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ペセタで経済の活性化

8月2日(23:00)


 20%を超えるEU諸国最悪の失業率と、修復不可能とも見える経済的混迷の続くスペインは、ついに現政権が総選挙の前倒しを決め、国民に信を問うことになりました。
 こんな中、スペイン北西部のガリシア州の「MUGARDOS」(ムガルドス)という小さな村で、2002年のユーロ導入により廃札となったスペインの旧通貨「ペセタ」の再利用運動が起きています。


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 スペインの旧通貨「ペセタ」

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1000ペセタ札(約550円)

 ユーロを導入したEU諸国では、国の事情によって期間は様々ですが、自国の旧通貨とユーロの交換最終日を決めていますので、それ以後の交換は出来なく、旧通貨は単なる紙くずになってしまいます。
 スペイン政府は、ペセタは国が存在する限り交換するという非常に鷹揚な措置を取っていますので、スペイン国立銀行(日銀にあたる)に行けば、いつでも交換することが出来ます。
 ただ、国立銀行まで出かけるのが面倒くさく、そのままたんすの中に眠ってしまっているケースが多いようです。

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スペイン国立銀行


 政府の調査によると、まだ国庫に戻っていないペセタが17億ユーロ(約2000億円)もあるといいます。その内の半分くらいは、どこかに置き忘れているか、すでに紛失しているでしょうが、残っているだけでも市場に流れると、かなりの活性化に繋がります。
 この村では、殆どのお店でペセタが流通しており、近隣の町や村からもペセタを手に買い物に来る人もいるようですが、この運動は全国に広がらなければ意味を持ちません。
 スペイン銀行に持って行く手間と、同じくらいの労力と時間が掛かるのでは、絵に描いた餅になってしまいます。
 ということで、今のところ、その実効性は明らかにされていませんが、アイディアとしては卓抜だと思います。
 日本政府も、この事をヒントに、「たんす預金放出作戦」を展開してはどうでしょうか。
 日本人の個人金融資産額は1500兆とも言われ、年間GDPの3倍以上にもなります。
 また、その資産の半分以上は預金、現金ですが、0金利政策の弊害や、いわくつきのお金もあり、たんす預金の額は天文学的な数字に上っています。10兆ドル(800兆円)という試算はオーバーにしても、日本銀行が、発券している1万円札の3分の1以上が一般に流通していない、と言っているように、その額は30兆円を下りません。
 これだけのお金が、直接、間接に消費に回されれば、間違いなく経済は活気づきますね。

 

「たんす預金」の実態は、計らずも今回の東日本大震災の津波で、その断片が明らかになりました。
 被災地跡からは津波で流された金庫や、夥しい現金が回収され、全てを保管する警察では、その持ち主の特定に苦慮しているそうです。
 回収された金庫も、会社用であったり個人用であったりしますが、中には4000万円、8000万円という高額な現金が保管されているそうです。
 金庫の場合は、何とか本人を確認する方法はあるようですが、裸現金となるとどうしようもありませんね。


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津波で流され回収された金庫

いつものように、話がちょっと横道にそれてしまいました。
 これらの「たんす預金」を合理的に放出させるのは、今、国会でもめている復興債(赤字国債)の発行が最終的に決まり、日銀や金融機関が引き受けてしまえば仕方がありませんが、個人向けの非課税国債とし、余った分は日銀が買い取る、とすれば、隠れた金は出てきますし、日銀が買い取った分は、5年か10年の期限が来て償還しようがしまいが、国民にとっては何の問題もありません。
 もっとも、このことのネックは、マネーロンダリングに繋がりかねず、悪を助ける恐れもあります。
 一説によると、「たんす預金」の中身は、福沢諭吉ではなく聖徳太子の1万円札が多いとのこと、ここは悪を助けるよりも悪を切ることを主眼に、超法規的な処置を講じ、聖徳太子の1万円札に有効期限を付けるのがベターかもしれません。


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聖徳太子1万円札(見本)
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福沢諭吉1万円札(見本)


 一般の方が、銀行預金をせず「たんす預金」にしている場合は、何も聖徳太子を持っている必要はないわけですから…。聖徳太子の1万円は疑惑のお札かも知れません。
 有効期限内に使用すれば良し、余った分については、しっかりとした本人確認をした上で、持っている理由を添えて申請し、お上が納得すれば福沢諭吉に交換する、という案は、ちょっとふざけ過ぎでしょうか。
 あやふやな記憶ですが、有効期限付加案は、某TV番組で、有名なコラムニストの勝谷さんが提唱していたように思いますので、そんなに荒唐無稽な話ではないと思います。

