快適UL:SOTO マイクロレギュレーターストーブ 2機種比較
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さて、今回は人気ブランド SOTOのマイクロレギュレーターストーブのうち、小型直結タイプの人気2機種を比較した記事です。
登山用ガスストーブの購入を検討している方、SOTOのストーブを検討されている方に参考にしていただければ幸いです。
また、SOD-300S向け専用ウインドスクリーンSOD-451、SOD-310向け専用4本ゴトクSOD-460についても実際に使用してみた結果をご紹介します。
快適ULシリーズは数多くの記事をアップしています。
INDEXは「こちら」となります。ぜひご利用ください。
今回比較した2機種は以下です
SOTO マイクロレギュレーターストーブ SOD-300S
SOTO マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310
今回のもくじ
5.SOD-300S向けウインドスクリーン SOD-451 使用感
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1.超小型ガスストーブを選ぶポイント
まず、超小型ガスストーブを選ぶポイントをご説明します。
ポイントは以下4点となります。
(1) 重量
登山では軽量化が最大の課題です。
そのため、ガスストーブはクッカー等他の登山用品同様、非常に軽量化が進んでいます。
例えば外見は同じように見えますが snow peak マイクロマックスウルトラライト GST-120R の重量は56g、これに対して PRIMUS P-153 ウルトラバーナーは116gなので、前者は後者の半分以下の重量ということになります。
snow peak GST-120R と PRIMUS P-153
実際にはこの重量差こそユーザーが超小型ストーブを選択する理由なので、ここでは(他の山岳専門サイト同様)重量100g以上のストーブとそれ以下のストーブを異なるクラスとして扱い、P-153等重量100g以上のストーブは除外しています。あしからずご了承ください。
その上で機種別に重量、最大出力、ゴトク外径を比較すると以下のようになります。
この中で今回なぜ SOTO SOD-310とSOD-300Sを取り上げたかですが、それは
①低温下でのSOTOマイクロレギュレーター機構の信頼性
②火力調節の滑らかさ・範囲の広さ(マイクロレギュレーター機構による)
③クラス最高の出力2,800kcal/h
④造りの堅牢さ
こうした点から自分も購入し、実際に使用して他の方にもお勧めできると判断したからです。
ちなみにSOTOアミカスはマイクロレギュレーター機構を装備しないため①②③に該当せずメリットが弱いため、私は選択しませんでした。
(2) 耐風性と耐寒性
山で実際にストーブを使用した人は分かると思いますが耐風性は重要な要件となります。ある程度風が強いと炎が充分クッカーを加熱しない機種が存在するからです。
耐風性は構造によって判断できるので、構造を確認する必要があります。
ゴトクが風防を兼ねる構造(snow peak GST-120R)
風の影響を減らすすり鉢型バーナー(SOTO SOD-310)
また、耐寒性についても重要です。山では冬だけでなく春秋でも簡単に氷点下になるためです。
もちろん低温下での性能はガス缶或いはガスの性能による部分が大きく、実際は他社のガス缶を使用したりもしますが(もちろん事前によく確認した上で)、本体の基本性能としてSOTOのマイクロレギュレーター機構はとても貴重だと思います。
寒さに強いODガス缶、ガス漏れしやすいODガス缶については以下をご参照ください
(3) ゴトクの外径と内径
ゴトクの大きさは、昔は「大きい鍋を乗せるためにはゴトクの外径が大きくないと。」といった程度でしたが、今は事情が違います。
重量100g以下の超小型ストーブではシェラカップなど小さなクッカーを乗せる事が一般化したので、小さいクッカーを安定して乗せられるかどうかも重要です。そこで、可能な限りゴトクの内径についてもチェックしたいものです。
(4) 堅牢性・安全性
今年の1月、冬の上高地でストーブの破損を経験しました。
こうしたことを防ぐために、事前に登山用品店やネットでストーブの破損について確認することが必要です。
