京都国立博物館「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」(前期) | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

京都国立博物館で開催中の特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」展の前期展示へ行ってきました。
国宝 一遍聖絵 全12巻の全場面展示という、絵巻好きに嬉しい展示方法です。

国宝 一遍聖絵の国宝指定名称は、
国宝「絹本着色一遍上人絵伝」
 です。
清浄光寺が保有している巻1~12と、東京国立博物館ぎ所有している巻7がありますので、今回見られる国宝は、

・国宝 一遍上人絵伝 巻1~12(清浄光寺)
・国宝 一遍上人絵伝 巻7(東京国立博物館)

の2件になります。
なんかややこしいねf(^_^;?
この辺の話は、前回の土曜講座の記事に書いているので、よろしければどうぞ。


さて、展覧会のレポートといきましょう(^-^)/
3階から降りていく、いつものルートです。
3階は、浄土宗から時宗への変遷についての解説。
時宗の活動の源泉である「遊行」。そこで使われる各種ツールや、ゆかりの品を展示することで、時宗の活動と一遍の人となりを紹介していました。

遊行というのは、全国を行脚して布教することです。
そして布教の方法は、"踊って念仏を唱える"という「踊り念仏」と、"御札を配る"「賦算(ふさん)」という2大コンテンツでして、身分を問わず極楽浄土に行けるということで、市民に大ウケしたようです。

その後、一遍は"遊行"を自身一代限りと考えていたのですが、二祖の「真教(しんきょう)」が教団として組織化をはかり、これにより鎌倉時代から室町時代に一大ムーブメントとなったようです(^o^)

ちなみに、一遍も真教も1階に御像(2D or 3D)が展示されていますので、そのお顔がわかりますよ。真教は晩年病気により顔が歪んでいるのですが、それもちゃんと表現されています。
それで思い出したけど、一遍聖絵の中には、身分の低い人、病人や貧しい人といった社会的弱者も描かれているんですよ。
貴族の援助がなければ、作成できなかったであろうハイグレードの作品にも関わらず、卑しい人達が描かれている事は興味深いですね。逆に高貴な人の目を気にして、描き直したシーンなんかもあります。元は裸にふんどし一丁の一遍に、服を着せて書き直しています
(巻4の筑前の国の武士の館に入り、御札を受け取ってもらう中央の一遍さんと、受け取ってもらえてルンルンで門から出ていく右下の一遍さん、この二人の一遍さんは元は、ふんどし一丁だったものに服を着せています。前回の土曜講座で教えてもらいました(^o^)

描き直しは他にもあって、分かりやすいところでは、こちらの登場人物のポーズが変更させられていたりしています。
(画面左下の、男二人組がいますよね。その右側の男の回りが乱れています。元々この人弓矢を持っていたんです。弓の形がわかりますよね。描き変えられているんです)

国宝 一遍聖絵は、2階の展示室ぜんぶを使って展示されています。
その特徴である、名所絵的な風景を楽しみつつ、踊り念仏のシーンや、当時の人びとの生活風景、ウォーリーをさがせ的に一遍を見つける作業もあったりして、時間がいくらあっても足りません。
ですが、この展示会けっこうすいてるんですよ。(個人的には嬉しいですが、絵巻の展示会が人気が無いのは寂しい(>_<)

ちなみに、私のお気に入りは「猿」です。馬屋の横にいるので探してみてね(^_-)-☆

踊り念仏のシーンは、巻7がお気に入り。
櫓の下、中央の浅黒い眉毛がキリリとした顔の僧ご一遍です。
巻7の超拡大版が見たい方には、京都文化博物館の常設展をオススメします。絵巻シアターの中の一つが、この一遍聖絵の巻7なんです。モブキャラ一人ひとりの表情が見られて楽しいですよ(^o^)

そして、1階は歴代遊行上人の肖像彫刻を中心として、時宗道場ゆかりの品々の紹介でした。

なお、国宝に新指定された安祥寺の五智如来像のうち2体(阿閦如来・宝生如来)も1階に展示されています。

当日は土曜日だったため、午後8時までの夜間延長で、ゆっくり見て回ることができました(^-^)



後期展示も訪問予定です。
後期には、国宝 洛中洛外図屏風(舟木本)
岩佐又兵衛筆が、展示されます。

それじゃまたね(^_^)/~~

後期のレポートはこちら