今まで近くに居た女性との関わり方を振り返ってみようという気持ちになる物語
芥川賞の候補にもなった『夏の裁断』(2015年刊/文藝春秋)は純文学作品
作家と編集者の不思議な関係を書く
小説家・萱野千紘の前にあらわれた編集者・柴田は悪魔のような男だった―。過去に性的な傷をかかえる女性作家。胸苦しいほどの煩悶と、そこからの再生を描く
冒頭からフォークで男の刺そうとするショッキングな場面から物語が始まる
物語は主人公千紘の過去と現在を行き来しながら、彼女の変化していく様子を描写していく
編集者・柴田を「深刻さと軽薄さが常に入り混じり、女を粗末に扱いつつも腐ったように甘えたところ」が父と似ていると彼女は述べる
そして彼女の父は「世の中で愛されるのは馬鹿で可愛い女の子…」と話していた
そのような男たちに囲まれて生活してきた千紘は祖父の蔵書を裁断して電子化する「自炊」
する中で変化していく
虐げられて育つと自己肯定感が育たず人と接する時に、接し方が卑屈になってしまう
特に千紘は性的に嫌な出来事から両親に守られなかったので苦しむ
自己肯定できるか否かは自分だけの問題ではない、子どもを育てる親にかかっていると言っても過言ではないと思う
子どもは勿論、女性の話にもっと耳を傾け、自分の考え方を押し付けるようなことのないよう
相手の立場を尊重しようと思う
(どSだからね)