読み始めて鬼籍に入った母を思い出した
自分の思いを余り語らなかった母の心の声が聴こえてきた
 

内容
北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。不安と苛立ちと寂しさと、懐かしさと後悔とほんのちょっとの幸せと、揺れては消える老境の心情が、静かに切々と迫ってくる。 ... 
 
先に施設に入所した口数の少ない夫を見舞い思いやるおもちさんの姿が切ない
お互いに苦労してきた若き日に思いを馳せながら、思い通りにならない身体に涙する
 
おもちさんに厳しい長女に対しては、自分の事を思ってのことだと理解している
それでも娘の愛情を感じながら、口やかましさが煩わしい
なぜ、ちょっと歳を取っただけで念のためと多めに自由を奪われないとならないのか
というおもちさんの叫びがささる
いつまでも頼りがいのある母でありたいと願いながらも、少しずつ色々な事をできなくなることが増えていく自分に寂しさを感じている
 
おもちさんと娘とのやり取りが数年前の私と母の関係を思い出させる
亡き母にもっと思いやりをもって接し、口にはださなかった「思い」を推し量るべきだったと反省しきり