河出書房新社の文藝別冊KAWADEムック本「萩原健一: 傷だらけの天才」(ショーケン兄さんの追悼本のおすすめNo.1)では、井上堯之さんのインタビューが再録されている。
「ロック画報」第7号、2001年11月15日に収録されたもので、PYGの話がでてきて、興味深かったのが沢田研二さんの話
「歌手としてはああして欲しい、こうして欲しいとは絶対言わない。でも言われた事は完璧にやるタイプだね」
(Q.歌手としての責任は果たすと)「いや、あいつは単純に三千枚宛名書きやりなさいと言われたらやる、極端に言うとそういう責任を負う性分なんだよ。本当にたいした人間だよ。」
(Q.今、同じ事をショーケンが、問われたら、と思ったんですが。)「ズラかるに決まってんだろ(笑)」
一方、アニキは2010年発行のワニブックス新書「日本映画監督・俳優論」で、次のように語っている。
「ジュリー、沢田研二さんって、僕がそう思ったというより、周囲からライバルだと決められちゃったんです、自分の意識と違ったところで」
(Q.沢田さんと個人的に会ったりしないんですか)「いやない。」
「ジンクスがあるんです。あいつと一緒にやった仕事は、絶対当たらない。PYGが全然だめで、「カポネ大いに泣く」も「琉球の風も当たらなかった」僕と彼では仕事に対するスタンスが違うんです。(琉球の風のとき)沖縄では何を神とするのですかとタクシーの運転手に訊いたんです。そうしたら「萩原さんですよ、そういうことを訊くのは。こないだ私、沢田さんを送り迎えしましたら、紅白歌合戦のことばかり話してましたよ」と。なんか一緒にやってても、あいつとはハモらないんです、絶対に」
「彼の凄いところは先生たちに「これがいいんだよ、これをやんなさい」と言われたら、本当に誠実にそれをやる。だから自分のアイデンティティであったり、発想であったり、創作であったり、ある種のセンスはあるんだけど、自分で生み出すものより、自分を演出」してくれる人が見つかった時に最高に映えるんです。」
とまあ、アニキと堯之さん、似たようなジュリー論だったのですね。
駄菓子菓子、2008年還暦ライブの「人間60年 ジュリー祭り」では、沢田さん自身が自分の責任で好きなことを100%やったし、それが古希公演まで続いているし、これぞロック!
天国にいるアニキと堯之さんは、今も突っ走っているジュリー(沢田研二さん)のことをどう想っているのだろうか?