65mmのフィルムで撮影されたという。手持ちでの撮影もあったという。飛行機は実際に飛んでいるし、撮影に際しての俳優、技術者の苦労がうかがえる。感情と物語性を抑制して、誰が主役だ、端役だなんてない。まさに、生きて帰れるかという一点だけがそこにある。

 監督は「インセプション」「インターステラー」などのクリストファー・ノーラン。体験させる映画だ。いたずらに戦争をかっこいい、美しいとさえも思わせようとする映画とは全く別次元の映画だ。

 生きて帰れることは確率でしかないことも十分感じてしまう。そして、敗北し逃げ帰った彼らの苦しい胸の内がビンビンと伝わってくるのだ。

 私はIMAXで見たので、ほぼ4:3の巨大画面を、きょろきょろと見渡す体験ができたので、音の迫力だけでなく満足感が強いのかもしれない。否、満足感とは不謹慎だ。何とか、帰ってこられた安心感というのが正しいのかも知れない。ジャムを塗ったパンが食べられる幸せを祈ろう。2017年9月公開。