家庭でできるPFAS対策 | Photo Life in Toyama

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富山の写真家 林治のブログです

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さて、最近何かと話題のPFAS。

PFOAとかPFOSという言葉もあって分かりにくいですが、今日はPFAS関連の用語、日本でのPFAS関連の重要な事件、そしてこれらを踏まえて家庭でできるPFAS対策についても書いてみたいと思います。

 

 

  1. PFAS、PFOS、PFOA、PFHxSとは?

 

分かりにくいですね〜

でも、細かく書くとキリがないので簡単にまとめます。

 

PFASとは

 

・有機フッ素化合物の総称、中身として数千〜1万種類以上ある。

・PFASはフッ素の結合を含む人工の有機化合物。構造がとても安定しているので自然には分解されにくく、体内に蓄積しやすいという特徴がある。このためPFASは「永遠に残る化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれている。

・PFASは汚れや薬品、熱に強く、油や水も弾くという万能物質。加工のしやすさから、私たちの身の回りにある製品の製造工程で広く使用され、私たちはPFASに囲まれて生きていると言っても過言ではない。

 

PFASが使用されている製品例

 

フライパンや炊飯ジャーのコーティング
スキーやスノーボードに使うワックス
ピザやケーキなどの持ち運びに使う厚紙
お菓子などに使われている包装紙
消化器の中に入っている泡消火剤
半導体の表面処理剤
金属メッキ液
工業塗料への添加剤
布の防水加工
はっ水加工剤
自動車の製造
家のフローリング

その他多数

 

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とは
 

アメリカ産の界面活性剤。油や水をはじき、主にはっ水剤や消火剤などに使用されてきた。
ストックホルム条約(以下「POPs 条約」)の第4回締約国会議(2009 年5月)で附属書B(制限)への追加掲載が決定され、国内では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」)により第一種特定化学物質に指定された。

 

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)とは

 

耐久性があり、油や水をはじく界面活性剤。フライパンのフッ素加工や食品の包装紙などのコーティングに使用されてきた。

POPs 条約の第9回締約国会議(2019 年5月)でPFOAが附属書 A(廃絶)に追加され注目を集めた。

 

PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)とは

 

PFOS 及びPFOA と同様の性質を持ち、その代替品として使用される。

POPs 条約の締約国会議の下部組織である残留性有機汚染物質検討会議(以下「POPRC」)第 15回会合でPFHxS の附属書 A (廃絶)への追加を次回以降の締約国会議に勧告することが決定。

 

まとめ

 

つまり、一言で言うと PFASは有機フッ素化合物1万種類以上の総称。

そのうち PFOS、PFOA、PFHxSという3種の化合物については、現時点で国際的に身体への悪影響が認められ、制限或いは使用禁止の方向が決まっているということです。

 

そして、具体的には、免疫力の低下、脂質代謝異常、胎児・子どもの発育障害、肝臓、生殖、腎臓がん・精巣がん、甲状腺ホルモンへの影響といった健康への被害が指摘されています。
 

また、日本ではこの3種類だけが悪いようなイメージがありますが、米国・欧州では3種類以外の化合物についても実質的に制限数値に盛り込むなどの対応が始まっており、日本の顕著な対応の遅れによりさらに不安感が高まっています。

 

 

  2. なぜPFASが最近話題なのか?

 

最近数ヶ月、PFAS関連の報道が増え、とても話題になっている理由は以下の内容によります。(独自見解を含む)

 

[1] PFOA、PFOSの発がん性ランク引き上げ(2023年12月1日)

 

2023年12月1日 国際がん研究機関(IRAC - WHOの専門機関)が PFOAの発がん性を「発がん性がある」という一番高いランクに引き上げ、PFOSの発がん性も「可能性がある」に引き上げました。

 

 

これにより、2023年12月からPFOAは喫煙やアスベストと同じランクになりました。

つまり、昨年末から国際的にPFASの発がん性について危険度の認識が高まった訳です。

 

[2] 東京・多摩地域 PFAS汚染問題の再燃(2023年12月)

 

2005年から多摩地域の広範囲の井戸で高濃度のPFASが検出されており、米国で水質基準値が70ng/L に引き下げられた2016年からはPFOS、PFOA に加えて、その代替物質である PFHxS など11物質の詳細な調査を継続し、深刻な汚染実態を把握していたにもかかわらず東京都・東京都水道局は汚染地域の住民に知らせず、汚染原因の究明、汚染防止対策などの対応を全く行なってこなかったことが判明しました。

 

そして2018年度には横田基地から約1キロ南東の井戸で指針値(1リットル当たり50ナノグラム、1ナノグラムは10億分の1グラム)の27倍の濃度を検出していました。

 

