第169回直木三十五賞受賞作
やる気なし
使命感なし
執着なし
という本の帯を読んで目を引いた
自分自身のキャッチフレーズだ

内容
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。
読み応え有り
武士団と後醍醐天皇の権力闘争が凄まじい
命を賭して一族を守り抜く姿と主従関係の複雑な背景に裏切りが何度も繰り返される
兄尊氏に対する弟直義の辛辣過ぎる批評
頭の中が頭陀袋
世の中の人を見る目というものはまるで節穴だ
と散々ではあるが兄弟の絆は強く
お互いの良い面は認め合う
そんな私利私欲の無い兄弟が北条執権政治を倒す
世が太平であれば欲のない二人は平和に仲良く暮らせたであろうが、時代が許さなかった
兄弟の奔走と彼らを支えた高師直の儚い生き方と不遇な人生を描いた
歴史を学ぶ時に単に出来事と中心人物しか追いかけてこなかったが、このように各個人の思いに触れるとその時代の人の生き様の凄まじさや切なさを実感できる