高校生の就職活動には、「一人一社制」という、廃止すべきだと考えるルールがあります。今月はまさにそのルールのもと、就職を希望する高校生が学校に寄せられた求人票の中から学校経由で1社のみに応募し、企業の選考による内定または落選の通知が言い渡されます。

大阪の高校生たちは、自分の意思で就職先候補を自由に応募する権利を奪われています。また、面接等による雰囲気や労働環境などから、この企業ではないところに就職したいと思ったとしても、内定してしまえば、自らが内定を辞退する権利も奪われています。

このルールは誰目線で誰都合なのでしょうか??  18歳の高校3年生は、既に選挙権を有しており、2022年4月以降には成人年齢の引き下げにより、自己決定権をもつ成人という存在になります。つまり、守るべき未成年ではなく、自立が求められる成人となるのです。

このような法改正と社会の変化の中で、いつまでも、大量生産型の労働者市場というような価値観の流れをもつ「一人一社制」を、高校現場は変えないつもりなのでしょうか??


そして、昨年の府議会9月定例会の教育常任委員会で、大阪府議会では初めて、この「一人一社制」の問題と撤廃について、議論・要望を行いました。それから一年が経ち、今年も「一人一社制」のルールのもと、大阪の高校生たちは就職活動をさせられていることに、残念でたまらない気持ちです。

この問題について、今月26日から開会かれる府議会9月定例会において、維新の同僚議員が本会議で取り上げてくれるというような話を聞き、とてつもなく応援したい気持ちです。

国では、厚生労働省と文部科学省が、高校生の就職活動に関する制度等(特に「一人一社制」)の見直しの検討を、今年4月から始めました。

厚労省の資料 ⇒ https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20190508/190508hoikukoyou02-1.pdf

文科省の資料 ⇒ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/008/toushin/010201b.htm

さて、大阪府は、この議論を国任せにするつもりなのでしょうか?? 僕は「大阪府から日本の教育を動かしていきたい」と、いつも本気で思っていますので、まさか、国の結論を待ってから議論を始めるなんていう姿勢を大阪府教育庁が見せたら、まあ、なかなかなテンションで議論を持ちかけようと思っています。

府議会の教育常任委員会で、府教育庁の皆さんと僕が議論をささていただき、要望してから約1年が経ってますので、少しは検討が始まっていると信じたいです。

以下に、昨年の府議会9月定例会 教育常任委員会での、発言と答弁の趣旨を記します。

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[笹川 理]  
高校生の就職に関わる、企業採用選考を受けるに当たっての「一人一社制」というルールについて伺う。

これは、文部科学省・厚生労働省連携協議会において、高卒者の職業生活への移行が一層円滑なものとなるよう、両省で連携して具体的な取り組みを進めていくという合意を受けて、大阪の教育行政、教育機関、労働行政、経済団体から選出されている委員によって、大阪府高等学校就職問題検討会議が開かれ、その場で地域の状況を踏まえた就職の仕組みや就職支援についての検討や協議を行い、こういったルールが成立をしていると聞く。

しかし、このルールは、高校生の希望に対して制限を設けているという一面は否めないと思っている。さらに、成人年齢が18歳に引き下げられることが決定し、高校3年生はもう成人、大人、そして自分で責任を持って生きていく、そういった存在だと思う。これ契機に、一人一社制というものを改め、高校3年生が、今の社会変化の中で自由に、そして主体的に企業選択を行っていけるような制度設計について議論を行っていただきたいと考えているが、その見解を伺う。

[高等学校課長]
高校生の就職に係る採用選考の流れについては、まず企業が公共職業安定所確認済みの求人票を高校に送る。生徒はその中から就職を希望する企業を選択する。高等学校は、生徒の希望が競合した場合には、校内で選考した上で、生徒が受験する企業を一社決定し推薦行う。その為、生徒は一人一社ずつしか受験することができない。このいわゆる一人一社制による採用選考が9月16日以降行われており、高校生にとって適正な就職機会が保障されていると考えている。

また、大阪府高等学校就職問題検討会議での議論を受けて、一人一社制を堅持しつつも、初期の採用選考が一定落ちつく、11月1日以降には、一人二社まで同時に推薦できるようにしている。

一方、2022年4月1日より成人年齢が18歳に引き下げられた改正民法が施行されることから、教育庁としても、政府における成年年齢引き下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議の動向を注視しながら、高校生の就職に係る採用選考のあり方について関係機関と議論をしていくとともに、今後とも、就職を希望する高校生が卒業時に就職未定とならないよう努めてまいる。

[笹川 理]
今の答弁における視点として、一つは高校側からの視点として、全員就職させたいという思いが強く働いての一人一社制なのかなと感じ、もう一つは、大阪府内の産業界という面で見ると、しっかりと人材を確保したいという面が強いのかなと感じた。

しかし、これまでになかった生徒側からの視点で見てもらえれば、一人一社しか受けれない、落ちてからでないともう一社は受けれないという制限がかかっているというもの。こういったものは、成人年齢が引き下げられたことを受けて、やっぱり深く議論していただいて、短大生、専門学校生、大学生は自由に選べるわけなので、同じ成人として、新たな枠組みの構築を望んでいる。

就職希望者にとって、就職選考は社会に出る一歩目で、非常に重要な意味を持っていると思う。大阪の教育というのは、社会で生き抜いていく力というのを大切にしながら、児童生徒を育んでいっていると思っている。社会で生き抜いていく力を培った高校生というのは、一人一社制で保護しなくてもいいんじゃないかと思っている。しっかりと取り組んでいただきたい。これは国の方も注目していると思っているので、国の動向というものもしっかりと把握をしながら、議論を深めていっていただくことを要望する。