
内容
脚本家志望の若者・朝比奈英一は、制約だらけの日本から海を渡り、満州映画協会の扉を叩く。だが提出するメロドラマはすべて、ドイツ帰りの若き女性監督・桐谷サカエから「この満州では使い物にならない」とボツの繰り返し。彼女の指示で現地スタッフの陳雲と二人で、探偵映画の脚本を練り始めるのだが……
フィクションに史実を絡ませた物語
大杉栄らを殺害した甘粕正彦や731部隊の石井少将、李香蘭などを登場させている
歴史で学んだ満州帝国は日本の傀儡国家で胡散臭い話ばかりであった
しかし都の新京は新進気鋭の街並で、満鉄のアジア号は世界最先端の列車だった
当時満州へ移り住んだ人々には夢のある開拓地であり、その後辛い目に遭うことになるが…
満州の話になると友達の母親が大連育ちで引揚者であったことをいつも思い出す
そんな満州帝国で日本人にはまだ「楽園」であり、きらびやかな世界と裏街の悲惨な時代の物語