これらは公表されていませんでしたが、2010年代半ばに沖縄県内の米軍施設周辺でPFAS汚染が深刻化していることが発覚。また18年には、英国人ジャーナリストのジョン・ミッチェル(48)の報道で、横田基地でもPFASを含む泡消火剤が大量に漏出したことが明らかになり、多摩地域 PFAS汚染問題が再燃。

 

こうした中、[1]の国際的な基準変更と同じ2023年12月1日、市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」と京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)が共同で実施した調査(多摩地域などの140カ所で地下水を採取し調査)を公表したことで、大きな話題となりました。

 

その内容には、血液検査に参加した国分寺市住民650人のうち、半数以上の住民の血中濃度が米国の健康被害の恐れがある」と定められる指標を上回っているという結果が含まれており、これらは大きく報道されたのでご存知の方も多いでしょう。

 

【参考資料】東京多摩地域のPFAS汚染にご興味ある方は、以下を読まれることをお勧めします。

 

<連載 汚れた水 PFASを追う>(東京新聞 TOKYO Web)
【第1回】「PFAS汚染源」はどこだ 米軍内部文書から見つかった事実…疑念呼ぶ「横田の3000リットル」
【第2回】東京都はずっと知っていた・・・PFAS汚染、15年前に検出した「飛行場排水B」とは

【第3回】「頭にきた」・・・医師は自費で大規模検査をやると決断した 行政はPFAS汚染に知らんぷり
【第4回】PFASの知見蓄積を怠った日本 分からないことだらけで「Q&Aすら作れない」…水質基準は米国のコピー
【第5回】PFASを漏出させても報告せず 米軍側の「やりたい放題」を可能にする日米地位協定

 

 

  3. こうした最中に数々の問題が明るみに

 

このように昨年末からPFAS被害解明の機運が高まっている最中、以下のように国や地方自治体の問題点を表わす事件が次々と明るみに出てきました。

 

これらによって、PFASに関する報道が一気に増え注目を集める事態となりました。

 

[1] 神奈川県相模原市の調査結果隠蔽

 

2024年3月「相模川さがみ地域協議会」は相模原市に公文書開示請求を行なったが、黒塗り文書しか公開されなかったため、別の文書開示請求を行なったところ、24年5月末、スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所の敷地内で、井戸水などから高濃度のPFOS・PFOAが検出されたことを明らかにしました。また、同社は2022年10月に市に報告していましたが、市が議会や市民に公表しなかったことが判明しました。

 

[2] 大阪府摂津市などのショックな測定値

 

環境省が3月にPFASの2022年度調査結果を公表しましたが、全国1258地点のうち16都府県の111地点で採取した水が、国が定めた「暫定目標値」を超えたという内容。(目標値=PFOSとPFOAの合計が1リットルあたり50ナノグラム)

これに対して、全国で一番数値が高かった大阪府摂津市では、地下水 2万1千ナノグラム、河川 2200ナノグラムでした。

 

これはダイキンによる汚染水が原因とみられていますが、例えば静岡県清水市では三井・デュポンフロロケミカルの元従業員の血中から米国指標の400倍を超えるPFASが測定されました。

 

このほか岡山県吉備中央町の浄水場から高濃度のPFASが検出され健康被害との関係が指摘されているなど、これまで長期にわたって放置されてきたPFASが深刻な問題をもたらしていることが判明してきました。

 

[3] 日本のPFAS対応の遅れ

 

こうしたことから、過去のPFASに関する日本の対応の遅れを指摘する声が高まっています。

 

◆ PFAS、国が規制強化に踏み出さない理由とは 健康影響を懸念し欧米は先行 「先回りの対策」求める声

発がん性疑い「PFAS」規制は現状維持…3年以上の継続調査データがないため

◆ PFAS規制「諸外国に遅れないように」国の専門家会議で注文 「原則禁止」になったPFHxSに

 

検索すると数多く出てきますが、欧州・米国ほか海外各国が既にPFAS規制を一層強化する段階に達しているのに対し、日本は規制に積極的とは言い難いのが実情です。伊藤信太郎環境相も2024年1月末の会見で、対策強化の必要性を論じるより科学的知見の収集が大切、との考えを示すにとどまり、ほとんど何も行なっていないことが露呈しました。

 

[4] 日本:経済産業省・経団連等による規制反対運動

 

このようにPFASに関して、米国は規制を強化、EUは全面禁止の方向で、例えば欧州ではREACH規則に基づいて、医薬品など一部を除き、1万種類以上あるPFASの製造や使用・販売を全面的に禁止する方針を示しており、早ければ2025年にも欧州委員会で規制案が採択される見込みといった状況です。

 

