大相撲春場所も終わり、小結大の里は相撲界へ入門7場所目で優勝しました。1年と2カ月で幕内最高優勝を果たしたことになりのます。これまでアマとプロの世界で最も力の差が大きいのは相撲と云われ、2,3年は修行をしないとプロには勝てないと云われてきました。
最近の相撲界は若手の台頭が著しく、平幕下位の力士が優勝することも珍しくなくなっています。特に年6場所90日間の土俵は連日ガチンコの真剣勝負が繰り広げられるため、観客は面白いけれど力士はほとんどが負傷をして横綱以下大半の力士は怪我人ばかりです。
その力士にとって引退後のビジネスでは飲食店が圧倒的に多いです。その飲食店、人気の高い料理店は美味しい料理よりも飽きない料理と云われます。味の濃い料理店は、一時的には人気を集めますが、長い目で見ると芸能人の一発屋と同じでお客さんの側が飽きてしまいます。
そのため料理店側も美味しいと話題の店を出店するより、味を薄味にして記憶に残らない味造りを志向するようになりました。記憶に残らない味は飽きない味ということになります。高級料理店の味は、美味いけれど毎日は食べたいと思わない味です。
ただ一般的には、味の濃い記憶に残る料理が美味しい料理と思われがちです。TVのグルメ番組では、一口だけでお約束の「美味しい」の一言が飛び出す番組が圧倒的に多く放送されています。そんなに「美味しい」と瞬時に口からでる料理は息の長い飲食店には向ない味です。
実際に飲食店で開業を目指す人のなかには、本物の美味しさを表現する飲食店を目指す人が少なくありません。そのためかどうか、短期間で店を閉じることが多いのも飲食店。出店する側の論理と食べるお客さんの側の論理、どちらが大事か出店前に十分考えることが必要です。
【ひとり言】
料理店ほど、作る側と食べる側との志向が違うビジネスはないような気がします。美味しい食べ物を出したい店主と、自分の味覚に合致した食べ物を求めるお客さん。調理の味の問題がありますが、同時に材料や店舗の雰囲気も大きな要素です。またいくら美味しくてもお客さんの飽きの問題もあります。そのため調理店主は何度か開業しては畳みを繰り返します。そう考えると、開業と閉店とを繰り返すのは正常な営みなのかも知れません。