80代の親が50代の子どもの面倒を見る「8050問題」の物語を読む
社会派ミステリーは内容が重い
そして読み応え有り
 

内容
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリー。
 
明日は今日よりも豊かになると考えていた時代から
バブルが弾けて世に閉塞感が漂う時代を過ごしてきた青年と高齢者が社会から取り残されてきた
そんな人を利用する悪徳ビジネスが絡み事件を複雑化させる
青年は自分を承認してくれなかったこの世界、そして自分を恨む
事件を担当した奥貫刑事自身が娘を育てられなかったトラウマを抱え、事件を他人事ではなく自分事と捉え犯人の心の闇と響き合い事件の解決へ向かう
 
読み手は登場人物の誰かになるかもしれないという恐怖を味わう