是枝裕和監督作品。ゆったりとした演出と痛みがつたわる俳優陣の演技の質で、この映画が良質の日本映画であることがわかる。しかし、ほとんど悪意のない美しさは、どうなのだろうと感じていたが、映画を観た上での満足感は十分。

ただ、他の映画の時にも感じたが、こんなに海辺の町なのに、潮の香りがしない。汗の感じがしないのは、あまりにも美しく画面を構成したからなのか、よく知らないが監督が魚好きじゃないせいか、映画には空気感が必要だ。どちらにせよ、絵葉書的に整理された画面には魅力を感じない。私においてはの話だが。

ところで、この映画を見ながら、私は「綾瀬はるか の妻」「長澤まさみ の愛人」「広瀬すず の娘ないしは孫」ではなく「夏帆 のような風変わりな娘」がいれば、人生最高だなあなどと感じていたのだった。2015年6月公開作品。