機的状況にある日中関係を考える際、ロバート・マクナマラ(ベトナム戦争時の国防長官)が戦争の教訓を語るドキュメンタリー映画「戦争の霧」が参考になると思います。


その中でマクナマラは教訓の1として「敵(相手)の立場に立って考える」ということをまずあげています。いわく、キューバ危機の際にはソ連指導部の立場を理解したうえでの対応ができたことで世界を破滅の危機から救うことができた。が、ベトナム戦争ではそれができずに、アメリカは敗北した。


話を日中関係に戻すと、前回(2005年)の反日デモのときと(そのとき自分は上海在住でした)、今は次元が違います。あのときは過去の問題でしたが、今回は「今」の問題。落とし所を見つけることがきわめて困難です。


日中双方に存在する拳を振り上げることで政治的な利益を得ようとする政治家や部数を伸ばそうとするマスコミにこの大事な二国間関係を台無しにされてはならないと思います。が、ここまで来たら、かなり難しい……しばらくは綱渡りをしながら、衝突を避けるための最大限の努力を双方に求めるというか祈るしかなさそうです。