読んでいて気持ちのよい小説に出会う
 

内容
裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。 「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。 「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」 親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代

目次

再会 昭和二十四年(一九四九年)
嫁入 大正十五年(一九二六年)
噂話 昭和四年(一九二九年)
秘密 昭和七年(一九三二年)
身体 昭和八年(一九三三年)
戦禍 昭和十六年(一九四一年)
自立 昭和二十四年(一九四九年)
明日 昭和二十五年(一九五〇年)

 

この時代の女性が置かれている社会的地位は、現在とはまったく違っている
 親が決めた婚約など今ではないかもしれない
そして女中さんという言葉も懐かしい響きだ
現代では考えにくい女性の生き方「家に入る」「夫を支える」「妾を持つ」など、価値観の中で立場を越えて支えあってこの時代を千代と初江は逞しく生き抜く
人と人が心で結ばれる仲は幸せな関係だ
立場が逆転しても同じ家に暮らす仲間として、自立した二人の関係が素敵に描かれている
 


異性とも心は通じ合いたい