^)
また、屋根も柿葺き(こけらぶき)がキレイに葺き変えられていましたよ。

ここからは、購入した絵葉書を交えてレポートします。
↑書院からは、待庵の西側の小さな下地窓が2つ見えています。
この2つの窓は次の間の窓です。強い西日はそれほど取り込まなくても良いので、東側の窓よりも小さく作られているそうです。

↑飛石をつたって南側に回り込むと、にじり口があります。板戸で作られたにじり口は大きめのもの。時代が下るとだんだん小さくなって、二尺二寸の定形に落ち着きます。
さて、この"にじり口"、千利休が船座敷の入り口から着想を得たそうです。
その名残りで、通常の襖や引き戸にある、引き戸を滑らせるためにレール状に彫ってある"敷居"に該当するものがありません(^o^)
代わりに、挟敷居(はさみしきい)という引き戸を挟み込むような形式になっています。レールのようなくぼみが無いため、庵内の埃は、ストンと下に落ちるのでお掃除楽々だそうです(^o^;)

で、気になっていた事を聞いてみました。
「刀かけは、どこにあるんですか?」
文化財指定を受けた時点では無かったそうです。
だから、あったかも知れないし、無かったかも知れないが答えだって。

↑さて、内部に目を移しましょう。
茶席は二畳のみの極小空間。ただ通常の畳より長辺が10cm長い大きめの畳です。
にじり口から見て、畳が縦に2枚並んでいます。左の畳には炉が切ってあって主が座り、右の畳には客人が座ります。客は2・3人しか入れません。実質2人が限度でしょう。

正面には床の間。
「妙喜」と書かれた軸が掛かっています。
そして、この床の間が「室床(むろどこ)」と呼ばれていて、閉鎖感を無くすよう、角の柱を塗り土で塗り込んで見えなくすると共に、丸みを持たせて鋭角を無くしています。
これによって、空間の終わりが曖昧になって、奥行きが広がって感じるのです。
で、気になっていた
「室床の天井はどうなっているの?」
自分の目で見てみました。
天井も壁と同じように塗り土で塗り込んでありました(^o^)丸みを持たせてあるのも同じでした。

床柱は杉。
釘が2本打ち付けてあります。
上の方に打ち付けてあって内向きなのは、花器を掛ける釘。
それより少し下に手前向きに打ち付けてあるのは、燭台を掛ける釘だそうです。

框(かまち)は桐。
手前に向けて、木のふしが◯◯◯と3つ並んでいます。こんなところにも利休のこだわりが……

天井にも空間を広く見せるための演出があって、客座の上は天井板を無くしています。

次は壁を見てみましょう。
土壁で藁が表面に見えるようになっています。利休はこれを"侘び"としたようです(^o^;)現代だと"コンクリート打ちっぱなしがオシャレ"みたいなので感じですかね?
東側の窓は2つで、高さを変えています。引き戸の障子と掛け障子です。
外からは葦を使って格子にしてあります。
畳から近いところには腰貼り。衣服が壁に擦れて、壁が汚損することを防ぎます。当初は紫だった色も現在はグレーに変わっています。

ひととおり待庵を見学し、母屋の方に戻り、最後は明月堂という現在の茶室に案内されて終了です。

待庵の中には入れなかったし、写真もダメだったんですが、1時間たっぷりゆっくり拝観できたのは、とても良かったです\(^o^)/


その後は、大山崎町歴史資料館で復習です。
こちらには待庵のレプリカの他、大山崎の歴史が学べる工夫された展示があって、結構楽しかったです(^o^)
今までに見たことのある、国宝のレプリカがあって、大山崎と関係があったんだ?!となりました。