大阪アジアン映画祭で見逃し、試写会も逃し、やっと観た塚本晋也監督作品「野火」、リアルな描写に、圧倒された。

「永遠の0」のような、ゲーム的な戦場ではなく、痛くて生々しい。

私の父親は戦争経験者である。同じ戦争の地上戦で生還して、今の私がいる。無数に飛びあう弾の一つが、あたるかどうかは、偶然でしかない。時折、悪夢にうなされていた父と再会したようでもある。

また、日本軍、米軍という戦いの図式の中に、もっとも被害をうけた現地の人々も描かれている。戦争を「必要悪」として、美化したい連中が出てくる今、観ておくべき映画だ。2015年7月公開