正木美術館へ行ってきた | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

今日は、大阪の泉北にある正木美術館へ行ってきました。

正木美術館では、正木さんという方の個人のコレクションを保管・展示しています。現在、正木美術館50周年記念展が開催されており、正木美術館が保有する国宝3点すべてが展示されます。
会期はⅠ期~Ⅲ期で、
 Ⅰ期9/4~30
 Ⅱ期10/3~11/4
 Ⅲ期11/7~12/2
となっていて、それに対応する国宝の展示は、以下のとおりです。

 ①国宝 三体白氏詩巻 小野道風筆(Ⅰ・Ⅱ期共通)
 ②国宝 白氏詩巻(後嵯峨院本)藤原行成筆(Ⅰ・Ⅱ期共通)
 ③国宝 大燈国師墨蹟 渓林偈・南嶽偈(Ⅲ期)
です。

今日はⅠ期ですので、①三体白氏詩巻(小野道風筆)と②白氏詩巻  後嵯峨院本  (藤原行成筆)を拝見してきました。

南海電鉄の忠岡駅から歩いて15~16分、住宅地とも商業地ともつかない場所にあります。

一見、公民館のようですが、国宝3件を保有する立派な美術館です。

それでは中に入りましょう。

あっ、そうそう。こちらの美術館は展示会の無いときは休館しています。概ね夏と冬は休みなので気をつけてくださいね。

さて、入館料700円をお支払して、中に入ります。こぢんまりした2階建ての美術館で、展示の大半は1階で2階はおまけ程度です。

入館してすぐの場所に小野道風筆 の国宝 三体白氏詩巻が展示されています。

小野道風は、字が上手くて、藤原佐理と藤原行成と合わせて「三跡」と称されています。

みなさん小野道風なんて聞いたこと無いですよね。
でも、柳にカエルの話は聞いたことあるんじゃないかな?

字がなかなか上達しないことに悩んでいた道風が、ある日の帰り道、垂れ下がる柳の葉に飛びつこうとしているカエルに目をとめました。
「その高さじゃ、いくら頑張っても飛びつけないよカエルさん。とっとと諦めな。」と眺めていたところ、
急に風が吹き、カエルはタイミング良く柳の葉に飛びつく事ができたのです!
それを見た道風は、急に自分が恥ずかしくなりました。
「俺はあのカエルのように努力を続けていない。努力を続けていれば、さっきのようにいつか風が吹くかもしれない。諦めてしまっては、チャンスをつかめないではないか!俺ってバカバカっ。よしっ、帰って練習だぁー!」
って話です。

こうして、字が上手くなった道風は、その作品が現代の国宝までになってるんですよ。

国宝 三体白氏詩巻は、昔の中国の詩人 白居易の詩を、道風が楷書・行書・草書で書いて見せた、一枚で三つの書風が楽しめる作品です。
楷書→行書→草書の順で書かれています。楷書ば読めますが、元が漢詩なので意味はわかりません。
行書になってくると、字もわからなくなってきます。
草書となると、もはやさっぱりです。
ところがこちらの美術館、親切にもキャプションに漢詩の訳文をつけてくれています。
内容的には、自分の住まいや弟に関する事などが書いてあるようです。
そして、巻の最後には花押がサインされてます。ちゃんと見えるように展示に工夫がされているので、しっかり見ておいてくださいね。


次は、藤原行成筆     国宝 白氏詩巻(後嵯峨院本)です。
はい、きました。三跡二人めー。

こちらも、唐の詩人 白居易の漢詩を書でしたためたものです。行書で書かれています。内容は、老いと飲酒の話し。何だそりゃ。

行成は、藤原道長と同時代の人ですね。道長の書いた国宝 御堂関白記の中にも、行成の息子の元服の祝いに馬を送ったり、習字の手本を請うたりしている記載があります。
それほどに、字がうまかったんですね~

国宝は以上ですが、その他に一休さんとその彼女 森女の掛軸なんかもありました。

展示目録を貼っておきます。

実は2つの国宝は、昨年の京博での国宝展で既に鑑賞済みのものでした。

正木美術館50周年記念展のⅢ期で未見の国宝 大燈国師墨蹟 鑑賞のための予行演習でもありました。

南海電鉄は台風21号の影響で、不通の区間があったりしたのですが、忠岡駅までは問題ありませんでした。

さぁ、この後は「プーシキン美術館展」に行きますよー\(^_^)/