リイマジンとは再考するということ。でこの作品は、サステナブルコレクションでファッション業界を変えるべく奮闘するデザイナー、エイミー・パウニーと商品担当のクロエの、素材を求めて移動する旅を中心としたドキュメンタリー。

 環境活動家の両親を持ち、その生活からファッションを志し、ついにエイミーは英国ファッション協議会とVOGUE誌から、その年の英国最優秀新人デザイナーに選出された。

 そんな彼女の挑戦が「No Frills(飾りは要らない)」と名づけられたコレクションの発表。

 とはいえ、課題は山積。まず、服飾関係の消費を世界レベルで計算すると、二酸化炭素の排出量は、アメリカ、中国に次ぐとの事。低炭素でないといけない。近頃問題の海洋を漂うマイクロプラスチックの40%近くが化繊を含む衣料の洗濯から排出される。だから、化繊は使わない。そうなると綿と羊毛だが、ヨーロッパの綿花栽培の本場はトルコ。でも、その綿を買うことでテロリストに資金が流れないか?あるいは子どもが働かさせていないか?羊毛にも、羊を虐待していないか?その生産システムは環境に負荷をかけていないか?というようにエイミーのこだわりは半端ではない。

 だから生産者を求めて、ウルグアイなどまで旅に出なくてはならないし、そのことは紡績工場などにも要求する。すさまじい努力を強いられて、さらに素材を見つけても、それからデザイン。途方もない作業量なのだ。

 監督は、本作が長編映画デビューとなるベッキー・ハトナー。1年半以上にわたってエイミーに密着し、コレクション完成までの道のりを描いている。

 エイミーのコレクションの評判は上々だが、オーガニックやサステナブルなものは価格が高くなる。だから売りにくいという事も出てくる。そんなことも映画の中では語られる。

 この映画に出て来た幾つもの問題を、ネットサーフィンをして勉強するのも面白い。マイクロプラスチックの怖さは、海洋から魚に取り込まれ、最も微細なものは、それを食べた人間や動物の能にまで到達すると言われている。そんなことも調べたくなってきた。映画を観た後のお楽しみでもある。私にとって。

 映画に戻ろう。エイミー・バウニーのコレクションは、その後ファッション界に影響を与え始めたところで終わるのだが、トレーラーハウスに住み自然の中で育った少女が、ここまでの偉業を達成したような、まとめ方がされているのだが・・・どうなのだろうという気がしてならない。

 「何を言ってるの!私なんか2年前から服なんて新調してないわよ」という人から見れば、「言われることは立派ですけど、あなたの旅の費用も価格に乗っているのね」というところかも知れない。最後にメッセージを寄せている人も、そのブランドを高くても購入できる女優や著名人といったセレブ。環境意識高い系の人の、それこそファッションアイテムに見る人もいるのではないだろうか?