帰国の延期

8月1日(23:00)


 皆さん、暑中お見舞い申し上げます。
マドリードは連日の猛暑が続いていますが、湿度が少なく、いわゆる乾いた暑さですので、家の中では冷房をかけなくても平気です。


 以前、ブログにアップしましたように、本来ならば、今日(8月1日)は東京に着いている予定でしたが、思わぬハプニングで、延期を余儀なくされています。
 というのも、スペインの永住権を持ってはいますが、5年ごとの更新をしなくてはなりません。そして、更新手続き中に国外に出る場合は、警察で帰国許可書の交付を受ける必要があります。

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帰国許可書を発行するスペイン国家警察

難しいことは何もなく、自動的に申請=許可になる類のものですが、その前段である永住権の更新手続きが出来ていませんでした。
 20年以上、数々の手続きを代行してくれている顧問弁護士が、非常に珍しいケースですが、その手続きを忘れていたのです。
 それでも、事実が判明したときから、再度の手続きを行えば、予定の一週間遅れ程度で許可書を入手することは可能でしたが、何と、そのまま夏休みに出かけてしまいました。 スペイン人らしいですね。
 16日までお休みですので、手続きはその後になります。従いまして、私の帰国は、早くても今月末になってしまいます。
 ブログも夏休みと思っていたのですが、まだ暫くは続けます。


 PS:YUさん、松本復興担当大臣に関するコメント、ありがとうございました。

安住民主党国対委員長の発言

 今日の「ちょっと言わせて」
 7月31日(23:00)


 安住国対委員長のテレビ番組での発言が波紋を広げています。
 被災地の自治体の首長に対して、「…国からお金を貰って、自分で言いたいことをいって、出来なかったら国のせいにする。自分たちは立派なことをいうが、泥をかぶらない」と、概ねこのように批判しました。
 就任早々の松本復興担当大臣が、やはり被災地で暴言を吐いてスピード辞任に追い込まれたことから、この発言も責任問題に発展すると期待する人もいますが、次元が違うと思います。
 松本龍復興大臣は、「俺は九州の人間だから、東北の何市がどこの県か分からん」などと、聞きようによっては、九州の人をバカにしたような発言をしたり、その言葉使い一つとっても、やくざが被災地の首長を脅しにいったようなもので、無能なものに権力を持たせばこうなる、という典型的な見本です。本人は当然、本来なら任命責任者が攻めを負わなければ成りません。


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松本龍前復興担当大臣


 安住委員長は、被災地である地元宮城県選出の議員であり、何だかんだと批判されながらも、復興政策には真摯に取り組んでいるように見えます。
 発言内容を、暴言と捉えている人もいるでしょうが、指摘していることの意味は、ある程度の理解はできます。
 第二次補正予算案が通り、これから本格的な復興政策が実施されますが、国と被災地で、何かにつけての齟齬が生じないように、あえて苦言を呈し、一石を投じる、被災地選出の議員だからこその発言だったと理解しています。
 国費を使って韓国に行き、反日デモに参加、ソウルの日本大使館前で気勢をあげた岡崎トミ子参議院議員が、同じ宮城県選出だったところから、ここは問題児が多いなどと謂れもない非難も受けていますが、これまた、問題の次元が違います。

 安住議員は、早稲田大学雄弁会の出身で、NHKの記者を経て衆議院議員という経歴から、弁舌がさわやかで、理路整然としています。
 私も、安住議員にはマドリードの日本大使公邸での晩餐会で一度、東京でも一度お目に掛かったことがあります。
 東京での時、マドリードで名刺を交換させて頂いたことがあります、とご挨拶をしたところ、そうでしたか…と言いながら、また名刺を差し出すという、面白い一面も持っています。
 人は見かけによらないと言われますが、私は反対で、大方の場合は見かけによると思います。
 安住議員は、弁舌が立つがゆえに、勢い舌が滑り過ぎることもありますが、小柄で人当たりが良く、いい意味での坊ちゃんタイプです。

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安住民主党国会対策委員長

 政治家は、落選してしまえば唯の人ですから、ある程度の保身には走るでしょうが、政治を悪用して権益を得ようというタイプではないと確信しています。しょっちゅう党内で対立している元代表と比べると、誰が見ても、その善良さは一目瞭然です。
 ただ、元代表一派と激論するのは良いですが、間違っても菅擁護には走らず、一日も早く国民を安心させる政府を作って下さい。