河瀨直美監督と言えば、プライベートな眼差しを持つ稀有な映画作家だが、その個性的な映画作りを嫌う映画ファンもいると思う。しかし、河瀨映画は変化している。

 「殯の森」「2つ目の窓」と、悪い意味での自己表現を抑制し、作品世界がどのようなメッセージを発することができるか、言葉を変えると、観客に対して、個別なエネルギーを生むのかを目指しているように感じる。そのある種の完成形が「あん」。

 すばらしい原作を得て、河瀨直美にとっての初めての監督作品(以前は映画作家であった)になっている。実力派俳優の演技も見どころ。

 僕は試写会で観たけれど、大きなスクリーンでもう一度観ます。僕の感想「平成の小津になったなあ」を共有して!2015年5月公開。