こんにちは!韓国語スタッフみさです。

 

今日は江戸時代末期の外交史に登場するフェートン号事件から、

日本の武士たちの生きる姿勢について考えてみました。

 

 

 

まず、フェートン号事件について見返してみると

文化5年(1808年)、イギリス船のフェートン号がオランダ船を拿捕するため、

オランダ国旗を揚げて長崎港に入り、オランダ商館員を捕縛したという事件。

 

幸い、このオランダ商館員は無事解放され、死傷者もでませんでした。

 

当時、ナポレオン戦争によりフランスに支配されていたオランダ。

オランダ国王はイギリスに逃げており、フランスとイギリスによるオランダを巡る争いがその背景にあります。

 

その影響が、オランダとの貿易を行っていた日本にまでやってきたということですね。

 

 

さて、当時長崎港を管理していたのが長崎奉行の松平康英でした。

 

調べたところによると文化4年に長崎奉行に就任しています。

そして、その1年後にフェートン号事件が起こります。

 

康英は、福岡藩・佐賀藩・大村藩などの藩兵に打払いを命じますが、

有事に対する備えのなかった当時の藩兵の動きは著しく遅く、

また、特に長崎警衛当番を請け負っていた佐賀藩は経費節減を名目に藩兵を削減していたことも重なり、うまくいきませんでした。

 

さらに、フェートン号側から食料等の物資を提供しなければ長崎港内の船舶、町を荒らすと脅迫してきたそうです。

 

オランダ商館長の説得もあり、仕方なく康英は物資を提供します。

そしてフェートン号は人質を解放し長崎港を去っていきます。

 

これだけ見ると、私のような現代の日本人であれば

「イギリス何しにきたんだよ、迷惑だな、でも人質も無事でよかった、今後警備体制もっと強化しよう」

「佐賀藩め、勝手に藩兵減らしてるんじゃないよ、官僚は責任とって辞職しろ」

で終わっていたかもしれません。

 

しかし、自身の意に反し他国の脅迫に屈してしまった国辱の責任を取り、松平康英は切腹します。

享年41。

 

幕府から切腹命令が下っていたわけでもありません。

この長崎奉行の切腹が幕閣に与えた衝撃は大きいものであったそうです。

 

切腹して自ら命を絶つということ、

現代の人であれば「自ら命を絶って命を粗末にして…」と捉える方もいるかもしれません。

 

それは「現代の自殺」と同一視してしまっているからです。

現代の自殺というものは、自分の未来に希望が持てず、生きていても仕方がない。

もちろん其処に至るまでの経緯は各自異なりますが、

共通しているのは「個人の幸福追求」の結果であると思います。

 

ですが、武士たちにとって切腹、すなわち自決は決して「個人」に着目して行なうものではありません。

 

松平康英の切腹から窺えるように、

傍からみれば決して彼が自ら命を絶つほど重罪を犯したわけではありません。

 

しかし、

彼のような本当の武士道精神を持っていた者であれば、

自分自身だけのために生きるという考えは持ち合わせていなかったのではないでしょうか。

 

それほどまでに自身の職務に対する責任と覚悟が持てていたということなのでしょう。

 

自分の小さな見過ごしと管理不十分。

ですが、その小さな間違いが諸外国からの侵略の可能性拡大に繋がると考えたのでは、と私は思います。

 

そして、武士の心を持って自分の命でそれを後世に伝えたかったのではないでしょうか。

 

事実、彼の命は決して無駄になっていませんでした。

その後、異国船打払令(1825年)を幕府は発令しています。

 

彼の命によって防衛に対する必要性、危機意識が高まったのではと思います。

 

 

武士の死生観については、下記の記事で綴らせてもらっています。

https://ameblo.jp/osakalastsamurai/entry-12411190255.html

 

 

武士といえば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康…天下統一に奔走した武将たちが有名ですが、

日本史の裏には様々な物語があって奥が深いんだなぁと改めて感じました。

 

歴史上の人物が何年に何を行ったかということが重要なのではなく、

その人物がどういう生き方、どういう精神を持っていたかを知っていく必要があるのではと思います。

 

武士をはじめ、戦において戦死した者たちへ対し

今を生きる我々が「可哀そう、大切な命を無駄にして、過去の人はバカなことをした」と

評価するのは最低の侮辱に値すると私は感じます。

 

その方々が命を持って私たち後世に伝えようとしたこと。

それに対し「感謝する心」が大切だと思います。

 

死=マイナス的イメージですが、

これを「無(自然)」に変え、さらに現生を最大限に全うするプラスに変える力を

本当の武士たちは持っていたのではないかと思います。

 

自分を振り返り、考えさせられたフェートン号事件でした。

 

 

今回も長々と綴ってしまいましたが、あくまで個人の意見です。

最後まで読んでいただき有難うございました。

 

 

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みさ

 

 

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