ところがあろうことか、最近その規制案に対するパブリックコメント(意見公募)に対して、日本の経産省や経団連、業界団体(企業含む)が反対意見を一斉に提出するという暴挙を犯していることが判明しました。

 

 

  4. 家庭でできるPFAS対策

 

これまでの状況を整理すると、2010年に日本ではPFOSが規制対象に。そして2021年にPFOAが規制対象になってはいますが、ルール上 2020年まで中国でPFOAが製造販売されてきましたし、2021年まで日本でも認められていたので、あまり安心できる状況にはありません。

また現在、日本では他国と違い全PFASの中で規制されている物質の数が非常に少ないことも気になります。

 

さらに、これまで書いてきたように、国や行政は未だにPFAS全般に対し「よくわからないから動かない、数値も公表しない、わかるまで何もしない、規制は大変そうだから反対する」というスタンスなので、より一層不安になります。

 

従って現時点、自分の身は自分の身で守るしかなさそうです。

そこで、家庭でできる対策をまとめてみました。

 

[1] PFASを使用したフライパンや鍋を、そうでないものに変える

 

日本でのPFOA規制は2021年から。他国は中国を含めて2020年までに規制が始まっているので、2019年〜2020年頃他国で売れなくなった商品を日本へ持ってきて販売することが可能だった訳ですし、そもそも昔製造したPFOA使用フライパンを現在の日本で販売することは法的に問題ないので、今でも店頭で販売されている可能性があります。

こうした理由から、最近我が家でもフライパンを買い替えました。

特に2021年より前に購入したものや、それより新しく購入しても古い製造の商品かもしれないため、一度今使っているフライパンを確認してみることをお勧めします。

 

例えば、現在販売されている T-fal(ティファール)フライパン(コーティングあり)は、添付のタグ等に「PFOA不使用」や「PFOA・鉛・カドミウム不使用」と書いてあります。

 

現在販売されているT-falフライパンには

このようなラベルが付いています

 

また、Vita CraftのWebサイトを見ると「ビタクラフトのフライパンはPFOA/PFOSを使用していません。ご安心ください。」と記載されているので、このようなものに変えるという手があります。

 

 

ただし、フッ素樹脂加工のようなコーティングを施したフライパンは全てやめたいという方もいらっしゃると思います。

こうした場合は、鉄・ステンレス・チタン・アルミ製などでコーティングのないものを選ぶ必要があります。

 

[2] PFASを使用した電気ポットを、そうでないものに変える

 

現在国内で普通に販売されている電気ポットの水を入れる部分は、ほとんどステンレス製などの材質の表面にフッ素樹脂のようなコーティングがしてあります。

 

これが気になる場合は、コーティングのない電気ポットに変えることになりますが、電気ケトル(保温式でないもの)にはあるのですが、電気ポットでは意外と少ないです。

 

ネットではピーコック魔法瓶のものが押されているので、私も今購入を検討しています。

 

 

コーティングなしのステンレス内容器を
使用したピーコックの電気ポット

 

 

[3] 水道水のPFOS/PFOAを除去するため浄水器を使用する

 

浄水器がPFOS/PFOA等のPFASを除去するために有効なことは既に海外で確認されています。

ただ、日本では今年からやっと検討組織ができた状況なのでまだ対応/非対応に共通の基準がありません。

が、既に米国では基準に適合した機器かどうかを示す公式の表示があるので、日本製品にもそれを流用して「PFOS/PFOA除去」と表示しているものがあります。

 

こうしたものを選んで使うことが望ましいと思います。

 

[4] ファーストフード店の利用を見直す

 

米国ではハンバーガーショップのハンバーガー用包装紙は、現在使用する物質が規制されています。

もちろん紙にPFASが使用されてきたからですが、米国では既に2010年代前半にその防水性のある包装紙による身体への影響が明らかになっており、早い時期から規制されたからです。

 

ただ、残念ながら日本ではまだこうした規制は導入されていないので、やはり利用を見直すか検討すべきだと思います。

 

 

今回は今話題のPFASとその対策について記事を書かせていただきました。

そして、私もフライパンを3つ購入しましたし、現在電気ポットを購入しようとしています。

 

PFASの健康被害を防ぐため、少しでも参考になれば幸いです。

 

 

・PFOA不使用を明記しているティファールフライパン

 IH/ガス火対応 

 

・PFOA不使用を明記している取っ手の取れるティファールフライパン

 IH/ガス火対応 

 

 

・PFOA/PFOS不使用と表示されているビタクラフトフライパン

 

 

・こびりつきにくい・錆びにくいビタクラフトの鉄フライパン

 

・PFOA/PFOS不使用を謳うピーコック・ステンレス電気ポット

 

 

・PFOS/PFOR除去を明記している Panasonic アルカリイオン整水器

 

 

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