「小中学校への携帯電話の持ち込み禁止の見直し」について、昨日から今夜にかけて、TVニュースや新聞等のメディアで話題となっていますが、大阪府教育庁へ「原則禁止の見直し」を働きかけ、何度も議論した本人として、経緯や想いをお伝えいたします。
昨年6月18日の朝、大阪府北部を震源とする強い地震が発生しました。その時間帯は、多くの児童生徒が学校へ登校している最中でした。私が住む地域でも、多くの児童が登校中であったり、親が職場へ向かい、児童が一人で家に居るといった状況もありました。
このような時、親は1秒でも早く、わが子の安全を確かめたいと思うのが心情です。幸いにも、わが家は小学一年生の長男が、家を出る直前で、三人の息子たちを抱えて机の下に入ることができました。しかし、地震が止んだ直後、何人もの保護者が家を飛び出し、わが子の安全を確かめようと通学路を走っていく姿や、通学路でわが子を抱きしめたり、手を繋いで学校まで送っていく姿を見ました。
また、何日か経ってからのニュースで、私立小学校に電車で通う一人の児童が、長時間停車した電車の中から、大人たちに混じって、線路に降りて歩き出す不安げな様子が流れました。
このようなことを目の当たりにし、6月27日、府教育庁の小中学校課の職員へ「災害時に迅速に親から子へ連絡が取れるように、小中学校の児童生徒に通学時のケータイの所持を府教育庁として認めて欲しい」と伝えました。
7月11日、私からの要望について、現在の府が行なっている「原則、持ち込み禁止」になっている理由や現状について説明を聴き、お互いに意見を言い合いながら、かなりの時間、議論をさせていただきました。
私の主張は、携帯電話等は保護者が子どもへ即時に通話やメールを行えるだけではなく、GPS機能によりリアルタイムで子どもの所在地を保護者が把握することも可能であり、この有用性を考えずに、府教育庁が府内の市町村教育委員会へ通達文書を出している「原則、持ち込み禁止」を止めるべき。
また、現状、多くの小中学校で、児童生徒が学校内へ携帯電話を持ち込んでいることを黙認したり、一部の児童生徒にだけ認めていたり、また、職員室へ預けることをルールにしている学校があったりと、府内の学校それぞれでバラバラの対応をしているのであれば、府は一律に「原則、持ち込み禁止」の通達を行うのではなく、学校それぞれが校長の責任で保護者と話し合ってルールを定めるか、市町村教委に委ねるべきとの意見を唱えました。
その後、府教育庁の職員と何度か議論を交わすとともに、維新府議団から松井知事へ、災害を踏まえた「府民の安全・安心を守る」ための緊急提言を手渡そうということとなり、その文書作成を府議団の政調役員会が担当することとなりましたので、その政調役員会で私から思いを述べさせていただき、その中に一項目として入れることとなりました。
その内容が、「府内小中学校において、災害時の対応や防犯対策の観点から、携帯電話の原則持ち込み禁止を見直すこととされたい」というものです。
それを府教育庁が受けていただき、見直しに向けた検討を本格的に進めていただくこととなりました。小中学校課の皆さんには、文科省も「原則、持ち込み禁止」が望ましいという考えの中であるにもかかわらず、前向きに議論し動いていただいたことを、本当に有難く思っておりますし、感謝を致しております。
10月12日、府議会の教育常任委員会で、同僚で維新の山本議員から、本件に関しての質問が行われ、枡田 小中学校課長から「災害や防犯対策の観点で携帯電話の校内への持ち込みの原則禁止を改めることが望ましいと考えている。その為には、様々な問題点を解決することが必要であり、校内における携帯電話の取り扱いについて、大阪府全体のガイドラインの策定等、必要な検討をしてまいる。」との答弁がありました。
その後、府教育庁内では、ガイドラインの策定等が行われ、2月18日、その内容が発表されました。そして、その発表や報道等を受けて、柴山 文科大臣の「携帯電話の持ち込み禁止の見直しを、大阪の事例を注視し、文科省でも検討する」旨のご発言に至ったと認識いています。
小中学生が携帯電話やスマートフォンを所持・利用することについては、保護者の皆さんのそれぞれの価値観を尊重していただければいいと思っています。しかし、これからの世の中で生きていく子どもたちにとって、ケータイやスマホは切っても切り離せないものです。であるならば、それに即したルールや使い方を学校が変えていき、保護者の選択に委ねても良いのではないでしょうか。
児童生徒の通学中の防犯上の観点からも、GPS機能を有するほぼ全ての携帯電話等が有効的なツールです。親心として、わが子が少しでも犯罪に巻き込まれたくない、万が一、巻き込まれた場合は、被害を最小限に抑え、早期解決して欲しいと願うのは当然のことだと思います。
いまは、PTA連合会推奨のキッズケータイも各キャリアから出ています。スマホも有害なアクセスを遮断するフィルタリングがしっかりと機能するものがあります。子どもの現在地を保護者がサーチできるウォッチ型のキッズケータイもあります。
IT化の進展、技術革新とともに、こういったものは次々に新しい有益なものが登場します。それらの機器を、保護者と子どもの選択によって、安全安心を少しでも高めることができ、激動の社会を生き抜かなくてはならない子どもたちの力を向上させることに利活用できるよう進めていく方が良いのではないでしょうか。
このような想いを込めまして、小中学生が通学時に携帯電話やスマートフォンを保護者の選択により所持できるよう、「原則、持ち込み禁止」の通達の変更を求めたというものであり、以上がこれまでの経緯です。
保護者の皆様と、学校関係者の皆様のご理解とご協力を、宜しくお願い申し上げます。