藤村です。
今回は備忘録なので短めです。
今回はこちら。ひろゆき氏のツイートです。
いわく、
「留学生30万人」は2009年に647億円の予算請求した計画の焼き直しだと思いますが、2020年の留学生の43%は中国人。 学生支援機構が令和元年に日本人学生に金を貸した額は138億円。 外国人留学生に使う金額の1/5で、日本の大学生の借金を全部無くせます。 誰のための政治なの?
とのこと。最低限この国の教育政策を見たことのある方なら、一目見て「は?」と思う事でしょう。
①「留学生30万人」は2009年に647億円の予算請求した計画の焼き直しだと思いますが
2009年に文部科学省が概算要求として「647億円」を計上していました。
しかし、概算要求です。すなわち8月末ごろに各省庁が「来年度はこれくらい予算が必要です」と「大きめに」要求するものです。実際、予算案に計上されたのは433.61億円となりました(2008年比+12億円)。
さらに言えば留学生受け入れのためのものはそのうち410.83億円。
政府の概算要求や予算を少しでもちゃんと調べたことのある人なら、普通「過去の概算要求」と比較はしないものです。だって概算要求は所詮概算なんだもの。実際の予算額とはものすごい開きがあるし。
結論①・・・ひろゆき氏は過去の概算要求を引っ張り出して比較しちゃうくらいには、日本の国家財政について素人である。
②2020年の留学生の43%は中国人。
ここだけ切り抜くと概ねファクトです。
しかし、2020年の留学生の内「税金が投入されている中国人」は何%なんでしょう。
国費留学生は、聞いて驚け、834/279,597=0.298%。
私費留学生学習奨励費は国籍内訳を出していない…誰か教えて。
しかたない、概算しましょう。滅茶苦茶多めに見積もって、5000人だと仮定すると5000/279,597=1.788%。
よって2020年の留学生の内「税金が投入されている中国人」は2%程度。
どうでしょう?数字の印象ががらりと変わるんじゃないでしょうか。
そもそも留学生の9割は税金の投入されていない、自己責任留学である私費留学生なのです。現実はそんなもんでしょう。
③学生支援機構が令和元年に日本人学生に金を貸した額は138億円。
いや、ひと目見て「んなわけあるかい」とならないあたり、ひろゆき氏は相当学生の学費問題について知らない人です。
まあ、これは彼自身が誤りを認めているので手短に。
↑間違い。
— ひろゆき (@hirox246) August 29, 2022
給付が138億で、貸与は9720億でしたー。 pic.twitter.com/y6oqNC3fyO
2020年の給付が138億円。貸与は9720億円とのこと。
更に言うと今の奨学金制度は最新の数字で給付が1231億円です。
丁度制度の大幅なアップグレードの時期と重なっているので、気を付けるべきですね。
結論②ひろゆき氏は、奨学金政策についてほとんど何も知らない、素人である。
ということで、ひろゆき氏のツイートを添削し書き換えてみましょう。
before
「留学生30万人」は2009年に647億円の予算請求した計画の焼き直しだと思いますが、2020年の留学生の43%は中国人。 学生支援機構が令和元年に日本人学生に金を貸した額は138億円。 外国人留学生に使う金額の1/5で、日本の大学生の借金を全部無くせます。 誰のための政治なの?
after
「留学生30万人」は2009年に411億円の予算請求した計画の焼き直しだと思いますが、2020年に税金が投入された中国人留学生は全体の2%。 学生支援機構が令和元年に日本人学生に金を貸した額は9720億円。
外国人留学生に使う金額の24倍で、日本の大学生の借金を全部無くせます。
・・・普通ここまで幼稚なデマを流したら、ツイートを消すのが普通です。
誰にだって間違いはあるし、ずぶの素人が知った顔をして呟いたらデマだらけ、なんてなおさらよくあることです。
しかしそれをしないのが彼のとても悪いところです。ミスを認めない、議論の誤りを認めない。
まあ、周囲でそれをわっしょいわっしょいと異様に持ち上げている知能の無い方のお陰なんですけどね。哀れ。