特に登山用品店は、破損しやすい機種、ガス漏れしやすいガス缶など貴重な情報を持っているので、仲良くなって積極的に情報を仕入れましょう。
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2.SOD-300S、SOD-310 スペック比較
SOTOの人気小型ガスストーブで、ODガス缶直結&マイクロレギュレーター装備機種である SOD-300S(マイクロレギュレーターストーブ)とSOD-310(マイクロレギュレーター ウインドマスター)。
これからガスストーブを購入される方にとっては、PRIMUS P-116やsnow peak GST-120Rなどと共に選択肢となってくる機種だと思います。
中でも、同じSOTOブランドのSOD-300SとSOD-310については、どちらを選べば良いの?という方も多いでしょう。
そこで、以下にスペックをまとめました。
特に、使い勝手に大きく影響するゴトクの内径と外径や、オプションを装着した際の重量など、実測した数字を含めて記載しましたので、検討に活用していただければと思います。
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3.SOTO SOD-300S 使用感
SOTO マイクロレギュレーターストーブ SOD-300S
スペック他
・重量:73g
・SOD-300とSOD-300Sは中身が同じ(ネット情報)
・発売年:2009年(?)
・バーナーヘッド:ドーム型
・低温時に燃焼を安定させるマイクロレギュレーター機構搭載
・ステルスイグナイター搭載:圧電式点火装置が内部格納のため破損しにくい
・ゴトク 3本 独特の折りたたみ式
・ゴトク 外径 112mm 内径 60mm
重量 :
SOD-310(67g)と比較して6g重いだけなので、ほぼ同等の重量感。
発売年:
2009年との情報あり。一方、SOD-310の発売は2013年4月。実際使ってみると、SOD-310はSOD-300/300Sの改良型といった雰囲気が強い。
バーナーヘッド:
ドーム型なので風に弱いイメージですが、出力が大きいので意外に粘る印象です。また、どうしても耐風性を強くしたい場合は別売のウインドスクリーンを使用すれば大丈夫。ただ、ウインドスクリーンを付けると重量92gとなりやや軽量でなくなってしまいます。
ゴトク:
私はこれが一番問題と感じました。それは以下の点です。
・操作がしづらい
畳んだ状態から使用状態にするのに、ゴトク3本を回転させてから正しい位置で押し込むのですが、金属が噛んでしまうような感覚があり、正しく押し込めていない位置で止まったりします。元々正しい位置に押し込めてもグラグラしているので、正しくセットされたのかされていないのか分かりにくく嫌な感覚です。
また、収納する時は逆に引っ張ってから回転させるのですが、ここでも金属が噛んでしまい、引く角度によっては全然動かなかったりととてもストレスを感じます。
私がSOD-300SからSOD-310に乗り換えた最も大きい理由はこれです。
・ゴトクの内径が大きい
このストーブの内径は60mm。一方標準的なシェラカップ(300ml)の底面直径は73mm程度です。直径で13mmしか違いません。
従って、シェラカップをストーブの中心に置いても、3本の各ゴトクに6mmずつしか掛からない計算となります。
しかも図のようにゴトクがネジれて付いているので中心が狙いづらい構造です。そして、失敗するとシェラカップの水が溢れてしまいます。大切な水が溢れると山ではとてもストレスを感じるものです。(以下は上から見た図です)
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4.SOTO SOD-310 使用感
SOTO マイクロレギュレーター ウインドマスター SOD-310
スペック他
・重量:67g
・発売年:2013年4月
・バーナーヘッド:すり鉢型(耐風性が高い)
・低温時に燃焼を安定させるマイクロレギュレーター機構搭載
・ステルスイグナイター搭載:圧電式点火装置が内部格納のため破損しにくい
・ゴトク 3本 独自のスライド装着式
・ゴトク 外径 100mm 内径 47mm
重量 :
6g軽いですが、SOD-300Sとほぼ同等に感じます。
発売年:
SOD-300Sよりも発売が4年ほど後なので、これはSOD-300Sの改良型と言っても良い性能です。
