今年も京都五山の送り火を見られず
ひっそりお盆を過ごす
そんな日に
名まえだけは知っていた戦国武将の松永久秀の物語
歴史小説を一気読みした
夢を追い求め生きようとした人物を作者は描いた

内容

戦国時代の三悪人の一人として名高い松永久秀。その生涯を、絶望的貧困から立ち上がり、一国の城主として大成、さらに最後、織田信長に攻められ自害するまであまさず余さず描く。『童の神』で直木賞候補となった今最も勢いのある若手歴史作家による、圧巻の戦国巨編! 

 

戦国時代、大和国を治めた武将・松永久秀。
主家の乗っ取り、将軍足利義輝弑逆、東大寺焼き討ちという「三悪」を犯した「悪人」として知られる。信長に対して二度の謀反、最期は信長が所望した茶器・平蜘蛛に火薬を詰めて爆死したなどという派手な巷説が生まれたほどの、逸話の多い人物である。
 しかし、果たして松永久秀は本当に巷間伝わるような「悪人」だったのか。



 子どもの頃追剥の一団に救われ仲間になった九兵衛は、「武士は人の欲心の化身」と語る三好元長の存在を知り、“武士を駆逐し民が政を執る世を創る”という元長の夢を実現するため、甚助とともに彼を支える。しかし、一向一揆による元長の死や、三好家中の派閥争いなどに搦めとられるようにしてその夢は遠のいていき、久秀は“三悪”を為すことになるが、その真意とは如何なるものだったのか──。本作は、久秀の二度目の謀反を告げに来た小姓頭・狩野又九郎に向かって、織田信長が語る形で、久秀の人生が描かれる。

色々なものを受け取り背負っていく前半と、それを下ろして次に受け継いでいく後半を、対になるように描きたかったという作者

 

現代でも生活のためにだけ働くのではなく夢を追い求めて仕事することがある

それが夢に近づいたり達成したりする人もいれば、大人になるにつれて実現が難しくなることで生き方がまた別れる

 

生まれた時代と環境が子どもの頃の松永久秀には厳しいものであったが、その世の中を変えたい一心で命がけで生きた男として描かれた

その主人公久秀は織田信長に生き様を認められながらも、夢半ばで諦めざるならなくなるのが一番切なく感じた

パワーのある生き方は素敵だが今は静かに暮らす生き方を望む