日は二度のすばらしいシャッターチャンスに遭遇した。

まず初めは、午後6時前の東の空に突然現れた虹。久しぶりの虹だ。

山肌にまぶしいほどの西日が当たっているところで、その山にかかっている白い雲の一端から美しい色の虹がにょきにょき伸びてきている。

きのうもそうだったが、今日の西日もすばらしくいい色をしている。そのせいか、今日の虹も普通以上に美しい色をしているように思えた。

残念だったのは、カメラが手元になかったこと。

せっかくのシャッターチャンスを逃してしまった。

ほんとうに残念。



それから小1時間ほどして、母親のいる介護施設に向かった。

着いたのは午後7時ごろだっただろうか。

夕食が終わり、ダイニングから部屋に戻ろうとしている一人の老婆の姿が眼に入った。廊下につけてある手すりにつかまりながら、ゆっくりとではあるが、自分の足でしっかりと歩いている。

目の前では、今にも沈もうとしている太陽が今日最後の光を盛んに放っている。

強烈な光だ。

もちろん方角は西。まるで、その老婆が西方浄土に向かって歩いているといえばいい過ぎか、あるいは罰当たりか……

$いなかパラダイス―辺境からの問いかけ


いずれにせよ、二度目のシャッターチャンスにカメラを持参できていたことは実にラッキーだった。


今日のこの二つの出来事からわかるとおり、日々の暮らしにシャッターチャンスはいくらでも転がっているのであって、それをとらえるには、やはり常にカメラを近くに置いておくべきなのだと改めて気づいた。

それぞれのシャッターチャンスはもう二度とはめぐりあえない貴重な瞬間。それをとらえるために、明日からは傍らにカメラを常に置いておこうと思う。