3時間16分の大作。私の憧れの地、カッパドキアを舞台に、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督による人間ドラマ。話せば話すほど、「言葉」が、人々の関係を絶望的に遠ざけていく。インテリであればあるだけ、「言葉」が人を傷つけていく。「あーあ、それ言っちゃ、おしまいだ」愚かしい。「もっと聞いてあげなきゃ」大人なのだから。などと、思わず言葉を挟みたくなる。

 カンヌのパルムドール作品にふさわしい、重厚な撮影と、ゆったりとした演出が魅力的な作品だが、ホテル経営者のアイドゥンのように余計なひと言を言ってしまうと、「これって、すごくよくできた『渡る世間は鬼ばかり』だよねえ」。どうも、すいません。2015年6月公開。