バーナーヘッド:
すり鉢形状+バーナーのフチが立ち上がっているため、風に弱いSOD-300Sを改良した形です。
また、バーナーヘッド以外は SOD-300SとSOD-310は全く同一のものなので、バーナーヘッドとゴトクの違いにより選択することになります。
ゴトク :
独特のゴトクですが、その内容はなかなか優れものです。
まず、このゴトクは使用時に必ず取り付けなければなりません。これについては意見が分かれる可能性があります。
しかし、その取り付けは慣れるととても簡単です。
ゴトクの開いている部分を(写真では)横からスライドさせて取り付けるのですが、慣れると1〜2秒で取り付けられますし、また正しく取り付けられたかどうかが確実に分かります。
例えばPRIMUS P-153の4本のゴトクを回転させて開くよりも早いと感じます。
そして驚くことに3本ゴトクの場合でもオプションの4本ゴトクの場合でも、グローブを着けてもすんなり着けることができます。SOD-300Sはグローブを着けた状態では専用ポーチから取り出すことさえ不可能といっても過言でない(ギザギザがついている3本のゴトクが自由に動くので、必ずどこかに引っかかる)ので、SOD-310はとてもよく改良されています。
ただしこの機種の唯一の弱点ですが、ゴトクの外径が100mmしかありません。
1〜2人で使用する場合クッカーの大きさが小さいので100mmでも問題ありませんが、もう少し外径が欲しい場合は当然オプションの4本ゴトクを使用することになります。
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5.SOD-300S向けウインドスクリーン SOD-451 使用感
まず、Amazon等ではこれの素材をプラスチックと記載していますが、当たり前ですがこれはステンレス製です。
そして、このウインドスクリーン自体はとても優秀だと思います。
重量19gでかなり効果的な暴風効果があります。
そして、取り付けも難しくありません。
また、収納時は以下のように 250 OD缶の裏の凹みにピッタリ入れることができるので、クッカー等にスタッキングできます。
ただ、問題はその本体である SOD-300Sを使うかどうかですね。
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6.SOD-310向け4本ゴトク SOD-460 使用感
4本ゴトク SOD-460
これ、とても良いオプション品で、現実にこれを標準で使うかどうか迷っています。
というのも、SOD-310の唯一の短所である ゴトク外径100mmを144mmというクラス最大径に拡大できるだけでなく、内径はシェラカップが難なく置ける47mmで変わらず。そして安定の良い4本ゴトクで重量は3本ゴトクから20g増加するだけ、という優れものだからです。
そして、これを取り付けたDOC-310でも重量は87gしかありません。
また、取り付けはバネ式のゴトクをつまんでスライドして手を離すだけ。
そしてまったく問題なくしっかり取り付けできますし、慣れれば取り付けは4〜5秒といったところで快適です。
どちらも使用は快適なので、普段4本ゴトクを使うかどうかはその20gの差で判断すれば良いと思います。
また、収納時の機構・サイズもよく考えられています。
4本ゴトクと本体を収納する場合の様子
ただし、4本ゴトクを装着した場合、収納時かさばることだけは覚悟しなくてはいけません。
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7.結局どちらを選ぶか?
様々な観点から SOD-300SとSOD-310を比較してきました。
では、どちらを選ぶかですが、これは現在私も愛用している SOD-310(ウインドマスター)が順当かなと思います。
ただ、まだ私自身冬期・厳冬期では使用していないので、厳冬期にSOTO純正のトリプルミックスガスがしっかり使えるかは不明です。
状況次第ではガス缶は snow peak ギガパワープロイソなどを併用するなど、工夫が必要になるかもしれません。
これについては季節柄しばらくテストできないので、今年の冬確認してご報告したいと思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
しばらくは SOTOのストーブが相棒になりそうです。