西本願寺 国宝「書院」特別拝観ツアー | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

先日、西本願寺の所有する国宝建築物「書院」の特別拝観ツアーに参加してきました。

現在、龍谷ミュージアムで開催中の特別展示「仏教美術のいきものがたり」の関連イベントとして、実施されたものです。


龍谷ミュージアムは、西本願寺の真ん前にある、おしゃれな美術館です。
こちらのセミナールームで30分ほど、学芸員の方の話をお伺いしてから、ぞろぞろと出発です。

西本願寺には国宝建築物が沢山あります。前回訪問時にご紹介した、御影堂・阿弥陀堂、京の三閣の1つに数えられる飛雲閣唐門北能舞台(画像左)、そして今回見学する「書院」です。

書院は、書院(対面所及び白書院)と黒書院別々に国宝指定を受けています。
(残念ながら今回の見学に黒書院は含まれていませんでした。黒書院は西本願寺の門主の執務室であり、生活空間でもあるので、一般公開されたことはほぼありません。チョッとだけ期待していったんですが、残念(>_<))

左が国宝 書院の玄関。右の白い建物が龍虎殿、西本願寺の寺務所です。

今回の拝観は、この玄関から入らず、龍虎殿内部から、書院の中に入っていきます。

内部は撮影厳禁なので、ここからは文章のみです(^_^;)
↑の写真は、書院の玄関正面ですので、この中を右から左へ移動しました。
この中に一番最初の部屋、虎の間があります。
部屋一面に杉戸絵で、虎と豹が描かれており、近年全面を複製画に書き換えられています。
虎の間を抜けると、国宝の書院(対面所)
と重要文化財の南能舞台(画像右)が現れます。
↑の写真の右手が虎の間。左手の三角の屋根の建物が、書院(対面所)です。
拡大してみましょう。画面中央の少し右に、虎がいますね。

さて、次は対面所(鴻の間(こうのま))です。
対面所は200畳以上ある、書院の中でもっとも広い部屋です。
正面に見える上段の欄間に、コウノトリが彫られているため、鴻の間(こうのま)と呼ばれています。
こちらは、門主が信徒と対面するための間で、今でも西本願寺の行事で実際に使われています。
門主が座る上段のさらに上に、上々段があります。将軍や天皇など超VIPが座る場所ですが、今まで使われたことは無いそうです。
襖絵は狩野派と円山派による鶴松の絵。
そして、庭に目を向けると正面に見えるのが、重要文化財の南能舞台(画像右)です。
南能舞台(画像右)を裏から見たところ。左端に舞台が見切れていますね。能舞台の床下には、音響効果を高めるため、大きな龜(かめ)がスピーカーがわりに設置されているそう。

この対面所から南能舞台(画像右)を見たときの工夫がスゴいです(^o^)
対面所の縁側から南能舞台(画像右)を見ると薄暗いのですが、対面所の中で座って南能舞台を見ると、ハッキリと舞台が見えるんです!
この視覚効果は是非とも経験していただきたいと思います。
余談ですが、この対面所内で食事ができるイベントがあります。興味と余裕がある方はどうぞ。

次は雁の間

襖絵に雁の1日が表されています。
まず、右手に朝の図。空に飛び立っていく様子が描かれています。
次に正面は、お昼のお食事タイム。餌をついばんでいます。
左手は夜の図。寝床に帰る様子です。
この夜の表現が凝っています。
左手襖の上部 欄間部分に雁が透かし彫りされているのですが、そこからとなりの部屋に描かれている月が見えるようになっているんです!
そうやって夜を表現しているんですね~。

さて、そのとなりの部屋は菊の間
襖全面に菊が描かれています。先ほど雁の間から見えた月もありますが、菊の間ではこの月の意味はありません。

そして雀の間
雀が68羽描かれていたのですが、あまりにリアルだったため、2羽は飛び立っていきました。ということで、今いるのは66羽。という文化財あるあるの逸話があります。


さて、次はいよいよ白書院
一の間、二の間、三の間と連なる、門主と賓客との対面のための空間です。
対面所(鴻の間)よりも、豪華な作りになっています。
そして、この白書院にも、能舞台が付属しています。
国宝 北能舞台(画像左)です。重文の南能舞台(画像右)よりも、一回り小さめの能舞台です。VIP専用能舞台ってわけですね(^_^)

更に進むと、国宝 黒書院に続く伝廊があります。
そちらへの立ち入りはできませんでしたが、伝廊内部は見ることができました。

ツアーも折り返しです。

帰りは、対面所(鴻の間)の裏、狭屋の間(さやのま)を通ります。
間といっても、ほぼ廊下です。
ここは、今でも西本願寺の僧侶が試験の時に使うそうです。
そのためなのか、天井絵は本が沢山描かれています。
そして、その中に猫が一匹隠れています。ネズミが本を噛ったりしないように見張っています。八方睨みの猫と呼ばれ、どこから見ても目が合うそう。これも文化財あるあるですね(^_^;)

そして、狭屋の間(さやのま)の目の前に広がる枯山水の庭が、虎渓の庭

その後、最初の虎の間に戻ってきました。

以上でツアーは終了です。
1時間たっぷりと学芸員の方にご案内いただきました。
ガイド役の人がいると、一人では気付かないところ、見逃してしまうようなところを紹介していただけるので良いですね(^_^)
ただ、自分で心行くまでじっくり拝見する、といったことはしづらかったので、あらためてもう一度訪問してみたいと思います。

書院拝観の機会としては、毎月16日のShinran's dayと、5/20~21の宗祖降誕会がありますので、タイミングが合えば参加してみますね。