イメージの翼−9 大崎クラス | 大崎淳治

大崎淳治

グラフィックデザイナー

僕が教えるのは大学の芸術学部3年生。
1年2年で技術基礎的なことは大半を習得しています。
3年後期からは、色やカタチもさることながら、
「デサインとはいったいなんだろう?」という問いを
もう一度いっしょになって、考えていきます。
今、教わるというより学び方を学生達は模索しています。
そういう学びの場のあり方を失敗と成功を繰り返しながら
構築していきたいと思っています。

1課題目は、「ない」デザイン。

「ない」ことについて考え、「ある」ことの意味を知る。

「ある」ことが当たり前になっている今だからこそ、
観察、思考、想像、などを通じて
あえて「ない」ことによって生まれる
まったく新しいコミュニケーションのカタチをデザインしてください。
ないといいな?が、あるといいな?になるような
そんなトキメキを感じるデザインを期待しています。

Tさんに続いて紹介するのは、
Hさんの作品。
「じょしごと」というブックレット。

ボールペンのインクがなくなったらという着想から生まれた
あるステショナリーブランドのノベルティ。
空のペンで儚い女心を書き綴ったブックレットです。
誰にも言えない気持ち、残したい思い出、
その感情と筆圧から生まれるエンプティともいうべきこの本だが、
ぎっしりと埋めつくされているように思えます。

プレゼン時には実際に手にとっても僕には殆ど見えない
老眼がすすんでいるのか?見えそうで見えない、
女心とはそういうものかと諦めてしまった。

感情の起伏で自然と浮かび上がる文字には
なにか、電子書籍には映せない
言霊のようなものを感じとれます。

見えないことで、より想像力や好奇心が旺盛になることに
気づきを覚えた作品でした。

大崎淳治
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